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ちあきの星空コラム

第225回 春の大曲線から星座をみつける (2022/04/01)

春の大曲線

星座をみつける春の大曲線

夜空に輝く星々は、天球上にちりばめられ、キラキラとまたたきながら輝き、とてもきれいですね。
じっさいに星空をながめると星々の配置はバラバラに見えて、しかし、線で結ぶと美しいかたちを構成するものがあり、そうした星の配列やそれぞれの星の明るさに加え、オレンジ色や青白い星など色の違いもあって、見ていて飽きがこない魅力を持っています。
星の配列の面白さや星座の形など、覚えられればいいのだけれど、わかるのはオリオン座と北斗七星だけという読者も多いことと思います。
星や星座をさがすのにはちょっとした工夫がいります。特定の星の特徴やパターンを利用して、だんだんと星座を探せるようになると楽しみは倍加します。
今月は、春の大曲線(下図参照)などを利用して、春の星座をさがしてみましょう。

北斗七星から春の大曲線でみつけるアークトゥルスとスピカ(図面提供:国立天文台)

北斗七星は便利な視準となる星

今の時期は、北斗七星が天高く見られますが、この北斗七星の配列の一部を利用して星をさがしましょう。過去にも春の時期に同様の解説を行っていますので、覚えている方もいるかもしれません。
北斗七星の柄杓(ひしゃく)の柄(え)の部分からは、南にカーブを伸ばしていくと、うしかい座の1等星でオレンジ色に輝くアークトゥルスをみつけることができ、さらにそのカーブを伸ばしていくとおとめ座の白い輝きの1等星、スピカをみつけることができます。このカーブを春の大曲線といい、この曲線から星さがしを楽しみ、友人や家族などにも教えてあげましょう。
1年中、北の空に輝いている北極星も北斗七星からさがすと容易にみつけることができます。
下の写真に示していますが、北斗のふたつの星からその約5倍ほど伸ばしたところに北極星をみつけることができます。北極星は2等星で、星座としてはこぐま座にあり、この探し方を利用すれば。すぐにみつけることができます。
北斗七星は、星をみつける時のめやすにする星として役立ちますので、とても重宝します。

北斗七星から北極星やその他の星をさがす

春の大三角もみつけよう!

春の大曲線でみつかったアークトゥルスとスピカにしし座のデネボラ(2等星)を加えると正三角形ができますが、これを春の大三角と呼んでいます。
こうして大きな星の配列をかたちづくるパターンがみつかったら、次は、個々の星座の配列を星座早見や星図を利用して星と対比しながらみつけていきましょう。
最初は、星座の配列と星空のじっさいの配列を一致させるのがむずかしいと感じられるかもしれませんが、ひとつわかるとふたつ目、みっつ目とだんだんとコツがつかめて、わかるようになってきます。
星座さがしのとき、一度に多くの星座をみつけられなくても何度かチャレンジしていくと、少しずつ覚えていきましょう。

月末の明け方の空に惑星と月が美しく見られる

今年の春は、明け方の空に惑星が集まっていますので、早起きしてその美しい光景をぜひ見ましょう。
2月、3月にもこうした現象をご案内しましたが、今月は4月25日から28日にかけて月とともに惑星が輝いている神秘的なシーンをシミュレーション図にしてみました。
じっさいにご覧いただき、観察を楽しんでいただきたいと思います。
このときに見られる月は、日々、位置を変えるとともに欠け具合も変化していく様子が観察されます。また、惑星も日々、その位置を変えていきます。
特に金星は移動が速く、ゆっくりとした移動の土星や木星と対比していると、位置関係が毎日変化していることがわかります。
記録として、スケッチのほか、スマートフォンなどを利用して写真を撮り、プリントアウトして日々のちがいを比べると、観察の楽しみがさらにアップします。

4月25日から28日にかけて月と惑星の位置関係

2015年11月6日に見られた月、木星、火星それに金星の輝きと位置

惑星情報

水星

4月3日に外合を迎えますので、4月上旬には水星を見ることができません。
月末の4月29日には東方最大離角を迎えますので、西の夕空の中に見ることができます。

金星

3月に西方最大離角を迎えた金星は明け方の空で-4等級の明るく輝いています。
他の惑星と共に明け方の空をにぎやかにかざってくれます。

火星

火星は今年12月1日の地球最接近に向けて徐々に明るくなってきています。
また、地球に接近してくる中で、視直径がだんだんと大きくなってきますので、天体望遠鏡で見ると大きく見えるようになってきます。明るさも1等級の明るさで明け方の空で赤く輝いています。

木星

3月5日に合を迎えた木星は、今月は月末には明けの東の空でみつけやすくなります。明るさは約-2等級で、金星に次いで明るく見えます。

土星

2月5日に合を迎えた土星は、未明の頃には東の空から昇ってきますので、明け方まで観測できます。明るさは0.9等級で天体望遠鏡を使えば環も見ることができます。

4月の星空

4月は、春の星座が見られます。
冒頭に述べたとおり北斗七星から春の大曲線を描き、うしかい座のアークトゥルス及びおとめ座のスピカをみつけることができますが、さらにその曲線を延ばすと、からす座がみつかります。春の大三角からみつけたしし座のまわりには、かに座、うみへび座、コップ座、かみのけ座などをみつけることができます。
また、北の空には北斗七星を含むおおぐま座とこぐま座などが見られます。
春の大曲線や春の大三角を中心に、大いに星空の散策を楽しみましょう。

4月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
29.4新月 月が天の赤道を通過、北半球へ
0.9水星が外合
1.9
2.9
3.9清明(二十四節気) 細い月とプレアデス星団が接近
4.9
5.9
6.9月の距離が最遠
7.9上弦の月
108.9
119.9
1210.9
1311.9
1412.9
1513.9月が天の赤道を通過、南半球へ
1614.9
1715.9満月
1816.9
1917.9
2018.9穀雨(二十四節気) 月の距離が最近
2119.9
2220.9月の赤緯が最南
2321.9下弦の月 こと座流星群が極大
2422.9
2523.9月が土星に最接近
2624.9月が火星に最接近
2725.9月が金星に最接近、月が木星に最接近
2826.9細い月と木星が並ぶ(明け方の空)
2927.9昭和の日 水星が東方最大離角(夕空)
3028.9水星とプレアデス星団が大接近
4月の星空案内図
南の星空

4月の南の星図(背景黒)

4月の南の星図(背景白)

北の星空

4月の北の星図(背景黒)

4月の北の星図(背景白)

4月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の方向によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ11」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。