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ちあきの星空コラム

第203回 部分日食を見よう (2020/06/01)

6月21日は全国的に部分日食が見られる

6月に入りますと梅雨の時期といいますか湿度が高く、星空も望めない日が多くなりますが、晴れの日はぜひ星空を楽しんでください。
今月は21日に部分日食を見ることができます。
前回の日食は昨年の12月26日でしたが、お天気が悪く直接的には見ることができませんでした。そこで、インターネット中継の画像を見ました。
今回は、ぜひご自身の目で太陽観察専用の日食メガネ(「日食グラス」ともいいます)を使って現象を眺めてみましょう。万一、お天気が悪いときは、お天気がよいところからネット配信によりリアルタイムで見ることができることでしょう。

 

昨年1月6日に日本で見られた部分日食の写真(茨城県牛久沼のほとりで撮影)
今回の6月21日部分日食も同じようなイメージで見ることができるでしょう。

日食の予報

今回の部分日食は、晴れていれば全国どこからでも観察することができます。

この図を参考に観察してください。ただし、各地域により経過の時刻は異なります。
この図は、㈱アストロアーツの「ステラナビゲータ11」を使用して東京のデータを図式化しています。

食の始まりが16時11分、食の最大は17時10分です。
今回は部分日食ですが、参考に皆既日食などの写真を掲げます。

皆既日食の様子:今回は部分日食なので、このような姿は見られませんが、皆既日食では太陽面の全体を月が覆い隠すので、太陽から放出されるコロナの様子を肉眼で観察することができます。(1995年10月24日、タイ王国ナコンサワンにて撮影)

ダイヤモンドリング:皆既日食の直前、直後に見られる太陽の光が月のすき間から見られ、太陽光がきらりと光る瞬間の様子。この現象をダイヤモンドリングと呼んでいます。
(2006年3月29日トルコ共和国コンヤにて撮影)

金環日食:上の写真は、2012年5月21日に日本で見られた金環日食の様子です。今回の日食は、日本では部分日食として見られますが、台湾では金環日食となります。2012年の時は関東地方はお天気が悪かったのですが、晴天を求めて群馬県内にある神津牧場天文台まで出かけて撮影しました。なお、下の写真は神津牧場天文台でこの日食を連続写真としてとらえたものです。

日食を安全に眺める

太陽を直接見て眼に障害を受けると大変です。直接肉眼で太陽を見てはいけません。
日食の様子を観察するには、太陽観察専用の「日食メガネ」を必ず使用してください。
天体望遠鏡専門店やカメラ店などで日食メガネを購入し、これを使用観察しましょう。
写真用フィルムの黒い部分やガラスにろうそくの炎のススをつけたガラス片などは、有害な太陽からの光線を通過させてしまう可能性がありますので、決して使用しないでください。日食メガネを使って安全・安心な日食観察を楽しみましょう。

太陽を直接見てはいけません。必ず日食メガネを使用しましょう!

月や惑星の位置に注目!

6月9日未明に月、木星、土星が集合

この時期、深夜になりますと惑星などが見えてきますが、6月9日には月齢17の明るい月とその付近に木星と土星が見られます。
満月過ぎの明るい月が輝いていますが、それに負けずに明るい惑星の木星と土星がみつかることでしょう。

6月9日午前2時30分のシミュレーション図。真南の高度角30度の位置付近に月と木星、金星が接近して見られます。この星図は、コンピュータソフト「ステラナビゲータ11」を使用しています。

6月13日の月と火星の接近を見る

みずがめ座の中で、この日は月(月齢22の下弦の月)と火星が接近している様子を見ることができます。火星の色が赤く見えることも確認しましょう。

金星が明けの明星として明け方の空に見られる

5月には宵の明星として見られていた金星は、6月4日に内合を迎え、以後は明け方の空で見えるようになります。つまり明けの明星になるわけですが、6月中旬以降に明け方の東の空に確認できるようになることでしょう。
朝、太陽が昇る前に東の低空の空でみつけるのも楽しみですが、早起きをしないと見られませんので、ちょっと大変ですが、頑張ってみましょう。

2017年4月24日の夜明けの頃に見られた月と金星(明けの明星)の接近写真

先月のコラムにも登場した写真ですが、明けの明星となった6月20日頃の金星の姿は、やはり細く欠けた月のような姿で見ることができます。

コロナ禍の影響によるプラネタリウムの休館

5月はコロナ禍の影響を受け、全国的にプラネタリウムや科学館などは休館していましたが、6月に入り、再開しているプラネタリウム館が多くなってきました。
ただし、マスクの着用、入場者の制限など新型コロナウイルスの感染を防ぐ措置がとられていることが多く、お出かけの際はマスクなどを忘れにならないようにしましょう。
私の勤務する足立区ギャラクシティまるちたいけんドームでも6月1日からプラネタリウムを再開しています。ぜひ、お気をつけてお出かけください。

6月の惑星

今月の惑星の見え具合をご案内します。
先月まで宵の明星として見られた金星が、今月からは明けの明星となります。
そのほかの惑星としては深夜に、木星、土星、火星が見られるようになります。

水星

6月4日に東方最大離角となりますので、夕方の西の空で見ごろとなります。

金星

6月4日に内合となり、5月には宵の明星として見えていたものが、これからは明けの明星として見られるようになります。
じっさいには、明け方の東の空の低空に見られるようになる6月下旬ころからが観測好機となり、天体望遠鏡で見ると、三日月のように細く欠けた姿で見ることができます。
明るさは-(マイナス)4.2~-4.7等級と明るく輝きますので、その光景を楽しみましょう。

火星

みずがめ座の中にあり、赤く明るく輝いています。
10月6日の最接近にだんだんと近づいてまいりますので、楽しみです。
明るさはおよそ0等星で、付近の星座の星よりも明るいので、すぐにみつけることができます。

木星

夜半から明け方にかけて-2.4~-2.6等級で輝いています。
6月9日には月と土星を含めて接近した様子が見られますので、楽しみです。

土星

木星のすぐ近く、やぎ座の中にあります。明るさは0.4~0.2等級で、木星よりは暗いのですが、星座を形づくる周囲の恒星よりも明るく、みつけやすいことでしょう。

6月の星空

6月の星空は春の星座でいっぱいです。
北に見られるおおぐま座やこぐま座のほか、東の空にはうしかい座、南の空にはおとめ座やうみへび座、からす座などが見られます。
ご案内している星図を利用して星空の中の星座パターンを探してみましょう。

6月の天文情報 (月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
9.4月が天の赤道を通過南半球へ
10.4
11.4月の距離が最近
12.4水星が東方最大離角
13.4芒種(二十四節気)
14.4満月 半影月食
15.4
16.4月の赤緯が最南
17.4月と木星、土星が最接近
1018.4入梅(太陽黄経80度)
1119.4
1220.4
1321.4下弦の月 月が火星に最接近
1422.4火星が西矩
1523.4月が天の赤道通過北半球へ 月の距離が最遠
1624.4
1725.4
1826.4
1927.4月と金星が最接近
2028.4
2129.4夏至(二十四節気) 新月 部分日食が見られる
220.8月の赤緯が最北 月が水星に最接近
231.8
242.8
253.8
264.8
275.8
286.8上弦の月
297.8月が赤道を通過南半球へ
308.8

6月の星図

南の星空

6月の南の星空(背景黒)

6月の南の星空(背景白)

北の星空

6月の北の星空(背景黒)

6月の北の星空(背景白)

6月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の範囲によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ11」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。