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ちあきの星空コラム

第196回 ふしぎな星ミラ (2019/11/05)

変光星ミラ

秋の星座にくじら座があります。
あまり目立たない星座ともいえますが、11月には変光星ミラが極大を迎え明るくなりますので、注目してみましょう。

くじら座の写真,ミラが見えています

星図上のくじら座とミラの位置

大きな化けくじらの姿が星座絵となっているくじら座は、ギリシャ神話に出てくる古代エチオピア王家の物語、生贄(いけにえ)として鎖につながれたアンドロメダ姫を襲うくじらの姿が星座になっています。
このくじら座の胸元にあるミラという星が変光星として知られています。
この星が明るさの変わる星だということを発見したのは、1596年にドイツの牧師でした。星図に載っていない星があることが確認されたのです。
このミラが周期的に明るさを変える変光星だということを多くの人々の観測の成果として突き止められたのは1600年代に入ってからで、ミラという名前は天文学者のヘベリウスが「ステラ・ミラ」(「ふしぎな星」の意味)と呼んだことから名付けられました。
その後も観測が進んで、ミラは星の一生のうちの終わりを迎える赤色巨星となって、332日周期で星自身が膨らんだり縮んだりを繰り返している脈動変光星だということがわかりました。明るいときは2等星、暗くなると10等星まで暗くなり、6等星より暗くなると肉眼では見ることができませんので、まるで星が消えてしまったように見られたのでした。
今年は、11月7日頃に極大日を迎え、2等星まで明るくなるので確実にミラを見ることができます。
ミラのほかにも変光星は夜空にはたくさん見られますが、このミラが変更が顕著で周期が長く目立つ星としてとても有名です。
なお、変光星の観察は、肉眼でもできますが、暗くなった変光星の観察には天体望遠鏡だけでなく、双眼鏡も有効です。ぜひ、じっさいに観察してみましょう。

11月の惑星の位置と見え方など

今月の惑星の見え具合をそれぞれ解説します。
今月の見どころは夕空に輝く土星です。
時刻の経過とともに西の空に沈んでしまいますので、ゆっくり見ていることができなくなりますが、夏の頃から見続けてきた土星ですが、天体望遠鏡で見る機会があれば、いよいよ見納めとなり、次はまた来年の夏ころの楽しみとなります。

水星

11月28日に明け方の東の空で西方最大離角を迎えます。
明るさは-0.6等まで明るくなりますが、高度は低く夜が明けてくる時刻になりますので、あまり見やすいとはいえませんが、明け方の空で注意深く観察してみましょう。

金星

宵の明星として、西の夕空の中に見られます。
しかし、高度はあまり高くないので見づらいのですが、だんだんと木星に近づきつつありますので、探してみる価値はあります。-3.8等星の明るさを保っています。

火星

今年は地球との位置が離れており、大きくは見えませんが、おとめ座の方向に見えますので、明け方の空で探してみましょう。

木星

南西の空に見られますが、暗くなるころには沈んでしまいますので、薄明の残るうちに観測してみましょう。
11月24日には金星と最接近しますので注目してみましょう。

土星

いて座の中にあります。土星も木星同様に夕方の西空にありますが、木星よりも沈む時間が遅いので、天体望遠鏡で見るチャンスはあります。観望会では暗くなる前から準備をして早めの観望で確実に天体望遠鏡で神秘的な環の姿を確認しましょう。

11月の星空

11月の星空では、夕空にはまだ夏の大三角形が見られます。下図の北の星空をご参照ください。
南の空にご注目いただくと、東から天頂にかけての空は秋の星座でいっぱいです。
北の空にではケフェウス座やカシオペヤ座をみつけましょう。
また、ペガスス座にある秋の四辺形をみつけ、その周辺のうお座、アンドロメダ座などもみつけましょう。
南の空には、やぎ座、みずがめ座、みなみのうお座などが見られ、さらにくじら座も南の空に見られるようになります。

11月の天文情報
曜日月齢天文現象など
4.0月と木星が最接近
5.0月と土星が最接近
6.0文化の日
7.0振替休日 上弦の月
8.0 
9.0おうし座南流星群が極大
10.0くじら座ο星ミラ(変光星)が極大
11.0立冬(二十四節気
12.0月が天の赤道儀を通過(北半球へ)
1013.0
1114.0
1215.0満月
1316.0おうし座北流星群が極大
1417.0
1518.0くじら座ο星ミラが極大
1619.0月の赤緯が最北
1720.0
1821.0しし座流星群が極大
1922.0
2023.0下弦の月
2124.0
2225.0小雪(二十四節気)
2326.0勤労感謝の日 月が天の赤道を通過(南半球へ) 月の距離が最近
2427.0金星と木星が最接近
2528.0
26 29.0
270.5新月
28 1.5細い月と木星、金星が並ぶ
292.5月の赤緯が最南
30 3.5月が土星に最接近
11月の星図
南の星空

11月の南の星空(背景黒)

11月の南の星空(背景白)

北の星空

11月の北の星空(背景黒)

11月の北の星空(背景白)

11月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の範囲によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。