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ちあきの星空コラム

第208回 晴れわたる11月の星空 (2020/11/02)

快晴の夜に条件良く星を見る

夜空いっぱいの星空を見たいと思うのは星好きならだれでも思うこと。
しかし、お天気は必ず晴れてはくれるとは限りませんが、快晴の夜空は多くの星座をみつけることができますので、ぜひ星空を見上げましょう。特に11月は、晴天率が高く、快晴の夜が多いものです。そうした夜に星見を楽しみましょう。
星空を見るのには条件があります。星の輝きを見えにくくするものは月明かりの存在やまち明かりの存在です。
一般的に星空観察をおこなう時間帯(午後7時頃から9時頃)に月あかりの影響が少ないことを条件にして考えますと、三日月の頃は問題ありませんが、上弦の頃から満月過ぎまでは、星が見えにくい条件となります。次に満月を4日程度過ぎた頃から新月を経て、次の三日月のころまでの期間は、星見の条件が良いといえます。
次に、まち明かり(光害)が星見の条件を悪くします。郊外地などに出かけてみれば、光害が少なく多くの星を見ることができますが、都会地での観察では、付近の照明灯などの明かりが視野に入らない場所で見るようにしましょう。
満天の星空では、星座さがしが容易に行えます。星座早見を片手にぜひ、多くの星座をみつけてみましょう。

まだ見られる火星、木星、土星

朝夕は寒く、星見に防寒具が必要な時期になってまいりましたが、夏の頃から西の空に見えていた木星、土星がまだ夕空の西の空に見えています。
夕暮れ時が早くなったことにも起因していますが、まだ見られるこのふたつの惑星をぜひ、観察しましょう。
天体望遠鏡がない方も、星座の中の位置関係や、このふたつの星の相互位置関係など観察するといいでしょう。
また、あかあかと輝く火星は、うお座の中にあり、天高く明るく輝いています。位置の移動も早く、1か月間の移動も、日々、星座の星との位置関係を記録しておけば確実にわかります。もちろん、天体望遠鏡で見れば丸い円盤状の火星の姿は、表面に模様も確認できることでしょう。

火星 2020年10月14日川端孝幸氏撮影

11月15日午後7時の空です。火星は南東の方向、高度角約50度のあたりにみつけることができます。木星と土星は南西の空、高度角約20度あたりの位置にあります。
((株)アストロアーツのステラナビゲータ11によるシミュレーション画像)

11月の惑星

惑星の観測好機は続いています。11月になっても夕方の西空には木星と土星を観測できますし、火星は10月6日の最接近日以降、地球から遠ざかりつつありますが、赤々と輝き明るく見えます。さらに金星及び水星は、明け方の空で観測することができます。各惑星の位置や見え具合などは次のとおりです。

水星

11月11日に西方最大離角を迎えますので、明け方の東の空に見ることができます。明るさは1.6等級~2.0等級と明るく。夜明け直前に確認して見ましょう。

金星

明けの明星として明け方の東の空に-4.0等級~-3.9等級の明るさで輝いています。中旬には水星と一緒に見ることができます。

火星

10月6日の地球最接近を過ぎましたが、観測好機は今月も続いています。
その輝きは赤く、-2.1等級~-1.2等級の明るさでうお座の中にあり、とても目立ちます。

木星

-2.0~-1.9等級の明るさで、土星と並んで輝いています。
天体望遠鏡では本体の縞模様のほか、衛星(4個のガリレオ衛星)を見ることができます。

土星

やぎ座の中にあり、明るさは0.6等級で、木星と共に輝いています。
天体望遠鏡で観察すると本体をとり巻く環が見られます。

11月の星座観察

11月は、晴天率も高く、秋の星座さがしを楽しみましょう。
特に、中旬以降の晴れ渡った星空は、月明かりの影響もなく、楽しく星座をみつけることができることでしょう。
天頂近くの高い位置に秋の四辺形(ぺガススの四辺形)をまずみつけ、その四辺形を胴体に持つペガススの姿(ぺガスス座)をみつけましょう。
次に四辺形付近にある、うお座、おひつじ座、くじら座などをさがしましょう。
南の空にはみずがめ座、みなみのうお座、やぎ座などをみつけることができます。
北の空では、天の川の流れる付近にペルセウス座、カシオペヤ座、アンドロメダ座、ケフェウス座などをさがしてみましょう。
1等星は、みなみのうお座のフォーマルハウトしかなく、さびしい星空などといわれることもありますが、星座が次々とみつかれば、秋の天の川付近を中心に多くの星座でにぎやかな雰囲気も感じられます。

11月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
15.3
16.3
17.3文化の日
18.3
19.3
20.3月の赤緯が最北
21.3立冬(二十四節気)
22.3下弦の月
23.3
1024.3
1125.3水星が西方最大離角
1226.3月が天の赤道を通過南半球へ
1327.3細い月と金星が接近(明け方)
1428.3月の距離が最近
1529.3新月
160.9
171.9しし座流星群が極大
182.9月の赤緯が最南
193.9細い月と木星が接近
204.9月が土星に接近
215.9
226.9小雪(二十四節気) 上弦の月
237.9勤労感謝の日  月面Xが見える
248.9
259.9月が天の赤道を通過、北半球へ
2610.9月が火星に最接近
2711.9月の距離が最遠
2812.9
2913.9
3014.9満月 半影月食

11月の星図

南の星空

11月の南の星図(背景黒)

11月の南の星図(背景白)

北の星空

11月の北の星図(背景黒)

11月の北の星図(背景白)

11月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の範囲によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ11」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。