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ちあきの星空コラム

第185回  冬の星々の中にダイヤモンドをみつける (2018/12/03)

冬の星座

12月に入ると、今まで夕空に君臨していた秋の星座たちは西の空に傾きはじめ、代わりに東の空から冬の星座たちが次々と姿をあらわしてきます。
不思議なことになんだか空がにぎやかになってきたように感じますが、これは星座の星の明るさに原因があります。
というのは、秋の星座では南の空に唯一、みなみのうお座のフォーマルハウトのみが1等星でしたが、冬の星座では、ぎょしゃ座のカペラ、おうし座のアルデバラン、オリオン座のリゲルとベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンそしてふたご座のポルックスと7個もの1等星か1等星以上の明るい星が見られるのです。

冬のダイヤモンドと大三角

下図のように冬の1等星以上の星6個を結んで、冬のダイヤモンド(六角形)を形づくることができます。
また、3個の星を結んで冬の大三角を形づくることもできます。
明るい星を目じるしに、星の配列から星座のかたちも覚えていくのが星座をみつけるのにもっとも効率の良い方法なのです。
木枯らしのやってくる季節ですが、寒さにめげずに冬の星座さがしにチャレンジしましょう。

最も明るいシリウスからオリオン座のリゲル、おうし座のアルデバラン、ぎょしゃ座のカペラふたご座のポルックスそしてこいぬ座のプロキオンを結び、シリウスに戻る天上の大きな六角形ができあがります。これを冬のダイヤモンドと呼んでいます。この図を参考に本物の星空でダイヤモンドを確かめましょう。

冬の大三角は、正三角形に近いかたちをしており、おおいぬ座のシリウス、オリオン座のベテルギウスそれにこいぬ座のプロキオンを結んでつくります。こうした図形を覚えると、付近の星座のかたちも理解しやすく、たちまち星座を覚えることができるようになります。

ふたご座流星群が見られる!

12月14日の夜はふたご座流星群の多く見られる夜です。
21世紀の初め頃は、11月に見られるしし座流星群の方がたくさん流れてにぎやかでしたが、今の時点ではしし座流星群はあまり多くの流星は見られなくなりました。
したがって、今年あたりは8月12日前後に見られるペルセウス座流星群が夏の見ごろの流星群。冬はふたご座流星群がもっともにぎやかな流星群といえます。
特に、今年のふたご座流星群の時期は。月齢的にも夜の後半に月明かりがなく、14日午後10時過ぎから未明の午前3時過ぎまでが流星観察に適した時間帯となりますので、ぜひその時間帯の中で流星を観察してみましょう。
およそ1時間に20個程度見られると予想されており、自分の眼で本物の流れ星を見てみましょう。

以前に見られた流星の例

以前に見られた流星の例

12月の星空

夕方の空は秋の星座で埋め尽くされていますが、夜の時間が経過し、午後9時過ぎに夜空を仰ぎ見れば、東の空から南の空まで冬の星座が見られます。ただし、西の空には秋の星座が名残惜しくまだ輝いています。
冬の星座は、巻頭に紹介したとおり明るい星が多く、夜空を埋め尽くすように星々が輝いて見えます。
星図をたよりに1等星などの明るい星から星座さがしにチャレンジしてみましょう。

12月の天文情報
曜日月齢天文現象など
23.5
24.5月が天の赤道を通過(南半球へ)
25.5
26.5細い月と金星が接近
27.5
28.5
29.5大雪(二十四節気)  新月
0.8
1.8細い月と土星が接近
102.8
113.8
124.8月の距離が最遠      月の赤緯が最南
135.8
146.8ふたご座流星群が極大
157.8上弦の月 水星が西方最大離角
168.8ウィルタネン彗星が地球に最接近
179.8月が天の赤道を通過(北半球へ)
1810.8
1911.8
2012.8
2113.8
2214.8冬至(二十四節気)  水星と木星が最接近
2315.8天皇誕生日 満月
2416.8月の距離が最近
2517.8
2618.8
2719.8
2820.8
2921.8
3022.8下弦の月
3123.8
12月の星図
南の星空

12月の南の星空(背景黒)

12月の南の星空(背景白)

北の星空

12月の北の星空(背景黒)

12月の北の星空(背景白)

12月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の範囲によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。
このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。