ちあきの星空コラム
第227回 明け方の月と惑星の接近 (2022/06/02)
梅雨時期でも早起きして月と惑星を見る
惑星を見るために早起きをしよう!
最近のコラムでは毎月、明け方に惑星が見られることを解説してきましたが、6月も同様に明け方の東から南にかけての空に注目しましょう。6月21日には夏至がやってまいりますが夜明けが早く、惑星を見るには午前3時頃に観察しましょう。
惑星と共に月も一緒に見られる6月下旬は、特に絶景が見られます。
ただし、梅雨時でお天気が悪いことが心配されますので、天気予報を確認しながら、晴れ間が見られそうなときは早起きして星空を観察しましょう。
月と木星の接近6月22日
下弦の月を過ぎた欠けた姿の月と木星が近づいて見えます。
月は6月22日、3時52分に天の赤道を越して北半球側へ入りますので、夜明け前の午前3時頃に観察すれば月と木星が接近している様子を見ることができます。
木星のほかに火星、金星、地平線付近の水星それに南の空には土星も見られますから、肉眼で見られるすべての惑星を一度の見ることができます。こうしたチャンスはめったにありません。
カメラを使ってその様子を写真におさめましょう。
カメラは、一眼デジタルカメラが最適といえますが、スマートフォンなどのカメラ機能でも充分に撮影することができます。
手ブレを防ぐためには、三脚を使用するか、台の上などに固定して撮影するといいでしょう。
月と火星の接近6月23日
4時18分に月は火星に最も近づきます。この時間帯には夜が明けて明るくなっていますので、その前の3時頃に見ましょう。月齢は23.3、より細くなった月と同時に赤い輝きの火星を写真撮影してみましょう。
月と金星とプレアデス星団の集合6月26日
金星はプレアデス星団の近くで輝いていますが、月齢が26.3の月と一緒に見られます。
細い月とプレアデス星団、それに金星が加わった様子を見て楽しみましょう。
さらに写真撮影にもチャレンジしましょう。
なお、観察は肉眼で十分楽しめますが、双眼鏡を使って視野を移動しながら観察すると、より詳細に接近の様子が見えることがわかります。
天文講演会を開きます!
私の講演会が開かれます。宣伝になりますが、ご都合のつく方はぜひお出でください。
「星空と旅の楽しみ」と題して、東京都足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)を会場として6月18日(土曜日)午後6時~7時の1時間講演を行います。
定員は170名。入場無料ですが、定員に達しますと入場できないこともありますので、ご希望のお客様は次のご案内により事前予約をお奨めします。
<ご案内の内容>
URL http://www.galaxcity.jp/future-creation-hall/event/20220425-004357.html
天文講演会「星空と旅の楽しみ」
星めぐりの旅、天空のドラマを求めて・・・。星空をめぐる旅の楽しみ方や、日食や月食が起こる仕組み、その観察方法や撮影方法など、まるちたいけんドームの解説員である田中千秋が豊富な知識と経験をもとに、分かりやすくお話しします(プラネタリウムの星空解説もあります。)。
惑星情報
水星
6月16日に西方最大離角を迎える水星は、明け方の東の空に見ることができます。
6月下旬は東天の惑星の中に水星も加わります。低空ですが探してみましょう。
金星
明けの明星として見られます。
午前4時より少し前に東の空を観察しましょう。光度は-3.9等級の明るさで輝いています。
火星
明け方の東の空に0.7~0.5等の明るさで輝いています。
今年12月1日の地球最接近に向けて、日々、明るく大きく見えるようになります。
木星
明け前の東の空で、明るく見られます。明るさは-2.1~=2.3等前後で輝いています。天体望遠鏡では木星の表面模様のほかに大赤斑や縞模様が見られます。
土星
土星は明け方の空で見ると、惑星の中でもっとも早い時刻から見られ、東天に惑星が出そろった頃には既に南天の空に輝いています。明るさは0.8~0.6等で輝いており、天体望遠鏡では環や本体の縞模様も見ることができます。
6月の星空
6月の星空は春の星座で埋め尽くされていますが、梅雨空のうっとうしいお天気の空では見るチャンスが減ってきます。しかし、毎日雨が降るわけではないので晴れ間をねらって星空を楽しみましょう。
最下部の星図をたよりに春の星座を楽しみましょう。
6月の天文情報
(月齢は正午の値)
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 水 | 1.6 | |
2 | 木 | 2.6 | 月の赤緯が最北 月の距離が最遠 |
3 | 金 | 3.6 | |
4 | 土 | 4.6 | |
5 | 日 | 5.6 | 土星が留 |
6 | 月 | 6.6 | 芒種(二十四節気) |
7 | 火 | 7.6 | 上弦の月 |
8 | 水 | 8.6 | |
9 | 木 | 9.6 | 月が天の赤道を通過、南半球へ |
10 | 金 | 10.6 | |
11 | 土 | 11.6 | 入梅 |
12 | 日 | 12.6 | 金星と天王星が最接近 |
13 | 月 | 13.6 | |
14 | 火 | 14.6 | 満月(ストロベリームーン) |
15 | 水 | 15.6 | 月の赤緯が最南 月の距離が最近 |
16 | 木 | 16.6 | 水星が西方最大離角 |
17 | 金 | 17.6 | |
18 | 土 | 18.6 | 月が土星に最接近 |
19 | 日 | 19.6 | |
20 | 月 | 20.6 | |
21 | 火 | 21.6 | 夏至(二十四節気) 下弦の月 |
22 | 水 | 22.6 | 月と木星が接近 月が天の赤道を通過北半球へ |
23 | 木 | 23.6 | 月と火星が大接近 金星とプレアデス星団が最接近 |
24 | 金 | 24.6 | |
25 | 土 | 25.6 | |
26 | 日 | 26.6 | 細い月と金星が並ぶ |
27 | 月 | 27.6 | 細い月と水星が並ぶ |
28 | 火 | 28.6 | |
29 | 水 | 0.0 | 新月 月の赤緯が最北 月の距離が最遠 |
30 | 木 | 1.0 |
6月の星空案内図
南の星空
田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。