ちあきの星空コラム
第136回 秋の星空を堪能する (2014/11/04)
秋の星空をさぐる
秋の澄み渡った空は、しみじみと星空の美しさを感じて見入ってしまうのは私だけでしょうか。
夜空を見続けているとその彼方の世界まで考えが及んだり、宇宙空間を漂う自分を想像したり、深夜の星空の中で思いも深まってまいります。
天の川の銀砂のごとき輝きや高層大気の流れ(ジェット気流)できらきらとまたたく星々の美しさは格別です。
そんな星空を見ていると、天を体系的に区分、整理した星座のことや、星空の中に隠されている神秘さや宝石のごとき輝きを探求したくなってきます。
もちろん天体望遠鏡を使えば、さらに詳細に明るく見ることはできますが、双眼鏡で身近に星に親しんでいただきたいと思います。
そうしたことから星空の世界に入り込んでいただきたいと思っています。
水星を目撃する
水星は太陽系の惑星の中でもっとも太陽に近い内側を公転していますから、地球からはいつ見ても太陽からあまり離れる位置には見られません。つまり、夕方の西の空あるいは明け方の東の空にしか見られないのです。
今年の11月前半は見やすい条件となり、11月1日から10日ごろまでの間に日の出前の東の空で見られます。早起きしてぜひ水星をみつけましょう。
おうし座で星食
おうし座にあるヒヤデス星団の位置を月が通過して星を隠す星食の現象が見られます。9月15日にはδ?星が月に隠されましたが、今度は、11月8日にδ?星が23時44分頃月に隠され、出現の様子は翌9日の00時06分頃見られます。
天体望遠鏡か双眼鏡で確認することができます。
しし座流星群
しし座の方向から多くの流星が流れるしし座流星群は、かつて、大出現を見せたことがあります。2001年の大出現は目撃された方も多いのではないでしょうか。
今年は11月17日にヨーロッパ地方で大出現の可能性を持っているといわれていますが、日本ではどうなるでしょうか。
11月18日(火)の夜に観測を試みましょう。流星の観測は簡単で、時間ごとの見えた流星数を数えるだけでOKです。寒くないように防寒対策をとってぜひ流星群を観測してみましょう。
11月の天文情報
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 土 | 8.2 | 水星が西方最大離隔(明け方見られる) |
2 | 日 | 9.2 | |
3 | 月 | 10.2 | 文化の日 月の距離が最近 月が天の赤道を通過(北半球へ) |
4 | 火 | 11.2 | |
5 | 水 | 12.2 | |
6 | 木 | 13.2 | |
7 | 金 | 14.2 | 立冬(二十四節気) 満月 |
8 | 土 | 15.2 | おうし座δ²星の食 |
9 | 日 | 16.2 | |
10 | 月 | 17.2 | 月の赤緯が最北 |
11 | 火 | 18.2 | |
12 | 水 | 19.2 | |
13 | 木 | 20.2 | |
14 | 金 | 21.2 | |
15 | 土 | 22.2 | 下弦の月 月の距離が最遠 |
16 | 日 | 23.2 | |
17 | 月 | 24.2 | 月が天の赤道通過(南半球へ) |
18 | 火 | 25.2 | しし座流星群が極大 |
19 | 水 | 26.2 | |
20 | 木 | 27.2 | |
21 | 金 | 28.2 | |
22 | 土 | 29.2 | 小雪(二十四節気) 新月 |
23 | 日 | 0.6 | 勤労感謝の日 |
24 | 月 | 1.6 | 月の赤緯が最南 |
25 | 火 | 2.6 | |
26 | 水 | 3.6 | |
27 | 木 | 4.6 | |
28 | 金 | 5.6 | 月の距離が最近 |
29 | 土 | 6.6 | 上弦の月 |
30 | 日 | 7.6 |
11月の星空
秋の星座は、星空が美しいわりに星座を構成する星々は明るくなく、1等星はわずかひとつ、みなみのうお座のフォーマルハウトだけです。
ペガスス座のある秋の四辺形やアンドロメダ座などの主要な星は2等星ないしは3等星で構成されています。
もちろん、くじら座やみずがめ座も同様で、星図をたよりに星の配列を見ながら本物の星を探していくことになります。
秋の夜長、時間をかけてゆっくりと星座探しを楽しみましょう。
このコラムに用いている星図やシミュレーション画像は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ9」を使用しています。
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。