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ちあきの星空コラム

第241回 夏の夜空に流星 (2023/08/02)

ペルセウス座流星群を見よう!

今年は好条件で8月13日前後にペルセウス座流星群が見られます。
流星群は、宇宙空間にある彗星の軌道上を地球が公転中に通過するために起きる現象で、彗星から巻き散らされてできた宇宙空間の彗星軌道上のたくさんの流星となるチリなどの物質が公転している地球と遭遇して、地球の大気に飛び込んできたときに起きる現象です。
流星となる物質は、地球の引力により大気圏に入るとき、摩擦を起こしてプラズマが発光する現象として見られるのです。
ペルセウス座流星群を見るのに、今年は月齢の条件が良くてほぼ新月に近いために月明かりの影響がほとんどない好条件です。ぜひ見たいものですね。
流星には、散在流星と呼ばれ、流星群に関係なく宇宙空間のチリなどが地球に舞い込むものもありますが、彗星などがその軌道上にまき散らしたチリが地球に舞い込んで星座の方向から放射状に流れるように見られる流星が流星群として、目を楽しませてくれるのです。今年のように恵まれた条件で見られるペルセウス流星群を見逃さずにぜひ、観察しましょう。

流星は音もなく、スーと流れます。ほとんどの流星が1秒以内に発行して消えます

今月も七夕がある

7月7日には七夕まつりが各地で行われましたね。雨の心配がある中、カラフルな短冊や吹き流しが竹に飾られたにぎやかなおまつりの様子をテレビで見ました。
7月7日の日程ですが、そもそも「七夕伝説」ができた当時は、暦(こよみ)は旧暦(太陰暦)を使用していた時代でしたから、現在の太陽暦を採用した7月7日のように梅雨時ではありませんでした。
旧暦の7月7日は、現在の暦でいいますと今年は8月22日に相当します。
七夕が8月の行事ですと、夏休みの最中でお天気も安定しています。旧暦の七夕が、たしかに七夕にふさわしい時期だったのかなとうなずけますね。
旧暦では7、8、9月が秋でしたから、7月7日は秋の始まりの頃のお祭りだったわけです。そうしたことから旧暦の七夕日(8月22日)を伝統的七夕と呼んでお祝いしようという人々も増えてきています。
もうひとつ、七夕のお祝いを行う時期があります。
それは7月7日の梅雨時期を避けて、月遅れの8月7日の頃に七夕まつりを行うことですが、案外多くの地域で採用されています。この時期に行われる最も有名なおまつりは仙台市の七夕まつりで、200万人以上の見物客が訪れると言われています。
7月7日の七夕で、星が見えなかった方たちも、この8月に2回ある七夕のいずれかを、あるいは両方を星空を眺める日にしてはいかがでしょうか。

笹に願いごとを書いた短冊をつけて飾る風習は、昔から変わりません

夏の代表的な星座をさがす

夏の星座をみつける場合には、まず代表的な星座を探してみることが大事です。
じっさいには、夏の大三角をみつけることからスタートするのが良いでしょう。
夏の大三角は星座ではありませんが、3個の星座の主要な星(1等星)を結んでできる三角形のことで、夏の季節にはこの夏の大三角がとてもめだち、もっともさがしやすい星といえます。
こと座のベガ、わし座のアルタイルそして、はくちょう座のデネブで構成される夏の大三角をみつけるときも、補助道具として星座早見や星図、あるいはスマートフォンなどの星座をさがすアプリを利用しましょう。

夏の大三角を撮影した天体写真,中央の雲のように写っているのが天の川です。

夏の大三角がみつかったら、その3星のある星座を最初にみつけましょう。
ベガを含むこと座、アルタイルのあるわし座そしてデネブを含むはくちょう座を確認しましょう。
その上で、周辺にあるいるか座や南の空にへび座、へびつかい座そしてさそり座やいて座などをさがしてみましょう。
また、天の川もぜひ、見たいものです。
都会地では見られない天の川も、夏休みを利用して海や山にお出かけの際にチャンスが到来します。街明かりなどを避けて夜空を仰ぎ見ると、天の川の存在に気づくことでしょう。
天の川の位置と各星座の位置関係などをたしかめましょう。星座早見などでたしかめてみつけましょう。今年の夏も充実した星見の夜が体験できることを祈ってます。

惑星情報

今月は、宵の明星だった金星も見えなくなり、東の地平線から昇ってくる土星のみが見られる惑星といえましょう。ところで、月明かりがあると、星座をかたちづくる恒星は見えにくくなってしまいますが、水星、金星、火星、木星並びに土星は、光害(ひかりがい)と呼ばれる街明かりや月明かりに関係なく位置を確かめられますし、天体望遠鏡で観察することができます。
これは、惑星観察時のメリットですね。都会でも郊外でも関係なく観察が可能な惑星を楽しんでください。

水星

水星は、8月10日に東方最大離角となり、夕方の西の空(低空)に輝いて見えます。
東方最大離角の頃は、0等星まで明るくなりますが、地平線下に沈んでいくのも早いので、ネットなどで位置予報を確認してぜひ、観察してみましょう。

金星

先月までの金星は、宵の明星として夕暮れの西の空に明るく輝いて見られていましたが、8月13日に内合となりますので、8月は金星を見るのはちょっとむずかしい時期といえます。
再び見えるようになるのは、9月に入ってからで、今度は明けの明星として明け方の東の空に輝くようになります。

火星

火星は、夕方の西の空に見られます。明るさは1.8等級で、しし座からおとめ座の中を移動していきます。ただし、西空の低空のために見るのはむずかしい状況といえます。

木星

木星は、おひつじ座の中に-2等級の明るい星として輝いています。夕方の空では見られませんので、観察するには夜半から夜明けまでの時間帯となります。

土星

土星は、8月27日に衝を迎えます。夕空では東の空、地平線近くの低空にしか見えませんが、9月頃からは、夕空でも比較的見やすくなってきますので、8月後半の天体観望会のときは、ぜひ土星を観察しましょう。明るさは、およそ0.5等級で、明るいので、肉眼ですぐにみつけることができます。

8月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
14.4
15.4満月 月の距離が最近
16.4月と土星が接近
17.4
18.4月が天の赤道を通過北半球へ
19.4
20.4
21.4立秋(二十四節気) 下弦の月 月と木星が接近
22.4
1023.4月とプレアデス星団が接近 水星が東方最大離角
1124.4山の日
1225.4金星が内合 月の赤緯が最北
1326.4ペルセウス座流星群が極大 水星と火星が最接近
1427.4
1528.4
1629.4新月 月の距離が最遠
170.7
181.7細い月と水星が並ぶ
192.7細い月と火星が接近 月が水星に再接近
203.7月が天の赤道を通過,南半球へ
214.7
225.7伝統的七夕
236.7処暑(二十四節気)
247.7上弦の月
258.7
26 9.7
27 10.7月の赤緯が最南
28 11.7土星が衝
2912.7
3013.7月と土星が接近
3114.7満月 月の距離が最近 月が土星に最接近
8月の星空案内図
南の星空

背景黒

背景白

北の星空

背景黒

背景白

8月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の方向によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ12」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。