つくばのこと、もっとわかれば もっとたのしい! 茨城県つくば市のケーブルテレビ局ACCSによる地域情報サイト

ちあきの星空コラム

第242回 土星を見る (2023/09/01)

土星が天体観望会に登場!

今年の7月までは、宵の明星金星が星空を楽しませてくれましたが、今年の秋には、土星と木星が観測好機を迎えます。土星は、秋の星座みずがめ座の中にあり、夕空の中では東の空に見えていますが、深夜には南の空に明るく輝いて見えます。
秋の星座の中には、みなみのうお座のフォーマルハウトしか1等星がありませんが、そのフォーマルハウトよりも高い位置で、しかもより明るく見えますので、すぐにみつけることができることでしょう。
天体望遠鏡で見ると、土星本体とともに環が見え、その独特の姿からとても人気のある惑星です。
天体望遠鏡がなくても、位置を確かめ、明るさや色を見分けることができます。また、天体望遠鏡を持っていなくても各地で開催される「天体観望会(星の観察会)」に参加して、ぜひ、天体望遠鏡で土星の姿を確認しましょう。

土星の姿:地球から見ると毎年環の傾きが変化していくように見えます。昨年や一昨年はもっと輪が広がっていましたが、今年はだいぶ細く見えるようになってきました。(撮影:川端孝幸)

秋の星座の登場

夏休みに見た夏の大三角をはじめ、へびつかい座やいて座などの夏の星座が夕空の中にまだ見られますが、東の空から昇ってくる星座を観察すると、秋の星座の登場が確認できます。
秋の四辺形と呼ばれる四角形は、ペガスス座の天馬の胴体に位置しますやが、この四辺形を中心に、みずがめ座、みなみのうお座、やぎ座などが見えています。
秋の星座の中には1等星がみなみのうお座のフォーマルハウトしかなく、秋の四辺形の星々は、2等星で構成されています。さらに秋の星座を紹介しますと。ギリシャ神話に出てくる古代エチオピア王国の物語に関係する星座は、ケフェウス座、カシオペヤ座、アンドロメダ座、くじら座、ペルセウス座などですが、これらも含めて、やや暗い星も含めて星と星を線で結んで星座をかたちづくることができますので、星図や星座早見盤を利用して星々をたどり、星座をみつけましょう。
どうしてもみつからない星座があるときは、少し、星空がよく見える郊外に出かけるか、プラネタリウム館で星座の投影を見学して覚えるようにすると良いでしょう。
9月23日に秋分を迎え、夏に比べて夜の時間が長くなります。じっくり星空を楽しみましょう。

くじら座の写真に星座線を記入(撮影,加工:田中千秋)

くじら座の星図(ステラナビゲータから)

みなみのうお座の写真に星座線及び文字を記入(撮影,加工:田中千秋)

 

惑星情報

宵の明星(金星)が8月からは見えなくなっていましたが、9月に入りますと、明けの明星として、明け方の東の空に明るく輝くようになりますが、代わりに夕空に登場するのは、土星です。
天体観望会などに参加して天体望遠鏡で星空を見るチャンスがありましたら、ぜひ土星を観察してみましょう。各惑星の詳細は次のとおりです。

水星

水星は、9月5日には内合となり、太陽と地球の間に挟まれた位置にあります。このときは見ることができません。その後、9月22日には西方最大離角となりますので、明け方の東の空、低空部分に輝く水星を見ることができます。およそ前後各1週間程度が観測のチャンスといえます。

金星

8月13日に内合を迎えた金星は、それまで夕方の西の空に見えていたものが、今度は明け方の東の空に見られるようになります。
9月19日には最大光度となり、天体望遠鏡で見ると三日月状に見えますので、是非、確かめてみましょう。

火星

火星は、10月18日に地球から見て最も遠ざかる位置となり、観測不適です。
次回接近は2025年1月12日となりますので、しばらくは観測ができません。

木星

木星は、11月に衝を迎えますので、そろそろ観測シーズンが到来といえます。9月にはおひつじ座の中に見られ、夕空には見られないものの、深夜には-2等級の明るい星として輝いて見られます。

土星

土星は、8月28日に衝を迎え、観測好機です。うお座とみずがめ座の境界線付近にあり、夕空では東の空に見え、天体観望会の対象天体としての人気はトップです。
明るさは、0.5等級程度で、みずがめ座の星々よりも明るいので、すぐにみつけることができます。

速報!

静岡県掛川市にお住まいのアマチュア天体観測家西村栄男(にしむら ひさお)さんは、今年の8月13日の明け方、ふたご座に新彗星を発見し、IAU(国際天文学連合)にて西村彗星と命名されました。
この彗星は、9月中旬に太陽に最も接近しますが、その前の9月上旬には明け方の東の低空で見ることができそうです。
双眼鏡を使えばより見やすくなることでしょう。
下部に8月6日撮影の西村彗星の写真を掲載します。この写真のように彗星の尾が見られるといいですね。

9月上旬の西村彗星の見え方
日付等級太陽との離角
9月5日5.127度
9月7日4.424度
9月9日3.721度
9月12日2.615度

西村彗星(2023年8月26日撮影)撮影:浦辺守

9月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
15.7二百十日
16.7月が天の赤道を通過北半球へ
17.7
18.7
19.7水星が内合 月が木星に最接近
20.7
21.7下弦の月
22.7白露(二十四節気) 月の赤緯が最北
23.7
1024.7
1125.7細い月とプレセレ星団が並ぶ
1226.7月が金星に最接近
1327.7月の距離が最遠
1428.7月が水星に再接近
150.1新月
161.1月が天の赤道を通過南半球へ
172.1月が火星に最接近
183.1敬老の日 金星が最大光度
194.1
205.1
216.1さそり座α(アンタレス)の食
227.1水星が西方最大離角
238.1秋分の日 秋分(二十四節気) 上弦の月
249.1
2510.1
26 11.1
27 12.1月と土星が最接近
28 13.1月の距離が最近
2914.1満月 月が天の赤道を通過北半球へ
3015.1
9月の星空案内図
南の星空

背景黒

背景白

北の星空

背景黒

背景白

9月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の方向によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ12」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。