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ちあきの星空コラム

第179回 惑星観測 (2018/06/01)

惑星観測の好機

6月になりました。6月というと梅雨時というイメージから星空が望めない月といった印象があります。
たしかに晴天率は良くない時期ですしお天気が良い日といってもすっきりと晴れていることが少ないのが6月の特徴といえますね。
しかし、今月からいよいよ惑星観測の好機がやってまいります。
4個の惑星が見られます。
それは、金星、木星、土星それに火星です。

この星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文シミュレーションのできる天文ソフトの星座画像ですが、6月16日午後9時の星空を表しています。 これを見ると、西の低空に金星が細い月と共に見られ、南のてんびん座の中には木星が輝いています。 さらに南東の空にはいて座の中に土星も輝いていることがわかります。

さらにこの図は、同じ日の午後11時の南の空のシミュレーション星図ですが、これを見ると木星、土星に加え、南東の空のやぎ座の中に火星の姿が見られることがわかります。

金星

金星の細くなった姿  撮影:田中千秋

金星は夕方の西の空で一番星として明るく輝いて見られます。
金星の姿は、天体望遠鏡で見ると月のように満ち欠けすることで知られています。
今月にはまだラグビーボールのような形状にしか見えませんが、月を重ね、9月頃には三日月状に見えるようになります。

木星

木星の姿(5月11日)撮影:川端隆幸

木星は南の空に見え、金星に負けず劣らず明るく輝いて見えます。
位置は、てんびん座にあり、天体望遠鏡を使えば木星の表面の模様が縞状に見えますし、木星の周囲には、ガリレオ衛星と呼ばれる、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストと呼ばれる4個の衛星が公転している様子も観察できます。
これらの衛星は、ガリレオ・ガリレイが天体望遠鏡を使って発見した衛星なので、ガリレオ衛星と呼ばれています。
今年の5月11日に撮影された木星像をお見せします。表面には縞模様や大赤斑が見られます。

土星

土星の姿(5月11日) 撮影:川端隆幸

土星は、いて座の中にあり、大きな環を持った独特の形状に見えますので、やはり天体望遠鏡で観察を楽しみたいものです。
もっとも小型の部類の口径6センチ程度の屈折望遠鏡でも30倍以上の倍率で観察すれば、環(わ)の存在を確認できますし、口径の大きいたとえば10センチ屈折望遠鏡に100倍程度の倍率をかけて観察すると、はっきり環が本体をとり巻いていることが確認できることでしょう。

火星

火星の姿(5月23日) 撮影:川端隆幸

火星は7月31日に地球に大接近します。
6月ころは、午後10時過ぎ頃に東の地平線側から昇ってきますので、午後11時頃から観察しやすくなります。
その存在だけを確認するのは肉眼で十分です。他の星よりも赤く見える特徴を持っていますので、やぎ座の中の最も明るく赤く輝く星としてみつけましょう。
天体望遠鏡で観察すれば、表面が面的に見えるとともに、表面模様も観察できます。
ところで、地球は1年かけて太陽の周りを1周する公転を行っていますが、火星はその公転が約1.88年です。
地球も火星も周期の異なる公転をしていますので、両惑星の接近には約2年2か月ほどかかります。
しかも両惑星とも楕円軌道で公転していますので、接近の度合いがその都度違います。
今回の接近は、15年ぶりの大接近となります。ぜひ天体望遠鏡を使ってその姿を確認しましょう。
火星大接近の日は7月31日ですが、その1か月以上前から比較的大きく見え、また1か月以上先まで観察することができます。つまり、夏休み期間中は、ずっとその姿を楽しむことができるということになります。
天体望遠鏡を使えば毎日の火星表面模様の変化を記録でき、肉眼での観察であれば火星が日々、星座の中の位置を変えていく様子を記録することができます。
観察の内容によっては、夏休みの自由研究にすることもできるでしょう。

6月の星空

6月は梅雨の季節ですが、晴れる日もありますから、晴れて星空が美しく見られる日には、星空を仰ぎ見ましょう。
夜空は、春の星座から夏の星座に移行してくる時期です。ぜひ晴れた夜をねらって、星空散歩をしてみましょう。
星図をたよりに星空を見上げれば、春の星座がだんだんと西へ移動して、東の空から夏の星座が昇ってくる様子を確かめることができます。
春の星座の中にある「春の大三角」に続いて、今度は「夏の大三角」をみつけることができます。星座の形状や名前は、下図の星図をクリックして大きくなった星図をプリントアウトして持参し、星図と本物の星空を照らし合わせて星や星座をみつけるようにしましょう。

6月の天文情報

曜日月齢天文現象など
16.6月の赤緯が最南
17.6
18.6月と火星が接近
19.6
20.6
21.6芒種(二十四節気)
22.6下弦の月
23.6
24.6月が天の赤道を通過(北半球へ)
1025.6
1126.6入梅(太陽黄経80度)
1227.6
1328.6
140.3新月
151.3月の距離が最近 月の赤緯が最北
162.3細い月と金星が接近
173.3
184.3
195.3
206.3上弦の月 金星とプレセぺ星団が大接近
217.3夏至(二十四節気) 月が天の赤道を通過(南半球へ)
228.3
239.3
2410.3
2511.3
2612.3
2713.3土星が衝
2814.3満月 月の赤緯が最南 月と土星が接近
2915.3
3016.3月の距離が最遠

6月の星図

南の星空

6月の南の星空(背景黒)

6月の南の星空(背景白)

北の星空

6月の北の星空(背景黒)

6月の北の星空(背景白)

6月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の範囲によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。