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ちあきの星空コラム

第233回 火星接近 (2022/11/30)

12月1日に火星が地球に最接近!

12月1日は、火星が最接近(接近は2年2か月おき)する日です。
ただし、最接近日を過ぎても12月いっぱいは、火星と地球の距離が比較的近く、観測は継続しておこなうことができます。
火星はおうし座の中にあり、12月1日の最接近から見ると徐々に地球から離れていくことになりますので、星座の中に見える位置も日々変化し、毎日観察するとその移動も確認することができます。天体望遠鏡で見ると、恒星は点状に見えるのですが、火星は円盤状に見えます。
しかもその表面には模様が見られます。
天文雑誌などの火星写真は、とても鮮明に見えますが、じっさいに天体望遠鏡で観測すると、大気のゆらぎ現象もあって、キリッと鮮明には見えず、視野の中で火星像がゆらゆらと揺らめいて見えるので、下の写真のような少しぼやけたような像に見えます。天体望遠鏡のある方は確認してみましょう。天体望遠鏡のない方も各地で開催される天体観望会に参加して見せてもらう方法がありますから参加してみましょう。

12月1日午後9時の火星の位置 ほぼ真東の上空にあり、明るく、赤く輝いている

12月1日午後9時の火星の位置 ほぼ真東の上空にあり、明るく、赤く輝いている

天体望遠鏡で見た火星の姿

ふたご座流星群を見よう!

今年もふたご座流星群の時期がやってきました。
極大は12月14日20時ころ。14日の夜は夕食後、ベランダや庭に出て夜空を仰ぎ見ましょう。星座をかたちづくる恒星の間をスーと音もなく流れる流星の美しさは感動ものです。
庭やベランダでは部屋の灯りを消すか、厚手のカーテンで光を防いで、なるべく明るい光が直接目に入らないように星空をながめましょう。
夜半を過ぎますと、下弦前の月が東の空から昇ってきますので空が少し明るくなり、見える星の数が減少しますが、それでも流星は継続して見られることでしょう。
一晩中ながめても結構ですが、翌日のことを考えるとお奨めは20時頃から24時くらいまで。光害の少ないところでは1時間に最大50個くらい流れるといわれています。晴れるといいですね。

11月8日に見られた皆既月食

11月8日の皆既月食は、関東地方だけでなく、日本各地で晴れた地域が多く見ることができたところが多かったですね。みなさまもきっと見られたことでしょう。
私は、霞ヶ浦の湖畔で欠け始めから皆既月食、そしてかけ月食の終了まで、全課程を見ることができました。あわせて写真も撮りましたので、ご覧ください。

部分月食の様子。かけ際に青い光(ターコイズフリンジ)も見られる。

部分月食の様子。かけ際に青い光(ターコイズフリンジ)も見られる。

今回の月食時に見られた天王星の食

惑星情報

12月に観測しやすい惑星は、火星、木星、土星です。
土星はやぎ座、木星はうお座そして火星はおうし座にあり、3個とも明るく輝き、にぎやかです。
各惑星は肉眼でも星座をかたちづくる恒星よりも明るいのでみつけるのは容易ですが、火星は特に日々の移動が大きいため、位置を確認し、星図の中に記入していくと移動している様子がわかります。
天体望遠鏡があれば大きく拡大された惑星像を見てみましょう。スケッチや写真撮影もおこなうと楽しいですね。

水星

水星は12月22日に東方最大離角となり、夕空の西の方角に見えるようになります。日没後にさがしてみましょう。

金星

宵の明星として、じっさいに私たちの目にとまるようになるのは、12月も後半に入ってからとなります。12月下旬には水星と金星をさがしてみましょう。

火星

12月1日に地球に最も接近しますので、とても目立ちます。とくに赤い輝き方は、他の惑星と異なり、一種不気味なようにも感じられるかもしれません。
12月いっぱいは、天体望遠鏡で火星表面の模様も確認できますので、12月1日の最接近が過ぎたからといってあきらめずに、連続して位置の確認や天体望遠鏡があれば、模様などの観測を楽しみましょう。

木星

うお座の中で他のどの星よりも明るく輝いています。
天体望遠鏡で見ると本体の縞模様が見られ、ガリレオ衛星(4個)も見ることができます。明るさは-(マイナス)2等級で輝いています。

土星

夕空の中、南西の空のやぎ座の中にあります。
明るさは0.8等星で輝いています。

12月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
7.2火星が地球と最接近
8.2月が木星に最接近
9.2月が天の赤道を通過北半球へ
10.2
11.2
12.2
13.2大雪(二十四節気)
14.2満月 月が火星に最接近
15.2
1016.2月の赤緯が最北
1117.2
1218.2月の距離が最遠
1319.2
1420.2ふたご座流星群が極大
1521.2
1622.2下弦の月
1723.2月が天の赤道を通過南半球へ
1824.2
1925.2
2026.2
2127.2
2228.2冬至(二十四節気) 水星が東方最大離角
2329.2新月
240.7月の赤緯が最南 月の距離が最近 月が金星に最接近
251.7月が水星に最接近
262.7
27 3.7月が土星に最接近
28 4.7
295.7水星と金星が最接近
30 6.7上弦の月
317.7
12月の星空案内図
南の星空

背景黒

背景白

北の星空

背景黒

背景白

12月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の方向によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ11」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。