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ちあきの星空コラム

第199回 冬のダイヤモンド (2020/02/03)

冬のダイヤモンドをみつける

今月は冬空に大きなダイヤモンドをみつけることにしましょう。以前にも冬のダイヤモンド(冬の大六角形)について記述したことはありますが、今回の解説が読者の方々のじっさいの星見に大いに役立つことを期待しています。
冬のダイヤモンドというのは、今までに「夏の大三角」や「冬の大三角」をさがし、星座さがしに発展してきたように、冬の星座の中の1等星以上の6個の明るい星を結んで、六角形の形をみつけようというものです。

冬のダイヤモンド:冬の星空に大きな六角形がつくられる

まず初めに冬の星座の中で最もわかりやすい南の空のオリオン座をみつけましょう。探すのに用いる参考図としては、このコラムの巻末にある「2月の星図」の中の南の星空を使いましょう。
オリオン座がみつけられたら、オリオン座の中にあって右下に青白く輝くリゲルを確認しましょう。リゲルを六角形のひとつめとして、次は全天一明るい恒星のシリウス(おおいぬ座)をみつけましょう。おおいぬ座には全天の恒星で最も明るいシリウス(-2等星)をとらえましょう。続いておおいぬ座よりも高い位置にあるこいぬ座のプロキオンをみつけ、さらに高い方向に目をやると、ふたつの明るい星が輝くふたご座をみつけることができます。北側にあるのが2等星のカストル。もうひとつの明るい方の星が1等星のポルックスです。六角形をつくるために結ぶ4個目の星としてポルックスを使います。
ここまで見ていくと、もう真上(天頂といいます)を見上げるように目線が高くなっていき、ぎょしゃ座の1等星カペラをみつけることができます。
カペラまでみつけたら次はオリオン座の右側に目を移し、おうし座のアルデバランをみつけましょう。このアルデバランからスタートに使った最初の星リゲルを結ぶと六角形ができあがります。
写真を参考にしていただき、じっさいの星空で探してみましょう。6個の星のいずれもが1等星以上の明るい星ですから比較的わかりやすく、しかも大きな星空の六角形ですからみつけられたときは感動すること間違いなしです。
この6個の星から、その周囲にある星座の形もみつけることができます。
お天気の良い、全天が晴れ渡った夜に冬のダイヤモンドをさがしてみましょう。

ベテルギウスが減光している!

オリオン座のベテルギウスは、赤く輝く星で、冬の大三角(おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、オリオン座のベテルギウスを結んだ三角形のこと)の星として知られ、また、オリオン座の2個ある1等星のひとつで、平家星と呼ばれるベテルギウスと源氏星と呼ばれるリゲルは日本でも古くから親しまれてきた星といえます。
このベテルギウスに今、異変が起きています。
脈動変光星として知られるベテルギウスは、星自身がふくらんだりちぢんだりといった変化をしているため、地球から見る明るさも数年の周期で変化しています。
赤色巨星とよばれるベテルギウスは、私たちの太陽よりも直径では約1000倍、質量は20倍程度ある大きな恒星です。
近いうちに大爆発を起こすのではないかといわれており、その時期は100万年以内であろうと推測され、もしかしたらすぐに爆発してしまうのではないかという天文学者もいるくらいです。
もし、爆発したならば、とても明るく輝き、その輝きは昼間でも見えることでしょう。
いつ爆発するかはわからないものの、今、ベテルギウスは暗くなり、2等星のベラトリックスと同じくらいの明るさまで等級が落ちてきています(写真参照)。
いずれにしてもこの冬の星空で最も大きなニュースとなっていますので、読者のみなさんもぜひオリオン座を見て、ベテルギウスの輝きとそれ以外の星の明るさや色のちがいを確かめてみましょう。

オリオン座の姿

2020年1月21日のベテルギウス付近の写真: ベテルギウスが減光していることがわかる

2月の惑星

今月の惑星の見え具合をそれぞれ解説します。
今月の見どころは夕空に輝く金星(宵の明星)です。夕方の南西の空に煌々と輝いています。
日の入りの時刻を過ぎたらすぐに探しはじめるとまだそう暗くならない内にその明るさから1番星としてみつかることでしょう。

水星

2月10日に東方最大離角となり、夕方の西空で観察好機となります。金星と合わせてぜひ観察してみましょう。明るさは最大光度の頃で-(マイナス)1.0等級となります。

金星

宵の明星として、観察好機を迎えています。明るさは-4.1~-4.3等級と明るく他のどの星よりも明るく輝いて見えます。

火星

明け方の空での観察となります。今年の10月6日には最接近を迎えますが、今はまだ地球との距離も遠く、天体望遠鏡を使ってもあまり大きく見ることができませんが、位置だけはぜひ確認しておきましょう、
明るさは1.4等級程度で、へびつかい座からいて座付近を移動しています。

木星

いて座にあり、日の出前にみつけることができます。しかし、低空で天体望遠鏡で見ても気流のゆらぎにより観測には適していません。

土星

木星と土星は、近い位置にあり、木星の後を追って日の出の前に姿を表します。
低空なので、木星同様に天体望遠鏡での観測はむずかしく、位置の確認程度の観察となります。

2月の星空

2月の星空は冬の星座が見えています。
冬のダイヤモンドを構成する1等星の星がある星座をみつけて、星座線で星と星を結び、星座の形を確認しましょう。
そこで、冒頭にも説明しました冬のダイヤモンドの星のある星座をじっさいにみつけていきましょう。
最初に最もみつけやすいオリオン座を南の空にみつけ、その中の1等星リゲルがスタートとなり、右回りにおおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、ふたご座のポルックス、ぎょしゃ座のカペラ、おうし座のアルデバランをみつけましょう。
これらの星からそれぞれの星座の形を確認し、星図をたよりにそのほかの星座(たとえばうさぎ座など)も探してみましょう。

2月の天文情報

月齢は正午の値です
曜日月齢天文現象など
7.2月面Xが見られる
8.2上弦の月
9.2節分
10.2立春(二十四節気
11.2
12.2
13.2月の赤緯が最北
14.2
15.2
1016.2水星が東方最大離角
1117.2建国記念の日 月の距離が最近
1218.2
1319.2月が天の赤道を通過(南半球へ)
1420.2
1521.2
1622.2下弦の月
1723.2
1824.2
1925.2雨水(二十四節気) 月と火星が接近
2026.2細い月と木星が大接近
2127.2月と土星が最接近
2228.2
2329.2天皇誕生日
240.5振替休日 新月 月が水星に最接近
251.5
262.5月の距離が最遠
273.5月が天の赤道を通過,北半球へ
284.5細い月と金星が接近
295.5

2月の星図

南の星空

2月の南の星空(背景黒)

2月の南の星空(背景白)

北の星空

2月の北の星空(背景黒)

2月の北の星空(背景白)

2月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の範囲によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。
このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ11」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。