ちあきの星空コラム
第188回 春分と秋分 (2019/03/01)
春分の日がやってくる
3月21日(水曜日)は春分の日です。
毎年、春分の日と秋分の日は国民の祝日になっているので、ご存知のことと思います。
春分や秋分は一般的には昼と夜の長さが同じで、春分以降は昼間の長さの方が長くなるといわれていますね。
では質問「春分から秋分までは何日間あるでしょうか。また、秋分から春分までは何日間あるでしょうか?」
2018年3月21日の春分の日から2018年9月23日までを数えてみましょう。
春分の翌日から数えて、9月の秋分の日が9月23日なので186日となります。
次に、2018年の秋分の日から今年(2019年)の春分の日までの日数は、今年の春分の日も3月21日なので、179日間になります。
1年は365日ですからこれを2で割ると182.5日間となります。
あれあれ、おかしいですね。春分から秋分までと秋分から春分までは、日数がほぼ等しいと考えた方が多かったのではないかと思いますが、実は地球が太陽の周りをまわる速度はケプラーの法則に示されるように、楕円の公転軌道であるために公転速度に差が出てまいります。
具体には、地球が太陽の周りを公転するのに、秋分から春分までの方が太陽に近いところを回っており、その分太陽の引力で加速されて公転速度が約3パーセント速く、秋分から春分までの期間の方が短くなっているのです。
お分かりになりましたでしょうか?
今年の9月にお届けする星空コラムでは、春分、秋分に関係する別の質問を投げかけますね。期待しておいてください。
3月2日、明け方の南東の空に注目!
3月2日(土曜日)の明け方、早起きして南東の空を眺めてみましょう。
月齢25の月とともに、そのすぐそばには土星が輝いています。それよりも東の低空には金星が煌々と輝き、南南東の空には木星が輝いています。木星のさらに南寄りにはさそり座の1等星アンタレスが赤い光で輝いており、とても賑やかで荘厳な景色を見ることができることでしょう。
また、翌日の3月3日には月は金星に接近して見えますので、これもまた見ごたえのある星の景色となることでしょう。
さらに月末近くの3月29日にも月が土星に接近している様子が見られます。
これらのいずれかだけでも晴れて、美しい星の景色を見たいものですね。
以下に以前に見られた星と月の競演を写真にとってありますので、お見せします。
3月の惑星の位置と見え方など
これから夏にかけて、明け方の空に集中して見られた惑星がだんだんと夕空でも見られるようになってまいります。
太陽系に存在する惑星は8個(水、金、地、火、木、土、天、海=すいきんちかもくどてんかい)ありますが、星空の中に肉眼で見られる惑星はそのうちの水星、金星、火星、木星そして土星の、5惑星です。
これらの惑星が今月はそれぞれどの位置にあり、どのように見られるかなどをお知らせしましょう。
水星
2月27日に東方最大離角を迎えます。つまり、太陽との離角が大きくなることによって見やすくなるのです。東方最大離角の時は、夕方の西の空に見え、太陽が沈んでだんだん暗くなる時間帯に見えます。3月10日ころまでが見ごろとなります。
金星
明けの明星として-(マイナス)4等級の明るさで輝いています。空が明るくなってもしばらくは、はっきりと見えます(昼間でも見えることがあります)。
火星
夕空に見られますが、昨年の7月31日に大接近した頃のような明るい輝きはなく、現在は1.3等級の輝きで、おひつじ座付近にあります。
木星
へびつかい座付近にあり、明け方の空に-2等級で明るく輝いて見えます。6月11日に衝(しょう)を迎えますので、観測シーズンは今年の春から夏にかけてとなります。
土星
明け方の空に0.4等級の明るさで見られ、いて座にあります。早起きをして土星と共に、金星、木星の位置関係を確かめましょう。
3月の星空
3月の星空は、冬の星座から春の星座への入れかわりの時期といえます。
暮れたばかりの夕空は、オリオン座を中心とする冬の星座が君臨しているように見えますが、時刻がたち、午後9時を過ぎてくるころには西空は冬の星座が残っているものの、南の空から東の空にかけては春の星座で埋め尽くされています。
南の空高くしし座を中心にその西側にはかに座、東側にはおとめ座が見られます。
南の空には、うみへび座がその長い姿を見せてくれます。
まだまだ寒い日が続く3月の夜です。防寒対策を忘れずに星座観察を楽しみましょう。
3月の天文情報
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 金 | 24.2 | 月の赤緯が最南 |
2 | 土 | 25.2 | 月が土星に最接近(明け方) |
3 | 日 | 26.2 | 月が金星に最接近(明け方) |
4 | 月 | 27.2 | 月の距離が最遠 |
5 | 火 | 28.2 | |
6 | 水 | 29.2 | 啓蟄(二十四節気) |
7 | 木 | 0.5 | 新月 月が海王星に最接近 |
8 | 金 | 1.5 | |
9 | 土 | 2.5 | 月が天の赤道を通過(北半球へ) |
10 | 日 | 3.5 | 月が天王星に最接近 |
11 | 月 | 4.5 | |
12 | 火 | 5.5 | 月が火星に最接近 |
13 | 水 | 6.5 | |
14 | 木 | 7.5 | 上弦の月 |
15 | 金 | 8.5 | |
16 | 土 | 9.5 | 月の赤緯が最北 |
17 | 日 | 10.5 | プレセぺ星団の食 |
18 | 月 | 11.5 | |
19 | 火 | 12.5 | |
20 | 水 | 13.5 | 月の距離が最近 |
21 | 木 | 14.5 | 春分の日 春分(二十四節気) 満月 |
22 | 金 | 15.5 | 月が天の赤道を通過(南半球へ) |
23 | 土 | 16.5 | |
24 | 日 | 17.5 | |
25 | 月 | 18.5 | |
26 | 火 | 19.5 | |
27 | 水 | 20.5 | 月が木星に最接近 |
28 | 木 | 21.5 | 下弦の月 月の赤緯が最南 |
29 | 金 | 22.5 | 月が土星に最接近 |
30 | 土 | 23.5 | |
31 | 日 | 24.5 |
3月の星図
南の星空
北の星空
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。