ちあきの星空コラム
第232回 皆既月食を見よう (2022/11/01)
11月8日の皆既月食を観察しよう!
11月8日に皆既月食が見られます。昨年も皆既月食が1回、部分月食が1回ありましたが、関東地方はお天気が悪くほとんどの方が見ることができませんでした。今回は晴れを期待しましょう。
夜は冷え込みますが、防寒対策を行った上で東の空に注目しましょう。
観察は肉眼でできますが、双眼鏡があればもっとはっきり確認できます。もちろん、天体望遠鏡をお持ちの方は、細部まで観察することができます。
下図は月食の観察用紙です。
欠けていく様子をたとえば10分ごとにスケッチしていきます。
月食の進行を観察し、欠け具合を記録していきましょう。
火星が最接近
今年の秋は惑星の観察に最適な時期となっています。特に火星が2年2か月ぶりに地球に接近しますので、ぜひ観察しましょう。
火星は12月1日に地球に最接近したのちにまた遠ざかっていきます。
火星が次に地球に接近するのは2025年の1月ですから、しばらくは観測ができなくなります。今期の観察の逃さないようにしましょう。
惑星情報
星図の中の惑星の位置を確認して、じっさいの星空で惑星をさがしましょう。火星はおうし座、木星はうお座そして土星はやぎ座の中で輝いています。
この星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ11」を使用しました。
11月は、観測に最適な惑星が火星、木星、土星と3個もあり、にぎやかです。
上図から惑星をさがし、肉眼で各惑星の位置を確認し、星図の中に記入したり、写真に撮ったりするのも良いですし、天体望遠鏡があれば大きな惑星像を楽しみ、スケッチや写真撮影を楽しみましょう。
水星
水星は11月9日に太陽の向こう側に位置する外合となり、観測はできません。
金星
10月23日に外合となった金星は、それ以前は明けの明星として見えていましたが、11月に入ると宵の明星となって、夕方の西の空に輝いています。
といっても、方向がまだ太陽に近い位置にあり、観測には適していません。
じっさいに宵の西空で見やすくなるのは来年の1月頃からです。
火星
12月1日に地球に最も接近する火星は、11月はもとより、12月に入ってからもしばらくは観測が可能で、大きく、明るく見えます。
明るさは、-1.2等級の明るさで輝いていますので、天体望遠鏡を使って高倍率で観測しても対象があまり暗くならず、とても見やすいコンディションで観測することができます。
木星
とても明るく、うお座の中で他の星を圧倒する明るさで輝いています。夕闇が迫るころから一番星として発見することができます。
天体望遠鏡で見ると本体の縞模様のほか、周辺にガリレオ衛星(4個)も見ることができます。
土星
夕方の西空の中にみつけることができます。
やぎ座の中にあって、明るさは0.7~0.8等星で輝いています。
11月の天文情報
(月齢は正午の値)
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 火 | 6.7 | 上弦の月 月面Xが見られる |
2 | 水 | 7.7 | 月が土星に最接近 |
3 | 木 | 8.7 | 文化の日 |
4 | 金 | 9.7 | 月と木星が接近 |
5 | 土 | 10.7 | 月が天の赤道を通過北半球へ |
6 | 日 | 11.7 | |
7 | 月 | 12.7 | 立冬(二十四節気) |
8 | 火 | 13.7 | 満月 皆既月食 天王星食 |
9 | 水 | 14.7 | |
10 | 木 | 15.7 | |
11 | 金 | 16.7 | 月と火星が大接近 |
12 | 土 | 17.7 | 月の赤緯が最北 |
13 | 日 | 18.7 | おうし座北流星群が極大 |
14 | 月 | 19.7 | 月の距離が最遠 |
15 | 火 | 20.7 | |
16 | 水 | 21.7 | 下弦の月 |
17 | 木 | 22.7 | 土星が東矩 |
18 | 金 | 23.7 | しし座流星群が極大 |
19 | 土 | 24.7 | |
20 | 日 | 25.7 | 月が天の赤道を通過南半球へ |
21 | 月 | 26.7 | |
22 | 火 | 27.7 | 小雪(二十四節気) |
23 | 水 | 28.7 | 勤労感謝の日 |
24 | 木 | 0.2 | 新月 |
25 | 金 | 1.2 | |
26 | 土 | 2.2 | 月の距離が最近 月の赤緯が最南 |
27 | 日 | 3.2 | |
28 | 月 | 4.2 | |
29 | 火 | 5.2 | 月と土星が接近 |
30 | 水 | 6.2 | 上弦の月 |
11月の星空案内図
南の星空
北の星空
田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。