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ちあきの星空コラム

第171回 秋の天の川 (2017/09/29)

秋の天の川を鑑賞する

さわやかな秋の季節の星空は、空気が澄み渡り、夜空にはキラキラと星々が輝き、星空ウオッチングには最適な季節といえます。
夏空に見られた天の川は、秋になってさらに濃く感じられ、西の空にまだ見られる夏の天の川に続いて、北の方向には秋の天の川が連続しています。
天の川に沿って星座を見ていくと、夏の名残のわし座からはくちょう座、秋の星座のケフェウス座、カシオペヤ座そしてペルセウス座と続き、淡いうっすらと雲のような帯状の輝きとして見ることができます。
天の川は、光害(ひかりがい)の多い都会地では見ることができませんが、私の住宅がある茨城県龍ケ崎市では、空気が澄んで月明かりのない夜には見ることができます。ただし、住宅地から離れて水田地帯や森の中で見ることが肝心です。
みなさまが郊外地に出かけて星見をするときにも同様のことが言えますので、街明かりや道路の街灯などがないところで星空ウオッチングを楽しみましょう。

双眼鏡を使えばみられるアンドロメダ銀河
アンドロメダ座のなかにあるアンドロメダ銀河

アンドロメダ座のなかにあるアンドロメダ銀河

双眼鏡を使って星空を見る

双眼鏡を使って星空を見る

秋の星空の中には天体望遠鏡で拡大して見ると迫力がある天体がありますが、双眼鏡でも楽しめる銀河などがあります。
双眼鏡の中でも手持ちサイズとしてもっとも望ましい機種は、倍率が7倍、対物レンズの口径が50ミリメートル(通称7×50)の双眼鏡です。
この機種にこだわらなくても構いませんが、おおよそ倍率が7~10倍、口径が40~50ミリ程度のものを使って星空を見ましょう。
もっとも迫力をもって見られる天体は、アンドロメダ座にあるメシエ(M)31アンドロメダ銀河です。渦巻き状の銀河を斜めから見た姿ですが、ボーと輝く姿を確認でき、私たちの銀河(天の川銀河)に比較的近いところにあるため、はっきり明瞭に観望できます。
星団としては、ペルセウス座にある二重星団 h、χ(エイチカイ)が迫力をもって見られます。
双眼鏡は、探す当てがなくても銀河の中などを視野を少しずつ動かして星空の中をまるで散歩しているように見ていくことを楽しんでみましょう。

今年の中秋の名月は10月4日

毎年、旧暦8月15日の十五夜の月を「中秋の名月」として、お月見をする風習がありますが、今年はその中秋の名月の日が10月4日に当たります。
旧暦を採用していたときは、秋は7月8月9月の3か月でした。その真ん中が8月15日ですが、この日を中秋と呼んでいました。
中秋の名月には、お団子やススキの穂などを飾って月を鑑賞する風習がありました。今でも昔ながらにお団子などをお供えをするお宅もあります。
ところで、旧暦の15日は、およそ満月なのですが、こよみの都合で若干のずれが生じています。
今年から4年間の中秋の名月の日と満月の日を表にまとめてみました。
これを見ますと、1日くらいずれているのが当たり前のようですね。

中秋における名月と満月のずれ
中秋の名月(十五夜)満月
2017年10月4日10月6日
2018年9月24日9月25日
2019年9月13日9月14日
2020年10月1日10月2日
10月に見られる星座をさがす

南の空に目をやると、天の川はありませんが、南の空には1等星フォーマルハウトが輝くみなみのうお座があります。ほかに南の空にはやぎ座、みずがめ座そしてくじら座などをみつけることができます。
さらに天頂付近には、ぺガスス座、アンドロメダ座、うお座などが見られます。
秋の夜長を星座観察で楽しみましょう。星座をさがすときは、市販の星座早見を用いるか、末尾に掲げる星図をご利用ください。
ぜひ、秋の夜空をお楽しみください。

10月の天文情報
曜日月齢天文現象など
10.9
11.9
12.9
13.9中秋の名月(十五夜)
14.9月が天の赤道を通過(北半球へ)
15.9満月 金星と火星が最接近(明け方の空)
16.9
17.9寒露(二十四節気) りゅう座流星群が極大
18.9体育の日 月の距離が最近
1019.9アルデバラン食
1120.9
1221.9下弦の月 月の赤緯が最北
1322.9
1423.9
1524.9
1625.9
1726.9土星の環が最も開く
1827.9細い月と金星、火星が接近(明け方の空)
1928.9
200.3新月
211.3オリオン座流星群が極大
222.3
233.3霜降(二十四節気)
244.3月と土星が接近
255.3月の距離が最遠
266.3月の赤緯が最南
277.3月面にX形の地形が見える(20時)
288.3上弦の月
299.3
3010.3
3111.3
10月の星図
南の星空

10月の南の星空(背景黒)

10月の南の星空(背景白)

10月の南の星空(背景白)

北の星空
10月の北の星空(背景黒)

10月の北の星空(背景黒)

10月の北の星空(背景白)

10月の北の星空(背景白)

10月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空があります。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。