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ちあきの星空コラム

第216回 夏の星空 (2021/07/01)

七夕の星を見よう

7月になりますと、夏の星空が見られるようになります。
天の川が輝く夏の星空は、夏の大三角をはじめ多くの星々が見られますが、その中でも七夕(たなばた)の星を見てみましょう。
7月7日は七夕の日といわれていますが、これは、昔からの言い伝えによりますと、織女(しょくじょ=織姫星)と牽牛(けんぎゅう=彦星)の夫婦は、1年に一度、七夕の日にしか会うことができません。
牽牛と織女は天の川をはさんで離ればなれに暮らしているので、七夕の日に雨が降ると川の水かさが増すために、会うことができません。
ぜひこの日は晴れて星空が望めるといいですね。
ところで、七夕の星は、実際の星空ではどの星なのでしょうか?
七夕の星のふたつの星は、とても明るく夏を代表する「夏の大三角」の3星のうちの2星なのです。夏の大三角は、こと座のベガ、わし座のアルタイル及びはくちょう座デネブなのですが、このうち、こと座のベガが織姫星、わし座のアルタイルが彦星にあたるのです。
つまり、夏の大三角をみつければ、七夕の星がみつかったことになるのです。
下に掲げる写真を参考に夏の夜空に七夕の星をさがしましょう。

夏の大三角の説明写真

7月12日の夕方に 月、金星及び火星の集合が見られる

7月12日の日没の後、西北西の低空の空に注目してみましょう。そこには細い月と金星、火星が輝いています。日没後とはいえ、まだ明るさの残った星空の中、しし座のあたりに見られますので注目してみましょう。特に金星が宵の明星として特段に明るく輝いていますので、見つかりやすいことでしょう。

7月24日から26日にかけては月と土星、木星が集合

月、木星、土星の集合は、7月24日から26日までの3日間、見られます。このチャンスを生かして、晴れた機会に見逃さずに見ましょう。特に月が土星と接近するのが24日。木星と月は26日に接近します。
時刻は、23時頃、南東の空の高度角約30度くらいの位置に見えます。

月と土星、金星、水星が接近した過去の写真

7月の惑星

7月に入ると宵の明星(よいのみょうじょう=金星)のほか、深夜には土星と木星が見られ、7月上旬には明け方の空に水星の姿も見られます。
夏場は冬と違って上層大気にジェット気流のようなはげしい大気の流れがありませんので、天体望遠鏡で見る惑星の姿もはっきり見ることができます。
ぜひ、天体望遠鏡で観察してみましょう。

水星

7月5日に西方最大離角を迎えます。残念ながら見られるのは夜明け前の東天ですが、早起きをすれば7月10日過ぎころまで見ることができるでしょう。

金星

夕空の西の空、宵の明星(よいのみょうじょう)として、ほかの星よりも明るいので、夕暮れ時に一番星として見ることができます。明るさは、-(マイナス)3.8~3.9等級の明るさを誇り、あまりの明るさによって目立つので、UFOと勘違いする人もいるほどです。

火星

夕方の西の空に1.8等級の明るさで輝いています。付近にしし座の1等星レグルスがありますから一緒にさがしてみましょう。

木星

8月20日に衝となる木星は、深夜まで待てばみずがめ座の中で輝いているところをみつけられると思います。
明るさは、-2.5~-2.7等級の明るさですから周囲のどの星よりも明るく、すぐにそれとわかる輝きです。

土星

8月2日の衝を控えて、明るくなってまいりました。0.4~0.2等級の明るさで、やぎ座の中に輝いています。

7月の星空

梅雨が明けると夏の星空を見ることができます。
郊外地まで出かければ天の川まで見ることができますが、都会地ではそこまでは見られなくても明るい星で構成されている夏の大三角ははっきりと見ることができるでしょう。
星座をさがすには星座早見や星図を使って、まず夏の大三角をみつけましょう。
次に夏の大三角を目じるしにして、周辺の星座も相互位置関係を確かめながら、明るい星からさがしていきましょう。
南の空の低い位置に見られるてんびん座、さそり座及びいて座あたりは、地平線からの高度角や方位を確認しながらさがしてみましょう。
プラネタリウムなどに出かけて、星座を学び、実際の星空で確認するのもいいかもしれませんね。

7月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
20.7
21.7下弦の月  月が天の赤道を通過、北半球へ
22.7金星とプレセペ星団が最接近
23.7
24.7水星が西方最大離角  月の距離が最遠
25.7
26.7小暑(二十四節気) 七夕
27.7細い月と水星が接近
28.7月が最北
100.1新月
111.1
122.1細い月と金星、火星が接近
133.1
144.1
155.1
166.1月が天の赤道を通過、南半球へ
177.1上弦の月
188.1
199.1夏の土用
2010.1
2111.1月の距離が最近
2212.1海の日  大暑(二十四節気)
2313.1スポーツの日
2414.1満月
2515.1月が土星に最接近
2616.1月が木星に最接近
2717.1
2818.1
2919.1月が天の赤道を通過、北半球へ
3020.1みずがめ座δ流星群が極大
3121.1下弦の月
7月の星図
南の星空

7月の南の星図(背景黒)

7月の南の星図(背景白)

北の星空

7月の北の星図(背景黒)

7月の北の星図(背景白)

7月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の方向によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ11」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。