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ちあきの星空コラム

第210回 今年見られる天文現象 (2020/12/25)

2021年の天文現象などを楽しむ

あけましておめでとうございます。本年も1年間星空の魅力についてお届けしますので、よろしくお願いします。
今月は、今年1年の天文現象などの情報をお送りします。
これを参考にしてぜひ、観察して星に親しみを覚えていただきたいと思います。
今年前半には、あまり天文現象が見られませんが、5月以降はいろんな天文現象を見ることができます。また、七夕(たなばた)や中秋の名月などのお祝い事もあります

1月4日 しぶんぎ座流星群

3大流星群(しぶんぎ座流星群、ペルセウス座流星群、ふたご座流星群)のひとつです。今年は極大日が1月3日の23時頃と予測されていますので、1月4日午前0時から夜明けまでが観測の好機です。なお、下弦を迎える前の月明かりがありますので、月を視野に入れないようにして夜空を仰ぎ見ましょう。1時間あたり見られる流星数は、20~30個程度と予想されます。

5月26日 皆既月食

今年の皆既月食はこの一度しか見られませんので、お見逃しなく。
なお、11月19日には部分日食を見ることができます。

皆既月食の時に見られる赤い満月

5月26日 スーパームーン

一年で一番大きく見える満月のことをスーパームーンと呼びますが、今年は5月26日の満月がこれにあたります。
ちょうど皆既月食になりますので、ゆっくり観察してみましょう。
なお、逆に1年で一番小さく見える満月をミニマムムーンと呼ぶことがありますが、今年は12月19日の満月がこれに該当します。

5月29日 水星、金星の接近

5月29日午後7時頃、西北西の高度10度付近に見られる水星、金星の最接近を目撃しましょう。金星の明るさに対して水星はやや暗く見えます。低空ですが、さがしてみましょう。みつかれば感激ものですよ!

以前に見られた水星と金星の様子を撮影したものです

6月23~24日 火星がプレセぺ星団に侵入

梅雨時ですが、もし晴れたら注目すべき現象ですので、注目して見ましょう。比較的大きく見えるかに座のプレセぺ星団の中に火星が侵入しているように見えます。
今回の現象は、夕空の西の低空に見られる現象ですからちょっと見づらいかもしれませんが、双眼鏡などを使って観察してみましょう。

7月7日 七夕(たなばた)を祝う

7月7日は七夕祭りです。笹に願い事を書いた短冊をかざるお祭りですが、伝統的に昔から通してきた七夕は、旧暦の七夕まつりであり、現在では「伝統的七夕」と呼ばれ、今年は8月14日です。この日も忘れずに2回、お祝いしましょう。

七夕飾り

7月13日 火星と金星の接近

7月13日午後7時頃西の空、高度18度付近に火星、金星の接近が見られます。天体望遠鏡などの装置は一切必要ありません。肉眼で見ることができますので、ぜひ観察してみましょう。

8月13日 ペルセウス座流星群の極大

今年のペルセウス座流星群は、8月13日午前4時ごろをピークとして見られます。月明かりの影響も少なく、好条件ですから13日の午前1時頃早起きして夜明けまで観察できるといいですね。

流れ星の写真。音もなく、スーと流れる神秘的な現象です

8月~10月 土星が見ごろ

8月2日に衝を迎える土星は、夏休みの8月から10月いっぱいが見ごろとなります。

9月~11月 木星が見ごろ

8月20日に衝を迎える木星は、これ以降11月上旬まで見ごろとなります。

9月21日 中秋の名月

今年は9月21日が中秋の名月(十五夜)です。お団子やススキをお供えして名月を鑑賞しましょう。また、10月18日は後の月(十三夜)と呼ばれ、古くから日本ではこの月の日もお祝いをする習慣があります。

10月30日前後に金星が見ごろ

金星は10月30日に東方最大離角を迎え、西の夕空に明るく輝く宵の明星と呼ばれ、しばらくの間は一番星として明るく輝いています。

11月9日 月、金星、木星、土星が並んで見られる

11月9日の夕空に月、金星、木星、土星が並んで見られます。月が晴れた夕空の中のこの現象を眺め、写真撮影にもチャレンジしてみましょう。
このほか、12月7日~9日頃の夕空の西南西の空にも同様に月、金星、木星、土星が集合した様子を見ることができます。

11月9日の月と惑星の様子を模式図にしてみました

12月14日 ふたご座流星群

毎年、12月14日頃には流れ星が多く見られます。今年は上弦を過ぎた明るい月があり、観察の障害になりますが、それでも明るい流れ星は十分見ることができますので、ぜひ観察してみましょう。

12月21日に木星と土星が大接近

※この現象は2020年の速報としてお届けしています。
12月21日前後には木星と土星が南西の空で大接近しましたが、その様子を撮影しましたので、お届けします。ご覧ください。

木星と土星の大接近2020年12月21日撮影

木星と土星の接近した様子を天体望遠鏡でとらえた写真、木星の衛星が写っています

1月の星座観察

1月の空は、冬の星座で埋め尽くされています。
冬の星座の中には明るい1等星以上の恒星が7個見られ、他の季節の星空よりもにぎやかに見られます。
天頂高く輝くぎょしゃ座のカペラから時計回りに1等星を探して、おうし座のアルデバラン、オリオン座のリゲル、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、ふたご座のポルックスそして再びカペラに戻ると大きな六角形ができますが、これを冬のダイヤモンドと呼んでいます。また、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、オリオン座のベテルギウスの3星で形づくる三角形を冬の大三角と呼んでいます。
凍てつく冬の夜空ですが、十分に防寒対策をして星座観察を楽しみましょう。

1月の天文情報 (月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
17.4元日
18.4
19.4しぶんぎ座流星群極大(23時)
20.4
21.4小寒(二十四節気)
22.4下弦の月
23.4
24.4
25.4
1026.4水星と土星が最接近 月の距離が最近
1127.4成人の日
1228.4月と金星が最接近 水星と木星が最接近 月の赤緯が最南
1329.4新月
140.9月が水星、木星、土星に最接近
151.9
162.9
173.9
184.9
195.9月が天の赤道を通過、北半球へ
206.9大寒(二十四節気)
217.9上弦の月 月の距離が最遠 月と火星が接近
228.9火星が東矩
239.9
2410.9水星が東方最大離角
2511.9
2612.9
2713.9月の赤緯が最北
2814.9
2915.9満月
3016.9
3117.9

1月の星図

南の星空

1月の南の星図(背景黒)

1月の南の星図(背景白)

北の星空

1月の北の星図(背景黒)

1月の北の星図(背景白)

1月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の範囲によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ11」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。