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ちあきの星空コラム

第211回 冬の星空 (2021/02/02)

オリオン座を中心に星空を探訪

冬の空は関東地方では晴れの日が多く、また大気のゆらぎが大きい日が多く、キラキラとまたたきにより宝石のように美しく輝いて見えます。
また、冬の星座には、他の季節の星座よりも1等星が多く、明るい星で構成された星座は目立ち、みつけやすくもあります。
今月は、代表的な冬の星座をご紹介しましょう。

オリオン座

全天で88星座がありますが、最も親しまれている星座といえましょう。
中央に三ツ星が配置され、南北にある4個の星で三ツ星を囲み、その整った形からいろんな呼び名で親しまれてきました。
その形状から日本では古くはつづみぼし(鼓星)、最近ではおりぼん座などとも呼ばれているようですが、勇者オリオンの右肩に当たる位置にあるベテルギウスと左足に位置するリゲルのふたつの1等星が、前者が赤色、後者が白色に輝くことから平家星、源氏星などとも言われてきました。
三ツ星の南側にはオリオンの短剣に位置するところに小三ツ星があり、その真ん中の星はなんとオリオン大星雲なのです。
肉眼でもみつけられ、双眼鏡や天体望遠鏡で見ると星雲の姿がわかります。
晴れた夜はオリオン座の存在をみつけ、じっくり眺めてみましょう。

オリオン座の姿、このコラムでは以前にも紹介したこの写真はオリオン座の三ツ星や1等星のベテルギウス、リゲルのほか、オリオン大星雲の位置関係もわかりますから実際の空でオリオン座を眺める時に参考にしてください。

オリオン大星雲M42の姿

おうし座

おうし座は、オリオン座が南の空高く輝くときにはその右側(西側)に位置し、大きな牡牛の姿が印象的です。牛の顔はヒヤデス星団、牛の心臓部にあたる部分にはプレアデス星団(和名:すばる)があります。

おうし座にはふたつの星団(ヒヤデス星団とプレアデス星団=和名すばる)があり、ヒヤデス星団には1等星アルデバランも輝いています

プレアデス星団は青白い星で構成されており、誕生してまだ若い星だといわれています。肉眼でも6個の星の集団だとわかりますが、双眼鏡や天体望遠鏡では数十個からそれ以上の多くの星から構成されていることがわかります。

ぎょしゃ座

1等星カペラがみつかれば、あとは5角形をたどって星座の全容をつかみましょう

天高く頭上に輝くぎょしゃ座は、1等星カペラがとても目立つ5角形の星の配列のある星座です。末尾に掲げる星図では、北の空の天頂近くにあることがわかります。
天体望遠鏡では明るい星団を見ることができます。M36、M37及びM38という3個のM(メシエ)天体で、この星座は冬の天の川の中に見られます。

ふたご座

星占いに出てくる、お誕生月の星座ですからよく知られていますが、本物の星座はなかなかみつけられないことが多く、そうしたときは、オリオン座との位置関係から1等星ポルックスと2等星カストルのふたつの星をさがし、星座の配列から星をたどってみつけましょう。お誕生日としては5月後半から6月生まれの星座といわれていますが、これはその時期にふたご座の方向に太陽が位置している星座という意味で、お誕生月そのものにはふたご座は見えません。
2月頃の星空でさがすのが最もみつけやすいといえましょう。

カストルとポルックスは明るく、カニの目の様に見えることから日本では「ガニの目」などと呼ばれていました。確かめてみましょう。

冬の星座を魚眼レンズでとらえた写真です。2020年2月のコラムでも掲載した写真ですが、これを見ると星座の相互位置関係を探すのに、1等星の配列(位置)から探していくのが良いと思います。末尾の星図と併せてご覧ください。

こいぬ座

星座としては比較的小さな星座ですが、1等星プロキオンが輝き、これが、オリオン座のベテルギウス及びおおいぬ座のシリウスと結んで正三角形をかたちづくることによって、冬の大三角として呼ばれており、こいぬ座として認識しなくても、冬の大三角として先に覚えてしまうことでしょう。

おおいぬ座

星座の形は、犬の姿を線で結んで比較的わかりやすい星の配列をしています。シリウスをみつけたら星座線もたどって星座の形を把握しましょう。

全天で最も明るく見える恒星シリウスがあり、その明るさは-(マイナス)1.44等星です。その輝く様子が冬の凍てつく夜空にとてもぴったりで、印象的な星として多くの方々に親しまれています。

2月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
18.9
19.9節分 月が天の赤道を通過、南半球へ
20.9立春(二十四節気)
21.9月の距離が最近
22.9下弦の月
23.9金星と土星が最接近
24.9
25.9
26.9月の赤緯が最南
1027.9月が土星に最接近
1128.9建国記念の日 月が金星に最接近 月が木星に最接近
月が水星に最接近 金星と木星が最接近
120.3新月(旧正月)
131.3水星と金星が最接近
142.3月が水星、木星、土星に最接近
153.3月が天の赤道を通過、北半球へ 水星と木星が最接近
164.3
175.3
186.3雨水(二十四節気) 月の距離が最遠
197.3月が火星に最接近 月面Xが見える
208.3上弦の月
219.3
2210.3火星が東矩
2311.3天皇誕生日 月の赤緯が最北
2412.3
2513.3
2614.3
2715.3満月
2816.3

2月の星図

南の星空

2月の南の星図(背景黒)

2月の南の星図(背景白)

北の星空

2月の北の星図(背景黒)

2月の北の星図(背景白)

2月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の範囲によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ11」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。