つくばのこと、もっとわかれば もっとたのしい! 茨城県つくば市のケーブルテレビ局ACCSによる地域情報サイト

ちあきの星空コラム

第212回 春分を迎える (2021/03/01)

3月20日は春分の日

今年も春分の日がやってまいります。今年は3月20日です。
「春分の日ってどういう日?」と疑問もあろうかと思います。
法律に基づく春分の日の意味は、「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」となっています。
しかし、一般的には「昼と夜の時間が同じ長さになる日」といった答えが返ってくることが多く、ほかには、「太陽が真東の方向から昇り、真西に沈む」といった答えをする方もいます。
秋分も同様な答えが返ってきます。
春分から秋分までの期間(夏場)は昼の方が長く、秋分から春分までの期間(冬場)は夜の方が長いといった説明も良く聴きます。
天文学的には、天球上の天の赤道と黄道(太陽の通り道)が交わる点が2点あって、その点を1年の間に太陽はそれぞれ1度、通過します。
その点を春分点、秋分点といいますが、太陽が通過する日を「春分日、秋分日」と呼び、国民の祝日「春分の日、秋分の日」に定められているのです。
次の春分の日、秋分の日がいつになるかということですが、1年間は365日と定めてカレンダーを作っていますが、地球の公転周期との誤差を修正するために、うるう年を設けて1年を366日にする年を決め、誤差を修正しています。
昨年(2020年)がそのうるう年でしたね。
したがって、カレンダーを見ると春分の日が毎年同じ日にはならず、昨年や今年は3月20日となっていますが、来年(2022年)は3月21日となります。
太陽や星の位置を観測して、その天文学的条件から日にちが決められることになります。じっさいは、国立天文台が、前年の2月の最初に発行される官報に暦要項(れきようこう)を発表し、その春分日、秋分日に基づいて国が国民の祝日である春分の日及び秋分の日を決めているのです。
カレンダー業者などは、作成するカレンダーの前の年の2月の最初に発刊される官報を入手して春分、秋分を確認して翌年のカレンダーづくりを行うこととなります。
ちなみに春分の日がいつなのか表にまとめてみました。これを見るとたしかに年によって変化しているのがわかりますね。

近年の春分の日(来年を含む)
年(西暦)その年の春分の日
20183月21日
20193月21日
20203月20日
20213月20日
20223月21日

火星(かせい)がすばるに接近

火星は昨年の10月に地球に最接近し、だんだんと遠ざかりつつありますが、3月上旬にはおうし座のすばる(プレアデス星団)に接近し、その様子は肉眼や双眼鏡で見ることができます。じっさいには、3月1日~3月8日頃にすばるの近くを横切っていくように見られますので、観察してみましょう。
ただし、肉眼で観察すると、動画を見るように火星が移動しているわけではなく、1日たったときにどの程度移動したかを下図に照らし合わせて確認するといいでしょう。
肉眼でも観察できますが、双眼鏡を使って正確に確認するとよくわかります。

 

惑星の位置を確認しよう!

昨年後半は夕方の西の空に見られた惑星は、この春は火星以外は明け方の東の空に見られます。
早起きして観察してみましょう。

月(つき)と火星が大接近

火星はおうし座の中に見え、3月上旬にはすばるに接近することを説明しましたが、3月19日には、月と接近する様子が見られます。
肉眼でも双眼鏡でも楽しめます。
もし、見て感動したらデジタルカメラなどで撮影にもチャレンジしてみましょう。

明け方の東の空に水星、木星、土星が見られる

水星や木星、土星は明け方の空に見られます。
また、3月5~6日頃には水星と木星が接近している様子が見られます。
このうち、水星は6日に西方最大離角を迎え、見やすくなります。
日の出の前の空がだんだん明るくなる頃に南東の低空に見ることができます。
ぜひ早起きをしてその様子を観察しましょう。もちろん肉眼で見ることができます。

今年の1月に夕空に水星が見られたときに龍ケ崎市たつのこ山から撮影。
3月に見られる水星は明け方の空ですから早朝から観察し、
空がやや明るくなってくる頃、朝焼けの中に見ることができます。

3月の星空

これまでは天を仰ぐとオリオン座をはじめ、冬の星座が見られましたが、3月に入りますと、春の星座が見えはじめます。
3月は、寒さもやわらぎ星座さがしもやりやすくなります。西の空にはまだ冬の星座が見られますが、東の空から春の星座が見えます。
頭上より北の空にはおおぐま座やこぐま座が見られますが、南の高い空にはしし座が見られ、南にはうみへび座などの春の星座が東の空から昇ってきます。
星図を参考にして星座さがしを楽しみましょう。

3月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
17.3月が天の赤道を通過、南半球へ
18.3月の距離が最近
19.3
20.3火星とプレアデス星団が最接近
21.3啓蟄(二十四節気) 水星と木星が最接近
22.3下弦の月 水星が西方最大離角
23.3
24.3月の赤緯が最南
25.3
1026.3細い月が土星に最接近(明け方の東の空)
1127.3月が木星に最接近 月が水星に最接近(明け方)
1228.3
1329.3新月
140.7
151.7月が天の赤道を通過、北半球へ
162.7
173.7
184.7月の距離が最遠
195.7月と火星が接近
206.7春分の日 春分(二十四節気)
217.7上弦の月
228.7月の赤緯が最北
239.7
2410.7金星が外合
2511.7
2612.7
2713.7
2814.7
2915.7満月 月が天の赤道を通過、南半球へ
3016.7月の距離が最近
3117.7
3月の星図
南の星空

3月の南の星図(背景黒)

3月の南の星図(背景白)

北の星空

3月の北の星図(背景黒)

3月の北の星図(背景白)

3月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の範囲によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ11」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。