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ちあきの星空コラム

第220回 部分月食が見られる (2021/11/01)

11月19日の夕空に部分月食が見られる!

過去の月食写真(2011年12月10日の「皆既月食」)

11月19日に部分月食が見られます。
月の出(東の空から昇ってくる)の時刻16時27分ですが、この時刻にはすでに月食は始まっており、少し欠けた状態で地平線から昇ってきます。
最大に欠けるのは18時03分で、この時点では、右下のほんの一部を残すのみでほぼ全体に近いくらい欠けてしまいます。

月食の進行
月食の進行時刻月食の状態
月食の始まり16字18分欠け始め
月食の最大18時03分食分0.98
月食の終わり19時47分欠け終わり

昇りくる月が、月食によりかけていく様子をぜひ観察しましょう。
満月が欠けて見える月食は、太陽に照らされて地球の影の中に月が入る現象です。
本来、満月は太陽に照らされて煌々と表面が輝いていますが、地球の影が月面を覆い隠すために、隠された部分が暗くなってしまう現象です。
月面のすべてが、地球の影で覆い隠されてしまう皆既月食では、月の表面はと真っ暗になってしまうことが考えられますが、地球にある大気を通り越して月に到達した光が月を赤銅色に見せてくれることが多いのですが、今回は、食分98パーセントの部分月食なので、月表面がどのような色及び明るさで観察されるのかが、興味の最大の対象となります。
私は、皆既月食に似た様子、すなわち、表面が赤銅色に見られるのではないかと期待しているところです。

通常見られる満月

部分月食の様子

なお、部分月食の最中に地球の電離層の光が月まで到達し、ターコイズブルーになるといわれていますが、この現象の肉眼での観察は難しく、写真では下の写真のように写る可能性が期待されます。
私は今回はこの様子も撮影して見ようかと計画しているところです。みなさまも是非、チャレンジしてみませんか。

月食の縁部分がターコイズブルー(青い色)に輝く現象。残念ながら肉眼では観測はむずかしい

月と金星・土星・木星が一度に見える

11月9日の夕空、南西の方角を見てみましょう。
日没の時刻は16時38分ですが、その時刻の頃から南西の空には月と一番星の金星が並んで輝いている光景が見られます。
その上、南の空には、土星と木星も見られます。
星座をかたちづくる恒星よりも明るく見えるこれらの天体は、夕空の中で目を引きます。
翌日の10日になると月はその位置を移動して南南西に見られるようになり、土星に接近します。
さらに、月は11日と12日には、木星の近くへ移動していきます。
晴れていたら11月9日から12日までの4日間、明るい惑星の近くを月が移動する様子を観察することができます。

夕空の月と惑星の位置関係(18時頃)月が金星、土星、木星と次々に並ぶ様子が見られる。

11月の惑星

11月の金星は宵の明星として夕暮れの西の空に煌々と輝き。南の空には土星と木星が輝いています。
今月の各惑星の見え方などは次のとおりです。

水星

10月25日に西方最大離角となり、今年1年で最も見やすい位置関係になるため、11月の初めまで明け方の東の空に見られます。(-(マイナス)0.8~-1.4等)
月の中、後半は見ることができません。

金星

宵の明星(よいのみょうじょう)として、夕方の西の空に一番星として輝いており、10月30日に東方最大離角を迎えた直後なので、今月は最高の見えが期待できます。
明るさは-4.6~-4.9等級となります。
最大光度になるのは、12月4日頃です。

火星

10月8日に合となり、太陽の方向と重なりました。11月になっても水星の見られる方向がほぼ太陽に近い方角なので、実際は観測できません。年末には明け方の空に見られるようになります。

木星

木星は、金星に次いで2番目の明るい輝きを持っています。
土星と共にやぎ座の中に位置し、-2.3~-2.2等級の明るさで輝いて見えます。

土星

木星と共にやぎ座の中で輝いていますが、明るさは木星にはかなわず0.6等級で輝いています。天体望遠鏡を使えば環も見ることができます。

11月の星空

11月に見られる秋の星座をギリシャ神話の登場人物と共に探してみましょう。
秋の四辺形を取り込むペガスス座は、天馬の姿をしており、勇者ペルセウスを乗せて天を駆け巡ります。
エチオピア王国の物語の中では、ケフェウス王はケフェウス座、そのお妃さまはカシオペアヤ(カシオペヤ座)、娘はアンドロメダ姫(アンドロメダ座)です。あるとき、お妃のカシオペヤが、私やアンドロメダは、海のニンフよりも美しいと自慢したものですから海の神ポセイドンは怒り、化けくじら(くじら座)をエチオピアの海岸で大暴れさせました。漁ができずに困っている中、アンドロメダ姫を生贄に差し出せば、この窮地から救われるとのお告げを受け、国を救うためにアンドロメダ姫は、海岸に鎖でつながれて化けくじらの生贄としてささげられました。この惨事を天馬(ぺガスス)に乗って空から見たペルセウスは、化けくじらを石にしてアンドロメダ姫を救い出し、アンドロメダ姫と結婚しました。
といった筋書きの物語ですが、多くの秋の星座がこの物語の中に登場します。
星図をたよりに本物の星空で、登場した星座をみつけましょう。
古代のロマンが星空の中によみがえってくる、すてきなお話しです。

11月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
25.7
26.7
27.7文化の日 月が赤道を通過、南半球へ
28.7
0.2新月 土星が東矩
1.2月の距離が最近
2.2立冬(二十四節気)
3.2細い月と金星が大接近  14時13分前後金星食
4.2月の赤緯が最南
105.2
116.2上弦の月 月が土星に最接近
127.2月が木星に最接近
138.2
149.2
1510.2月が天の赤道を通過、北半球へ
1611.2
1712.2
1813.2
1914.2満月 夕空に部分月食が見られる
2015.2
2116.2月の距離が最遠 木星が東矩
2217.2小雪(二十四節気)
2318.2勤労感謝の日 月の赤緯が最北
2419.2
2520.2
2621,2
2722.2下弦の月
2823.2
2924.2
3025.2月が赤道通過、南半球へ
11月の星空案内図
南の星空

11月の南の星図(背景黒)

11月の南の星図(背景白)

北の星空

11月の北の星図(背景黒)

11月の北の星図(背景白)

11月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の方向によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ11」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。