ACCSキャンペーン
つくばもん
読み物

【ちあきの星空コラム】 2023/12/28

第246回 2024年の天文現象

今年見られる天文現象

2024年が始まりました。今年1年間の天文現象をお知らせします。
今年は特筆すべき天文現象は特にありませんが、それぞれの季節に見られる天文の現象を見逃さないようにしましょう。
今年も空を見上げることをひとつの楽しみとしてお過ごしいただきたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願いします。

1月

1月は、しぶんぎ座流星群から天文現象が始まります。
北東の空を輻射点(放射点)として、4日の午前2時頃から明け方にかけて流れ星が見られます。
「しぶんぎ座」という星座は、現在はありませんが、過去の星座名が名残で使われています。現在の星座でいうと、りゅう座の一部にあたります。つまり、りゅう座の方向から流れるように見られる流星群なのです。全天で流星は流れますが、北の空から天頂方向を眺めて観察するといいでしょう。寒さ対策も忘れずに流星を楽しみましょう。
次に水星ですが、1月12日に西方最大離角を迎え、夜明け前の南東の空に金星とともに見られます。1月9日、10日にはこの金星と水星の付近に細い月が一緒に見られ、地平線近くには火星も一緒に見られるかもしれません。さらに1月28日には、水星は火星に大接近しますので、これもぜひ見たいものです。

 

過去に見られた水星と金星の接近の様子

夕空では、1月14日に三日月とともに近くに土星が輝いています。
また、1月18日には、半月の中に月面Xが見られます。これは天体望遠鏡を使って見ることになります。以前に撮影した写真をご覧ください。

月面に見られるX及びLOVEの文字に似た地形

この日、月は木星に近づいていて、両方の天体の輝きを見ることができますが、これは肉眼で十分に楽しむことができます。
さらに、1月20日には、月がおうし座のプレアデス星団に接近している様子を見ることができます。月が明るいため、プレアデス星団が見えにくいのですが、双眼鏡か天体望遠鏡を使えばはっきりと確認できます。

2月

りゅうこつ座のカノープスは、南の空の低空に見られます。南の空が地平線近くまで開けた場所をさがして、カノープスウオッチングを楽しみましょう。南の空低く、めったに見られないことから、「見ると縁起がいい」といわれています。
2月15日には、月と木星と天王星が集合します。ただし、天王星の確認には天体望遠鏡を利用しないと見えません。
さらに、2月24日の満月はミニマムムーンと呼ばれ、2024年の1年を通して最も小さく見える満月となります。

3月

3月17日にはふたたび月面Xの観測に適しています。
3月25日には水星が東方最大離角を迎えます。水星は1月には明け方の空に見られましたが、今回は夕空に見られます。
また、3月末から4月にかけて、ポン・ブルックス彗星が見られるかもしれません。夕方、西空の低空を探してみましょう。

4月

4月9日に皆既日食がありますが、アメリカやメキシコで見られる現象で、残念ながら日本からは見ることができません。
4月11日には火星と土星が大接近している様子が見られます。明け方の東の地平線近くに見られますから早起きをして観察してみましょう。

5月

ゴールデンウイークの5月6日午前1時半頃から夜明け前まで、みずがめ座η流星群が見られますので、早起きをして流星ウオッチングを楽しみましょう。光害の少ない条件では1時間に10個程度の流星が見られることでしょう。
5月10日には、明け方の東の空で水星が西方最大離角を迎えます。早起きしてぜひ見ましょう。

6月

6月は、梅雨時で星見の機会が減る時期ですが、6月10日の夕方にかに座のプレセペ星団に細い月(月齢3.9)が接近します。双眼鏡を使うとはっきり見ることができることでしょう。
6月20日にはさそり座の1等星アンタレスが月に隠されるアンタレス食が見られます。この現象は日没前の明るい空でのできごとなので、天体望遠鏡を使って観測することになります。

7月

7月は、7月7日の七夕をお祝いしましょう。
7月下旬には、夕空で水星が見られ、7月22日には水星の東方最大離角を迎えます。また、7月25日には、日中に土星食が見られます。といっても、透明度の高い空と天体望遠鏡を用いて観測しないと見ることができません。
流星は、月末の7月31日にみずがめ座δ(デルタ)南流星群が極大を迎えます。郊外にお出かけの方は流星ウオッチングにチャレンジしてみましょう。

8月

8月は1日から7日までの1週間をスターウイークと呼んで、星に親しむ週間としています。
また、今年は7月7日の七夕が、旧暦では8月10日に相当し、伝統的七夕として最近では梅雨時の七夕でなく、伝統的七夕をお祝いする風習が根付いてきています。
また、8月10日にはスピカ食があり、おとめ座の1等星スピカが20時過ぎに月に隠されます。隠される時刻は、地域によって異なりますので、観測地ごとの食のおきる時刻はネットで調べましょう。
毎年、夏休みに衆目されるペルセウス座流星群は、8月12日23時頃をピークとして多くの流れ星を見ることができます。

9月

9月5日には、水星の西方最大離角があり、明け方に水星が見られるチャンスがやってきます。
次に、9月9日に土星が衝(位置=みずがめ座)となり、観測シーズンがやってきます。土星の環の傾き具合から2024年は、大変細く見え、2025年には環を真横から眺める状態になって、一直線の細い線に見えるようになります。楽しみですね。
また、金星がいよいよ宵の明星として見えるようになります。特に中旬にはおとめ座のスピカと接近しますので、良い眺めとなるでしょう。
9月17日は中秋の名月です。ススキやお団子をお供えして東の空から昇りくる名月を観賞するのも楽しいイベントとなることでしょう。

10月

紫金山・アトラス彗星が接近し、明るく見えるようになると予想されています。中旬ころが見頃となるものと思われます。詳細は、新聞等に報道されることでしょう。
10月17日の満月は、スーパームーンと呼ばれる2024年で一番大きく見える満月となります。また、10月21日にはオリオン座流星群が極大を迎えます。

11月

11月5日の夕方の西空に細い月と金星が並んで見られます。11月に入ると空気が澄んで西の空の地平線や山並みが見えることが多くなります。こうした環境の良い日に見られたらとても美しい風景になることでしょう。
11月16日に水星が東方最大離角になります。水星の最大離角は1年の中では何度も起きる現象ですが、そのわりに実際に水星を見たことがない人が多く、低空にしか見えないことがその原因だろうと思われますが、観測機会をもうけ、ぜひ、本物の水星を観察してみましょう。

12月

12月8日に木星が衝(位置=おうし座)となり、観察の好機となります。
同じく12月8日には土星食が見られます。土星が月に隠される現象を観察しましょう。
続いて、12月14日にはプレアデス星団の食が見られます。また、この日にはふたご座流星群が極大日を迎えます。
12月25日に水星が西方最大離角を迎えます。今年最後の水星を見るチャンスです。この日は、おとめ座のスピカが月に隠されるスピカ食も見られます。

1月の惑星

水星

今月の水星は、1月12日に西方最大離角を迎えます。見られるのはその前後数日の南東の空です。しかも明け方になりますから夜明け前に早起きをして探してみましょう。
(明るさ0.5~-マイナス0.3等級)

金星

明けの明星として明け方の南東の空に他の星とは異なる圧倒的な明るさで輝いています。
(明るさ-4~-3.9等級)

火星

2023年末に地球から遠く離れた外合を迎えたばかりで、現在、観察不適です。次に地球へ接近するのは2025年となります。

木星

空の高い位置に煌煌と輝いているのが木星です。おひつじ座の中に見えます。
(-2.5~-2.6等級)

土星

昨年は12月まで、夕空で観察されていましたが、今年2月29日に合(太陽と重なる方向)となりますので、観察ができません。

1月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
17.7元旦
18.7月の距離が最遠
19.7月が天の赤道を通過南半球へ
20.7下弦の月 しぶんぎ座流星群が極大
21.7月とスピカが接近
22.7小寒(二十四節気)
23.7
24.7成人の日
25.7細い月と金星が並ぶ
1026.7細い月が火星に最接近 月の赤緯が最南
1127.7新月
1228.7水星が西方最大離角
130.1月の距離が最近
141.1月に土星が最接近
152.1
163.1月が天の赤道を通過、北半球へ
174.1
185.1上弦の月 月面Xが見られる
196.1月が木星に最接近
207.1冬至(二十四節気)
218.1
229.1
2310.1月の赤緯が最北
2411.1
2512.1
2613.1満月
2714.1
2815.1
2916.1
3017.1月が天の赤道を通過、南半球へ
3118.1

1月の星空案内図

南の星空

背景白

背景

北の星空

背景白

背景黒

1月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の方向によって使い分けましょう。この星図では、月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ12」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。