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ちあきの星空コラム

第217回 流れ星を見よう (2021/08/02)

8月は星見のシーズン、七夕の星も輝く

8月は夏休みとなり、学校がお休みのところが多く、官公庁や会社でも夏季休暇のあるところが多いので、レジャーなどで出かけて、星を見る機会が多くなる時期ですね。
8月の第1週(8月1日~7日)は国立天文台で提唱しているスターウイーク(星に親しむ週間)となっています。
コロナ禍の世の中ですが、星見は密になることもありませんから非日常的な夢のある行動として、ぜひ楽しんでみませんか。
また、古くから親しまれてきた七夕行事は、現在では世界中に広まっていますが、私たちが使用している暦(こよみ)では7月7日となっています。すでに8月になっていますので、この行事は終わったと思われている方が多いかもしれませんが、古くからの言い伝えにある七夕伝説の7月7日は本来的には旧暦(太陰太陽暦)の7月7日ですから、今年の暦では8月14日に相当します。国立天文台の呼びかけもあり、この旧暦の七夕を「伝統的七夕」と呼んで、この日に七夕行事をおこなうことも全国に知られてきています。
そのほか、月遅れの8月7日を七夕の日としてお祝いする地域もあります。
夜空に輝く七夕の星、織姫星と彦星も8月頃の方が見やすいともいえますし、ぜひ、夏休み期間中に星に親しんでいただきたいと思います。

夏の大三角(天の川の両岸に見られる織姫星と彦星)

流れ星を見よう

8月にはペルセウス座流星群の流れ星(ながれぼし=「流星・りゅうせい」ともいう)が見られます。
8月13日をピークにその前後の日でも流れ星が多く見られますので、注目して見ましょう。
流れ星は、星座をかたちづくる星が流れて輝くのではなく、彗星がその公転軌道上にダストを撒き散らしながら進んでいきますが、地球がその軌道を通過するときにダストが地球に降り注いで流星群となるのです。

流れ星

今年のペルセウス座流星群は、8月9日が新月となるため月明かりの影響も受けにくく、観測条件に恵まれて観察できます。
最も多く流れる極大の予想は、8月13日の午前4時頃となっていますが、その前後の日も含めて数日間は流星群の流星を見ることができます。
最も多く流れる極大時刻前後の流れ星を見るためには、8月12日の夜に準備して観測を開始し、夜半を迎えて13日の明け方まで観測するのが望ましいといえます。
ちょっとだけみたいなと思われる方は、12日の24時を過ぎて13日を迎えるころに1時間、夜空を仰ぎ見て、何個見えたか数えてみるといいでしょう。
服装は、真夏でも郊外に出かけたりしますと案外冷えますので、長袖シャツ、長ズボンを用意しましょう。
見る時は、寝転んで見るのが楽に空を見ることができます。サマーベッドを用意してその上に寝転んで観察すると快適です。地面に寝転んで観察する場合はブルーシートなどを敷いてその上にマットなどを敷いてから寝転んで観察しましょう。
虫よけスプレーなども必需品となります。
「夜空のどちらの方角に見えるのですか?」と良く聞かれますが、いずれの方向でも見られるのですが、視野いっぱいに星空が見られるような視界をつくるためには、やはり寝転んで天頂(真上)方向を見るのが最もよいでしょう。
ベランダなどで、全天が望めない場合は、無理して天頂方向を見る必要はなく、ベランダから星空が良く見える方向を椅子などに座って落ち着いて見られる環境を作りましょう。
晴れて、多くの流星が見られるといいですね。

土星、木星を観察しよう!

惑星は太陽の周りを公転し、宇宙空間を移動していますので地球から見るときに、いつの夜空にでも見られるわけではありません。観察に適した時期がありますので、その好機をのがさないように見ておかないと見損なってしまいます。
8月には、夕空には金星が一番星として明るく輝いていますので、煌々と輝く金星を西の空にみつけましょう。
やがて宵闇が迫り、すっかり夜空が暗くなってくると南東の空に土星と木星が見られるようになります。
土星はやぎ座の方向に見えます。木星はみずがめ座にありますが8月中旬にはやぎ座に移動します。地平線から20度高い位置まで昇ってきて観測しやすい高度になるのは、8月の上旬頃では、土星が20時半頃、木星が21時半ころです。
中旬になりますと、土星は19時半頃、木星は20時半頃に見やすくなります。
下旬にはさらに早い時間帯から観測しやすくなり、土星は18時30分頃、木星は19時30分頃から観測に適した高度となります。
星座の中のどの辺にあるのか惑星の位置を確認したり、恒星との明るさの比較をして観察を楽しみましょう。これらの観察は肉眼で十分にできますが、惑星本体の姿や形を確認するのには天体望遠鏡を使って観察しましょう。

今年7月24日に撮影した土星の姿(撮影:浦辺守)

今年7月24日に撮影した木星の姿(撮影:浦辺守)

8月の惑星

8月に入ると金星(宵の明星)のほか、土星と木星が見やすくなります。
各惑星の様子は以下のとおりです。

水星

8月1日に外合となり、太陽の向こう側に位置しますので、最も地球から離れていることになります。8月下旬になると夕方の西空に位置しますが、高度が低く、観測には適していません。

金星

宵の明星(よいのみょうじょう)として、夕空の西の空に一番星として見られます。-(マイナス)4等級の圧倒的な明るさで輝きます。

火星

太陽に近い方向にありますので、見るのはとてもむずかしく、観測には適しません。

木星

8月20日に衝となり、観測に適しています。
明るさは、-2.7等級で、夕空の金星が沈んだ後、東の方にとても明るく輝く星をみつけられたら、それが木星です。

土星

8月2日に衝を迎える土星は、観測に最適な天体となります。
位置は、やぎ座の中、天体望遠鏡で見ると環を持ったユーモラスな姿に感激することと思います。明るさは、0.2~0.3等級です。

8月の星空

8月には夏の星座をさがしてみましょう。
先月のコラムで紹介した七夕の星を含む夏の大三角を最初に確認しましょう。
夏の大三角の星は、こと座のベガ、わし座のアルタイルそしてはくちょう座のデネブですが、その星からやや暗い星もたどって、周辺にある星座の形をそれぞれ把握しましょう。
夏の大三角の星座とその周辺の星座が確認できたら次は南の空に目を向けましょう。
南の空の低い位置には赤い1等星アンタレスが煌々と輝いていますが、そのアンタレスを含むさそりの姿をみつけましょう。星の並びがアルファベットのS字状に並んでいますが、古来から日本では釣針星とか鯛釣り星などと呼ばれていました。さそり座をみつけられたら、その右にてんびん座、左にいて座があります。さそり座の上にはへび座とへびつかい座がその大きな姿を見せてくれます。
星座は、自身でみつけられたときの喜びが大きく、以後、忘れずに復習して確認すると、一生、その星座を忘れずにみつけられるようになることでしょう。

8月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
22.11日~7日:スターウイーク
23.1土星がやぎ座で衝
24.1
25.1
26.1
27.1月の赤緯が最北
28.1立秋(二十四節気
29.1新月
0.5細い月と水星が接近
101.5細い月が火星に接近
112.5細い月が金星に接近
123.5月が赤道を通過、南半球へ
134.5ペルセウス座流星群が極大
145.5伝統的七夕(旧暦の七夕)
156.5月面Xが見える
167.5上弦の月
178.5月の距離が最近
189.5木星がやぎ座で衝
1910.5月の赤緯が最南
2011.5木星がやぎ座で衝
2112.5月が土星に最接近
2213.5満月 月が木星に最接近
2314.5処暑(二十四節気)
2415.5
2516.5月が天の赤道を通過、南半球へ
2617.5
2718.5
2819.5
2920.5
3021.5下弦の月
3122.5
8月の星図
南の星空

8月の南の星図(背景黒)

8月の南の星図(背景白)

北の星空

8月の北の星図(背景黒)

8月の北の星図(背景白)

8月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の方向によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ11」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。