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ちあきの星空コラム

第202回 コロナ禍での星空の見方 (2020/04/30)

新型コロナウイルスをさけて星を見る

世界的に新型コロナウイルスの感染症が蔓延し、私たちが経験したことがない事態に陥っているこの頃ですが、感染しないように最大限の注意を払いましょう。
こうした時期ですが、星空は変わらず美しく輝いていますので、ぜひ星空を眺めましょう。
不要不急の外出はさけるべきですから、遠出をさけて自宅の庭やベランダから楽しむのがいいでしょう。
星空という非日常の世界を体感することによって、気持ちも和みます。
今月も星空をご案内していきますので、参考にしてください。

この写真は、2001年にアフリカのザンビア共和国で見られた皆既日食時に
太陽が月に隠されているときに太陽コロナの存在を撮影したものです。
新型コロナウイルスにその形が似ていますか?

宵の明星が見おさめ

今年の春は、夕方の西の空にひときわ明るく、夕闇が迫る前からひときわ輝きの強い星として、宵の明星(金星)を見てきました。しかし、今月でいよいよ見納めとなります。
6月4日に金星は内合となり、地球と太陽に挟まれた部分に位置しますので、夕空には見られなくなってしまうのです。
5月でも上旬が最も見やすく、夕空の高い位置に明るく輝きますが、中旬、下旬とだんだん高度を下げていき、ついには見られなくなってしまいます。
明るさも上旬は-(マイナス)4.7等級の明るさを誇りますが、下旬には-4.1等級まで下がってしまいます。
ところで、今月の金星は天体望遠鏡で見ると掲載した写真のように三日月形に見えます。太陽の光が当たっている部分だけが見えるからなのですが、とても神秘的です。機会があれば天体望遠鏡で眺めてみましょう。

今年4月4日の宵の明星の姿を撮影したものです。
西の空に煌々と輝き、他の星とは異なる圧倒的な明るさで輝いています。

5月の金星はだんだんと地球に近づいてきますので、天体望遠鏡で見ると大きく見え、この写真のように欠けた姿として見えます。
まるで三日月のようですね。

金星は、公転していると同時に私たちの地球も公転しているために相互の位置関係が日々変わってきます。
4月4日にはすばる(プレヤデス星団)付近を通過するところが見られましたので撮影しました。
カタカナで名称を記載している星がすばるの主要な星です。
天体望遠鏡にデジタル一眼レフカメラのボディを取り付け撮影しました。

5月6日はみずがめ座η(イータ)流星群に注目!

5月連休の最終日、振替休日の6日にみずがめ座η流星群の流星が流れる様子を観察できます。
6日の早朝午前2時~3時ころに観察しましょう。全天に流れる可能性がありますが、東の空を仰ぎ見て観察するといいでしょう。
秋の星座みずがめ座の方向から夏の大三角をはじめとする夏の星座の中を無音でシューと流れる流星を見ることができることでしょう。
お出かけせずに、自宅のベランダや庭から眺めることをお薦めします。

プラネタリウム休館の対応

先月もお知らせしましたが、コロナ禍の影響を受け、全国的にプラネタリウムや科学館などは休館しています。
その代わりといいますか、ユーチューブなどで、各地のプラネタリウムや科学館などが科学の番組や平面プラネタリウムなどを投稿しています。
お出かけしなくても利用できるインターネットでこうした情報を楽しみましょう。

星を見る会も中止!

各地の星を見る会も、相次いで中止になっています。
私の勤務する足立区ギャラクシティまるちたいけんドームの星を見る会や私の所属する神津牧場天文台(群馬県下仁田町)で5月16日に予定していた天体観望会も中止となりました。
とにかくコロナ禍の収まるまではしばらく我慢してネット活用や読書で日々を暮らしましょう。

5月の惑星

今月の惑星の見え具合をそれぞれご案内します。
先月最大光度で輝いた金星が宵の明星としては今月で見修めとなってしまいます。
深夜には、木星、土星、火星が見られるようになってきています。

水星

5月上旬は太陽に近く、見ることができません。
5月22日には日没後の西の空に金星と接近している様子を見ることができます。

金星

5月の金星は宵の明星として、見納めの時期です。6月4日には太陽の方向に位置する内合を迎え、その時期は全く見ることができなくなってしまいます。
天体望遠鏡で見ると、三日月のように細く欠けた姿で見ることができますので、感動してしまいます。
明るさは-(マイナス)4.7~-4.1等級と明るく輝きますので、その光景を楽しみましょう。

火星

やぎ座の中で0.4等から0.0等となり、さらに明るく輝くようになってくることを予感させる印象を持つことでしょう。10月6日に地球に最も接近しますので、火星は今後、ますます観測しやすくなる対象です。
赤い色に輝いて見える特徴を持っていて、見るとすぐにその存在がわかることと思います。

木星

夜半から明け方にかけて-2.2~-2.4等級で輝いています。
天体望遠鏡で本体の縞模様やガリレオ衛星(イオ、エウロパ、ガニメデそしてカリスト)を観察してみましょう。

土星

木星のすぐ近くにあります。星座でいうとやぎ座に位置しており、0.6~0.4等級の明るさで輝いています。夏休みの頃は、夕空に見られるようになりますので、さらにこれからの観測が楽しみな惑星です。

5月の星空

5月には夜空は春の星座で埋め尽くされています。
北の空には北斗七星のあるおおぐま座やこぐま座が見られます。
天頂付近にはしし座、東の空にはうしかい座、南の空にはうみへび座やからす座が見られます。
下図の星図を利用して星空の中の星座パターンを探してみましょう。

5月の天文情報

曜日月齢天文現象など
8.0上弦の月 八十八夜
9.0
10.0憲法記念日
11.0みどりの日
12.0立夏(二十四節気) 月が天の赤道を通過南半球へ
13.0みずがめ座η流星群が極大 月の距離が最近
14.0満月
15.0
16.0
1017.0
1118.0月の赤緯が最南
1219.0月が木星に最接近
1320.0月と木星、土星が接近
1421.0下弦の月
1522.0月が火星に最接近
1623.0
1724.0
1825.0月の距離が最遠 木星と土星が最接近 月が天の赤道通過北半球へ
1926.0
2027.0小満(二十四節気)
2128.0
2229.0水星と金星が最接近
230.4新月
241.4細い月と水星、金星が最接近、
252.4
263.4月の赤緯が最北
274.4
285.4
296.4月面Xが見える
307.4上弦の月
318.4

月齢は正午の値です

5月の星図

南の星空

5月の南の星空(背景黒)

5月の南の星空(背景白)

北の星空

5月の北の星空(背景黒)

5月の北の星空(背景白)

5月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の範囲によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ11」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。