ちあきの星空コラム
第145回 まち明りが少ない星空 (2015/08/03)
月遅れの七夕、旧暦の七夕
今年も7月7日の七夕にはお天気が悪く、星空は望めませんでしたね。
それもそのはず、梅雨の真っ最中でしたから当然といえば当然なのです。
そこで、ひと月遅らせた月遅れの七夕(8月7日)を七夕まつりとして祝う習慣のある地域が多く、有名な所では宮城県仙台市の七夕まつりがあります。
七夕は俳句でいうと秋の季語であり、旧暦でいうところの七夕は今年は8月20日に相当します。旧暦の七夕のことを「伝統的七夕」と呼んでこの日を七夕として祝おうというグループもあります。
このことは先月のコラムにも記載していますので、読んだ記憶のある方も多いことと思います。天の川の星は7月7日だけでなく、夏の夜空を飾るもっとも代表的な星として美しく輝いています。機会があれば夜空を眺め、七夕の星をきっかけに夏の星座をさがしてみましょう。
なお、七夕の星は、夏の大三角のベガとアルタイルに相当しますので、夏の大三角をみつけることが七夕の星である織姫星と彦星をみつけることになります。
星図を参照しながら本物の星空でさがしてみましょう。
はくちょう座の形に大注目!
はくちょう座は夏の代表的な星座のひとつなので、毎年見ている方が多いことと思いますが、今年はちょっと様子が違います。
というのは、はくちょう座χ星が3等級の明るさで輝いていますので、星座を結ぶ線のイメージが少し異なります。
下図の2012年8月のシミュレーション図では暗かった星だったのに対し、2015年8月の図では明るく見えます。その結果、星座を結ぶ線を引くのに様子が違います。
これは、はくちょう座χ星が変光星で、周期408日で14等星から3等星まで明るさを変える変光星だからなのですが、ぜひこの機会に本物のχ星を確認しましょう。
2015年夏には明るくなって目立つようになっている。(※画面をクリックすると大きな星図を見ることができます。)
まち明りがないと良く見える星空
星空を見るときに障害となるのが、まち明りです。近年では光害(ひかりがい)とよんでいますが、その光害の影響を受けて、都会地ほど星が見えにくくなっています。光害の多い場所で星を見るときは、街灯やネオンサインの明かりが直接視野に入らないように、木陰や物陰から星空を仰ぐと星見の環境としては改善され、意外と多くの星を見ることができます。自宅の庭やベランダで見る場合は、部屋の灯りを消したりカーテンで光をさえぎったりすると改善されます。
懐中電灯などの明かりも必ず消して、眼を暗闇になじませてから星を見るようにしましょう。
ペルセウス座流星群を見よう
今年の夏もペルセウス座流星群が見られます。
ピークは8月13日の昼間が予想されていますが、昼間は見ることができませんから8月12日の夜から13日の未明や13日から14日にかけて夜空を見上げてみましょう。
虫よけ対策などをして、椅子に腰かけたり、シートなどを引いて寝っ転がったりして夜空を連続して見ていると、音もなく、スーと流れ星の流れる様子を確認することができることでしょう。
1時間に何個流れるか数えてみるといいでしょう。
私は、多ければ40個くらい、少ないと10数個くらい見られると予想していますが、さあ、じっさいはどうでしょうか。あなた自身の眼でたしかめてみましょう。
8月の天文情報
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 土 | 16.1 | |
2 | 日 | 17.1 | 月の距離が最近 |
3 | 月 | 18.1 | |
4 | 火 | 19.1 | 月が赤道を通過北半球へ |
5 | 水 | 20.1 | |
6 | 木 | 21.1 | |
7 | 金 | 22.1 | 下弦の月 月遅れの七夕 |
8 | 土 | 23.1 | 立秋(二十四節気) |
9 | 日 | 24.1 | |
10 | 月 | 25.1 | 月の赤緯が最北 |
11 | 火 | 26.1 | |
12 | 水 | 27.1 | はくちょう座χ星が極大(光度がもっとも明るい) |
13 | 木 | 28.1 | ペルセウス座流星群が極大 |
14 | 金 | 29.1 | 新月 金星が内合 |
15 | 土 | 0.5 | |
16 | 日 | 1.5 | |
17 | 月 | 2.5 | |
18 | 火 | 3.5 | はくちょう座κ流星群が極大 月の距離が最遠 月が天の赤道を通過南半球へ |
19 | 水 | 4.5 | |
20 | 木 | 5.5 | 伝統的七夕(旧暦の七夕) |
21 | 金 | 6.5 | |
22 | 土 | 7.5 | 月と土星が接近 |
23 | 日 | 8.5 | 処暑(二十四節気) 上弦の月 |
24 | 月 | 9.5 | |
25 | 火 | 10.5 | 月の赤緯が最南 |
26 | 水 | 11.5 | |
27 | 木 | 12.5 | |
28 | 金 | 13.5 | |
29 | 土 | 14.5 | |
30 | 日 | 15.5 | 満月 |
31 | 月 | 16.5 | 月の距離が最近 月が赤道を通過北半球へ |
8月の星空
8月の星空は、夏の星座で夜空がにぎわっています。
夏の大三角のこと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブをはじめ、ヘルクレス座、かんむり座、へびつかい座、へび座、てんびん座、さそり座、いて座それにみなみのかんむり座などの夏の星座をさがしてみましょう。
また、光害(ひかりがい)を逃れて郊外に出かけた際は天の川が見えるかどうか確認しましょう。さらに、お天気の良い星空の見える日にはデジタルカメラを用いて星座撮影などにもチャレンジしてみましょう。
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。