ちあきの星空コラム
第144回 夏の星空 (2015/07/01)
夏空
夏の空は梅雨明けのすっきりした夜空に見ることができますが、今年の梅雨明けはいつでしょうか?
平年ですと、関東地方で7月21日頃に梅雨明けとなります。
つまり、7月7日の七夕(たなばた)の頃は梅雨の真っ最中となっていることが多く、七夕の夜空で、織姫星(おりひめぼし)と彦星(ひこぼし)を見ることができないという残念な日になってしまうことが多いのですが、今年はどうでしょうか。
明治時代のはじめまで使われていた旧暦の七夕を今の暦に照らし合わせてみますと、今年は8月20日に相当します。
この旧暦の七夕を祝う地域や団体もありますし、そこまで遅くならなくても宮城県仙台市などのように月遅れの8月7日に七夕を祝う地域もあります。こうした梅雨時期よりも遅い時期に設定された七夕では晴れる可能性が高くなりますね。
しかし、梅雨の中にあっても毎日雨が降っているわけではなく、7月7日が必ずしも雨天ということではありませんから、もし晴れて星空が見られたら、夏の天の川や織姫星、彦星などを探してみましょう。
天候が悪く見られなかったら梅雨明けの空を待ってぜひ見てみましょう。
参考に7月7日午後9時頃の全天の星空を下図に掲げておきますので、これを見ながら星座や天の川をみつけましょう。
金星と木星の見え方
夕空に木星と金星の接近の様子が見られ、7月1日が最も接近しますが、その後もしばらくは2星の接近している様子が継続して見られます。
下のシミュレーション画像は7月16日19時50分の西空の様子です。
まだ、薄明(はくめい)が残る空の中に煌々(こうこう)と輝く金星と木星の姿は、とても美しく気流の流れからキラキラと輝いて見られます。
ぜひ眺めてみましょう。
7月13日の未明にはおうし座α星の星食が見られる
関東地方から東の地域では7月13日午前1時半を過ぎた頃におうし座α星(アルデバラン=1等星)の星食が見られます。
隠される潜入の時刻にはまだ月が東の地平線下にあり、その様子を見ることができませんが、出現する様子は、東京では午前2時10分頃に見ることができます。
出現の瞬間はとても感動的で、肉眼でも見られますが、双眼鏡や天体望遠鏡を使えばより臨場感をもって見ることができることでしょう。
7月の天文情報
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 水 | 14.5 | 金星と木星が最接近 |
2 | 木 | 15.5 | 満月 |
3 | 金 | 16.5 | |
4 | 土 | 17.5 | |
5 | 日 | 18.5 | |
6 | 月 | 19.5 | 月の距離が最近 |
7 | 火 | 20.5 | 七夕 小暑(二十四節気) 月が赤道を通過北半球へ |
8 | 水 | 21.5 | |
9 | 木 | 22.5 | 下弦の月 |
10 | 金 | 23.5 | 金星が最大光輝(-4.5等) |
11 | 土 | 24.5 | 火星が最遠 |
12 | 日 | 25.5 | |
13 | 月 | 26.5 | アルデバランの食(関東以東で出現が見られる) |
14 | 火 | 27.5 | 月の赤緯が最北 |
15 | 水 | 28.5 | |
16 | 木 | 0.1 | 新月 |
17 | 金 | 1.1 | |
18 | 土 | 2.1 | |
19 | 日 | 3.1 | 西空に月と金星が接近して見られる |
20 | 月 | 4.1 | 夏の土用 |
21 | 火 | 5.1 | 月の距離が最遠 月が赤道を通過南半球へ |
22 | 水 | 6.1 | |
23 | 木 | 7.1 | 大暑(二十四節気) |
24 | 金 | 8.1 | 上弦の月 |
25 | 土 | 9.1 | |
26 | 日 | 10.1 | 月と土星が接近 |
27 | 月 | 11.1 | みずがめ座δ北流星群の極大 |
28 | 火 | 12.1 | みずがめ座δ南流星群の極大 |
29 | 水 | 13.1 | 月の赤緯が最南 |
30 | 木 | 14.1 | やぎ座α流星群の極大 |
31 | 金 | 15.1 | 満月 |
7月の星空
7月の星空では、夏の大三角をはじめ夏の星座で構成する星空が望めます。
ヘルクレス座、かんむり座、こと座、はくちょう座、わし座、へびつかい座、さそり座それにいて座などの代表的な夏の星座をさがしてみましょう。
また、光害(ひかりがい)の少ない所では天の川も見ることができます。
自宅で天の川を見ることができなくても、郊外地や山間部などに出かけるチャンスを生かし、晴れたら天の川や星空を眺めてみましょう。
夏休みを利用して、星見のための旅行などを企画してみてはいかがでしょうか?
7月の星図
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。