ちあきの星空コラム
第205回 木星と土星に注目! (2020/07/31)
木星と土星が観測しやすくなりました
今年も夏のシーズンに木星と土星が見ごろとなります。
木星はいて座に、土星はおとなりのやぎ座にあり、午後9時頃に南の空を見上げるとこのふたつの星は周囲の星座を形づくる恒星よりも明るく見えますので、とても目立ち、誰でもすぐにみつけることができるでしょう。
天体望遠鏡で見ると大きく拡大してその姿を見ることができますので、木星は表面の縞模様や木星周辺を回る衛星の姿を見ることができます。土星では本体の周辺にある環の存在がわかります。さらに土星の衛星であるタイタンも見ることができます。
ネオワイズ彗星が見られました
7月にネオワイズ彗星が明るく見られました。
尾を伸ばしたホウキのような独特の形がとてもダイナミックですが、あいにく関東では梅雨が明けず、お天気の悪さからほとんど見ることができませんでしたが、全国的には各地で見られ、写真のような彗星の写真がとらえられました。
夏の星空を楽しむ
今年はコロナ禍の影響で夏休みが短くなっていますが、8月には短くても夏休みがありますので、星や星座を楽しみましょう。
夏の代表的な星々として、夏の大三角があります。こと座のベガ、わし座のアルタイルそしてはくちょう座のデネブを結ぶ大きな三角形は最もみつけやすい夏の星空の目じるしといえます。日本ではベガは織姫星、アルタイルは彦星として七夕の伝説と共に親しまれてきた星でもあります。
また、南の空にはさそり座やいて座が見られます。
さらに、天の川は南の空のさそり座付近から天頂付近のはくちょう座のデネブに向かって見られるのですが、都会地では光害(ひかりがい=まち明かりなど)の影響を受け、見ることができない地域が多くなってきました。
おうちで星見を楽しむのがコロナ禍の中ではもっとも望ましい星見の姿となりますが、郊外地にお出かけの際などには、ぜひ夏の星座をみつけ、さらに天の川も見えるかどうか確認してみましょう。
8月の惑星
木星と土星が観測に最適のシーズンとなってまいりました。
各惑星の位置を確認して、星座の中の惑星をみつけることも楽しみですが、天体望遠鏡で観察、観測ができたらもっと楽しみが大きくなります。
各惑星の見え具合を次にご案内します。
水星
8月の前半は明け方の東の空に見つけることができますが、月後半は見られません。
金星
明けの明星として輝いています。
8月13日に西方最大離角となりますので、太陽の位置から最大限に離れて見やすいと言えます。明るさは-4.5等級~-4.3等級と明るく、他の星とは圧倒的に差がある明るさですから、早起きして東の空を見るとすぐにもつけることができます。
火星
秋の星座のうお座の中にみつけることができます。午後10時頃になれば東の空に赤々したその姿を見ることができます。
明るさは、-1.5等級程度の明るさに見えますので、周辺の星よりも明るくすぐに見つけることができることでしょう。
10月6日には地球に最接近をする予定です。
木星
-2.6~-2.4等級の明るい輝きで、最も目立つ星としてすぐに見つけることができます。土星も付近に見られ、並んでいるように見えます。
天体望遠鏡では本体に縞模様が見られ、周囲には木星の月をみつけることができます。
土星
木星と並んで輝いています。
明るさは0.1~0.3等級で、ぜひ天体望遠鏡で環の存在を確認してもらいたい天体です。
8月の星座さがし
8月の星空はからっと晴れた星空の時は星座観察をしましょう。
天頂付近には夏の大三角をはじめ、夏の星座がたくさん見られます。
夏の大三角は、こと座のベガとわし座のアルタイルそれにはくちょう座のデネブの3星で構成された三角形ですが、まず、その3星と3星座をみつけましょう。
次に夏の大三角の南にあるへびつかい座、さそり座、てんびん座それにいて座を探してみましょう。また、大三角の西側にはヘルクレス座が、東にはいるか座、こうま座など、さらに北側にはりゅう座やケフェウス座が見つけられます。
夜半を過ぎてからは、東の空からペガスス座、うお座、みずがめ座さらにやぎ座などの秋の星座を見つけることができます。
郊外地で星座を鑑賞するときは月夜の夜をさけ、南の空から北の空に向かって天の川(銀河)の淡い輝きも見ましょう。
初めて見る天の川の感激はきっと素晴らしい体験になることでしょう。
8月の天文情報
(月齢は正午の値)
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 土 | 11.4 | 月の赤緯が最南 |
2 | 日 | 12.4 | 月と木星、土星が接近 |
3 | 月 | 13.4 | |
4 | 火 | 14.4 | 満月 |
5 | 水 | 15.4 | |
6 | 木 | 16.4 | |
7 | 金 | 17,4 | 立秋(二十四節気) 七夕 |
8 | 土 | 18.4 | 月が天の赤道を通過、北半球へ |
9 | 日 | 19.4 | 月と火星が接近 月の距離が最遠 |
10 | 月 | 20.4 | 山の日 |
11 | 火 | 21.4 | |
12 | 水 | 22.4 | 下弦の月 ペルセウス座流星群が極大 |
13 | 木 | 23.4 | 金星が西方最大離角 |
14 | 金 | 24.4 | |
15 | 土 | 25.4 | |
16 | 日 | 26.4 | 月が金星に接近 月の赤緯が最北 |
17 | 月 | 27.4 | |
18 | 火 | 28.4 | |
19 | 水 | 0.0 | 新月 |
20 | 木 | 1.0 | |
21 | 金 | 2.0 | 月の距離が最近 |
22 | 土 | 3.0 | 月が天の赤道を通過南半球へ |
23 | 日 | 4.0 | 処暑(二十四節気) |
24 | 月 | 5.0 | |
25 | 火 | 6.0 | 伝統的七夕(旧暦の七夕) |
26 | 水 | 7.0 | 上弦の月 |
27 | 木 | 8.0 | |
28 | 金 | 9.0 | 月の赤緯が最南 |
29 | 土 | 10.0 | 月と木星、土星が接近 |
30 | 日 | 11.0 | |
31 | 月 | 12.0 | 二百十日 |
8月の星図
南の星空
北の星空
田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。