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ちあきの星空コラム

第193回 伝統的七夕 (2019/08/02)

8月7日は伝統的七夕の日

伝統的七夕の夜20時の星空(国立天文台天文情報センター)

7月7日の七夕は、梅雨の中で今年も星空を見ることができませんでしたが、今年の8月7日は、伝統的七夕と呼ばれる日で、「スター・ウィーク~星空に親しむ週間~」も8月1日から7日までとなっています。
この期間にぜひ星空を見て、七夕の星を探してみましょう。
伝統的七夕は、太陰太陽暦に基づく七夕の日で、現在では「伝統的七夕」と呼んで浸透しつつあります。
明治5年までは旧暦(太陰太陽暦)が使われていましたが、それ以降は現在の暦に切り替わりました。つまり、江戸時代などは、ずっと旧暦に基づいて月齢でいうと上弦の月のころに行われる行事でした。
そうした風習の中での行事と考えると、旧暦に合わせた方が月齢もほぼ上弦の月の輝く日程となりますので、理にかなっているように感じます。
では、伝統的七夕が現在の暦ではいつになるかの考えてみましょう。
伝統的七夕の日にちは、二十四節気の処暑(今年は8月23日)の日か、それよりも前で処暑に最も近い新月から数えて7日目を伝統的七夕としているのです。
今年はちょうど1か月遅れの8月7日となりますこの伝統的七夕をぜひお祝いし、星空を眺める日にしてください。

夏の大三角の星のうち、ベガが織姫星、アルタイルが彦星です

来年以降の伝統的七夕
年(西暦)月日
20208月25日
20218月14日
20228月4日
20238月22日
20248月10日
20258月29日
20268月19日
20278月8日
20288月26日
20298月16日

8月の惑星の位置と見え方など

この夏は、木星と土星の見ごろとなっていて、夏休み期間は各地で天体観望会によって多くの方が木星、土星の姿を天体望遠鏡で見るチャンスとなります。
そのほかの惑星は観測条件があまり良くありませんが、それぞれがどの位置にどのように見えるか(または見えないか)をお知らせします。

水星

水星は、かに座にあり、明け方の東の地平線近くに見ることができます。しかし、下旬には見にくくなってしまいます。

金星

観測には適しません。太陽に近い方向にあるため、とても見にくい位置となります。

火星

火星は夕空の西の空にありますが、日没直後に西の地平線に沈んでしまいますので、
確認することはむずかしいでしょう。

木星

木星は、観測に最適の時期といえます。
本体の縞模様も及び本体周辺に見られる4個の衛星(ガリレオ衛星)も天体望遠鏡を使えば見ることができます。
位置はさそり座の近くのへびつかい座の中にあり、明るさは-2.3等級でとても明るく輝いています。

今年7月25日の木星(撮影:川端孝幸)

土星

土星は7月10日に衝となり、8月も観測の好機です。
いて座の中にあり、明るさは0.2等級で、本体と環の両方の形を楽しむことができます。天体観望会などがありましたら家族や友人なども誘って、その姿を観望し、楽しみましょう。

今年7月25日の土星(撮影:川端孝幸)

8月の星空

8月は、光害の少ない海や山へ出かける機会が多く、天の川や夏の星座の多くを見るチャンスがあることでしょう。
天の川が見えると、天の川をたよりに各星座の位置を探すことができます。
また、8月は流れ星の多く見られる月。8月上旬はみずがめ座δ流星群ややぎ座流星群が見られますし、8月13日はペルセウス座流星群の極大日となっています。
しばらく夜空を仰ぎ見ていると瞬間的にスーと音もなく流れる流星の姿を見ることができるでしょう。

8月の天文情報
曜日月齢天文現象など
29.3新月 月が金星に最接近 金星の食
1.0月が火星に最接近 月の距離が最近
2.0
3.0
4.0月が天の赤道儀を通過(南半球へ)
5.0 
6.0伝統的七夕(旧七夕)
7.0上弦の月 立秋(二十四節気)
8.0
109.0水星が西方最大離角 月が木星に最接近
1110.0山の日
1211.0月が土星に大接近 月の赤緯が最南
1312.0ペルセウス座流星群極大
1413.0
1514.0満月
1615.0
1716.0月の距離が最遠
1817.0はくちょう座κ流星群が極大
1918.0
2019.0月が天の赤道を通過(北半球へ)
2120.0
2221.0
2322.0下弦の月 処暑(二十四節気)
2423.0
2524.0
26 25.0
2726.0月の赤緯が最北
28 27.0
2928.0
30 29.0新月
310.7月の距離が最近
8月の星図
南の星空

8月の南の星空(背景黒)

8月の南の星空(背景白)

北の星空

8月の北の星空(背景黒)

8月の北の星空(背景白)

8月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の範囲によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。