ちあきの星空コラム
第149回 ふたご座流星群 (2015/12/01)
ふたご座流星群を見よう
今年は絶好の観測チャンス
12月の天文ショーとして毎年話題をさらうのがふたご座流星群です。
今年は、最大のピークを迎えるのが、15日の午前2時~3時頃となりますので14日の夜から連続して観測するといいでしょう。ピーク時には1時間に数十個見ることができます
また、その時間帯に都合がつかない方もピークの前後、数日間は顕著に流星が見られますので、お天気の都合もありますから12月13日から15日の夜にかけての都合がつく時間で観測をおこなうといいでしょう。
空のどこを見る?
ふたご座流星群は、ふたご座の方向から流れてくるように見られますが、見える星座はふたご座とは限りません。空のあらゆる方角に流れますので、たとえばおうちの庭から観測するときは、建物と建物の間の見える星空をながめましょう。別にふたご座が見えない所でも何ら差し支えありません。
観測方法は?
観測はいたって簡単、○○日の10時台は何個、11時台は何個といったように1時間ごとに見られた流星の数を確認し、メモをとるだけでいいのです。
観測姿勢は、「寝ころがって星空を見上げて流星を観測するといい」というアドバイスが一般的ですが、それですと寒いので、私はラクな姿勢がとれるイスを用意して防寒着を着て観測します。
帽子、手袋、マフラーなどのほかに携帯カイロなどを持参して寒くならないようにしましょう。
ふたご座流星群の活発な12月14日午後9時頃に東の空をながめると上の星図のような星空が望めます。
数日間、観測する日にちがずれていてもほぼこの星図との誤差は少ないのでこの図で関観測の参考になります。
ふたご座流星群の流星は、ふたご座に見えることは少なく、それよりも外側の星座の中を音もなくスーと流れます。流れた軌跡を逆にたどっていくとふたご座に行き当たればふたご座流星群といっていいでしょう。
いくつかの流星の軌跡を観察してみると、ふたご座のどの辺を起点(放射点といいます)として流れているのかを確かめることができます。
今月もにぎやかな明けの東天
今月も明け方の東天に惑星が集まっていています。
10月、11月とこのコラムで、明けの明星(金星)や火星、木星が明け方の東の空に集まっているとお知らせしてきましたが、今月(12月)も引き続き惑星が集合している様子が見られます。
先月撮影した連続写真を掲げます。月も加わったシーンでは、天界がよりにぎやかになります。
早起きして確かめてみましょう。
11月に撮影した明け方の東天の様子を写真でご覧ください。
月の一日の移動量の大きさや、惑星どうしの位置関係も日にちが進むごとに変化しているのに気づくことでしょう。
12月の星空
12月は、明け方の空のにぎやかさに比べると夕方から夜半前までの時間帯の星空はやや地味といえます。天上に輝いているのは秋の星座です。
快晴の夜などに天を仰ぎ見て星座をみつけましょう。
星座間に明るい惑星は見られませんが、1等星として明るく目立つ星はみなみのうお座のフォーマルハウトです。
そのほかに1等星はありませんが、天頂付近には2等星で構成される秋の四辺形が見られ、その四辺形からペガスス座やアンドロメダ座をさがすことができます。
次にペガスス座との位置関係を星図で確かめながらみずがめ座やくじら座などをさがしましょう。
秋の夜長の星空観察は、星々をじっくり眺めながら、ゆっくり星座をひとつずつさがしていくと、いわゆる発見の楽しさが実感できます。
星座にまつわるギリシャ神話などの星ものがたりを調べて鑑賞すのも楽しさを深める役に立ちます。秋の星座の神話で最も有名なものは「エチオピア王国のものがたり」です。友人などと一緒に見れば神話の話で盛り上がり、とてもロマンチックな気分にさせてくれることを期待したいと思います。
12月の天文情報
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 火 | 19.4 | |
2 | 水 | 20.4 | |
3 | 木 | 21.4 | 下弦の月 |
4 | 金 | 22.4 | 月と木星が接近 |
5 | 土 | 23.4 | 月が天の赤道を通過南半球へ カタリナ彗星近日点通過 |
6 | 日 | 24.4 | 月と火星が接近 |
7 | 月 | 25.4 | 大雪(二十四節気) |
8 | 火 | 26.4 | 月と金星が接近 |
9 | 水 | 27.4 | |
10 | 木 | 28.4 | |
11 | 金 | 29.4 | 新月 |
12 | 土 | 0.7 | 月の赤緯が最南 |
13 | 日 | 1.7 | |
14 | 月 | 2.7 | |
15 | 火 | 3.7 | ふたご座流星群の極大(ピーク) |
16 | 水 | 4.7 | |
17 | 木 | 5.7 | |
18 | 金 | 6.7 | |
19 | 土 | 7.7 | 上弦の月 月が天の赤道を通過北半球へ |
20 | 日 | 8.7 | |
21 | 月 | 9.7 | 月の距離が最近 |
22 | 火 | 10.7 | 冬至(二十四節気) |
23 | 水 | 11.7 | 天皇誕生日 |
24 | 木 | 12.7 | 月の距離が最近 |
25 | 金 | 13.7 | 満月 月の赤緯が最北 |
26 | 土 | 14.7 | |
27 | 日 | 15.7 | |
28 | 月 | 16.7 | |
29 | 火 | 17.7 | 水星が東方代々離角 |
30 | 水 | 18.7 | |
31 | 木 | 19.7 |
12月の星空
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。