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ちあきの星空コラム

第228回 夏の星空を探訪 (2022/07/02)

夏の大三角をみつける

夏の大三角

うっとうしい梅雨が明け、青空が印象的な夏の空が見られる7月がやってまいりました。
今月は、夏の大三角の写真を冒頭に大きく掲げました。
夏の星座を探すとき、夏の大三角を基準の星としましょう。
夏の大三角がみつかったら、その中でも最も明るいベガからこと座全体のかたちを、次にアルタイルからわし座を、そしてデネブからはくちょう座をみつけましょう。
夏の代表的なこれらの星座をみつけることで、その周囲にある星座をさがす目安とするのです。
星図と本物の星空を照らし合わせ、本物の星空の星や星座をみつけていく行為は、ひとつひとつ丁寧(ていねい)に星を確認していく必要がありますので、時間も要しますし、暗めの懐中電灯など道具も必要になりますので、準備、注意力それに根気が必要です。
夏の大三角に続いて、北の方角にはりゅう座などが見えます。西にはヘルクレス座、南の方角にはへび座、へびつかい座、さそり座、いて座などをみつけることができます。また、東側には小さいけれども形が整っている、いるか座をさがしてみましょう。

夏の大三角及び周辺の星座(星図ベース:国立天文台)

惑星を見るために早起き

ここのところ毎月、明け方に惑星が見られることを解説してきましたが、6月にはついに水星を含めた肉眼で見える全惑星が集合しました。
下の写真は6月24日に私の友人が宮崎県五ヶ瀬町で撮影したものです。
6月21日に夏至がやってきて、夜明けが早く、惑星を見るのには午前3時前に起きて観察を始めることになります。とても大変ですが、晴れた夜明け前の東から南にかけての空で惑星を観察しましょう。

惑星と月が集合している様子の写真(2022年6月24日宮崎県五ヶ瀬町で川端孝幸氏撮影)

天文講演会を開催しました!

6月の星空コラムで告知させていただきましたが、6月18日に東京都足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドームで、私の天文講演会「星空と旅の楽しみ」を開催することができました。
多くの方々にご来館いただき、私の子供時代の思い出話からスタート。次に、天文の楽しみや大人になってから世界各地を天体観測のため訪問したことなどのお話を行いました。
また、プラネタリムの装置を駆使して、星空投影の内容を南十字座や大小マゼラン雲など、南半球の星空投影を行い、プラネタリウムの中での出来事ですが、南半球の国まで旅をして南天の星空を満喫した気分を味わってもらいました。。
講演終了後も、プラネタリウム入口部分にお集まりいただき、歓談及び記念写真撮影の時間を持ちました。盛況でにぎやかな会となりましたことを来場されたお客様及びギャラクシティスタッフに感謝申し上げます。ありがとうございました。

講演時の私

プラネタリウムを使って星座のみつけ方を解説する

惑星情報

水星

水星は7月17日には外合(がいごう)となり、地球、太陽、水星が一直線に並んで地球からは最も離れた軌道の位置となりますので、月初めには見られますが、その後は観測できません。8月下旬には夕方の西空で観測しやすくなります。

金星

明けの明星として見えている金星は、今月までが観測に適しているといえます。
明け方の空で実際に金星を見ると他の恒星や惑星よりも明るく、光度は-3.9等級の明るさで輝いています。

火星

明け方の東の空に0.5~0.2等の明るさで輝いています。
位置は、うお座からおひつじ座を順行中です。今期の地球最接近は12月1日ですので、だんだんと地球に近づいてくるところです。

木星

明け方の東の空で金星に次いで明るく見られる木星は、-2.3~-2.5等の明るさで輝いています。
29日には星座の中でその位置がいったん止まって見える留(りゅう)となります。
それまでは順行でしたが、その後は逆行(ぎゃっこう)となります。

土星

土星も明け方の空に見られますが、明け方に見える惑星の先頭位置にあるため、明け方に見ると、南の空に見られます。
星座でいうとやぎ座に位置し、夏休みの頃から秋口まで夕方に開かれる天体観望会でも見られるようになってきます。

7月の星空

7月の星空は東の空から夏の星座が昇ってきます。
夏の大三角をはじめ、天の川など星図と照らし合わせて星座をみつけましょう。

7月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
2.0金星とおうし座のα星アルデバランが最接近
3.0
4.0
5.0
6.0
7.0月が天の赤道を通過、南半球へ 月面Xが見られる
8.0小暑(二十四節気) 七夕 上弦の月
9.0くじら座ο(オミクロン)ミラが極大
10.0
1011.0
1112.0
1213.0
1314.0月の赤緯が最南 月の距離が最近
1415.0満月(スーパームーン)
1516.0月と土星が並ぶ
1617.0
1718.0
1819.0海の日
1920.0月が天の赤道を通過北半球へ 月と木星が並ぶ
2021.0下弦の月 夏の土用
2122.0火星食
2223.0月と木星が接近
2324.0大暑(二十四節気)
2425.0金星とプレアデス星団が並ぶ
2526.0
2627.0月の赤緯が最北月の距離が最遠
2728.0細い月と金星が接近
2829.0
290.4新月 木星が留
301.4月が水星に最接近
312.4
7月の星空案内図
南の星空

7月の南の星図(背景白)

7月の南の星図(背景黒)

北の星空

7月の北の星図(背景白)

7月の北の星図(背景黒)

7月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の方向によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ11」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。