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ちあきの星空コラム

第265回 8月の星空 (2025/08/01)

スターウィーク2025

8月1日から7日までの七日間をスターウィーク(星空に親しむ週間)として1995年に提唱され、星空や星を見ることに親しみを感じてもらうための週間として設けられました。
主催は、スターウィーク実行委員会。後援は、国立天文台、天文学振興財団で、そのほか鳥取市さじアストロパークほかの全国の団体、個人に協力を得てこの週間が成り立っています。
8月のはじめは、全国的に梅雨も明けており、星空をながめるのに適した時期として、じっさいに星空に親しんでいただき、今まで30年間、継続されてきています。
今年のポスターは、右のとおりですが、各地の科学館、プラネタリウム及び天文台などに掲示されています。
じっさいに星空をながめ、星座や七夕の星などをさがすには、まちなかでも可能ですが光害(ひかりがい)が少ない郊外地などに出かけて見るとさらに多くの星を見ることができます。
星空の中から星座などを見つけるには星座早見盤などの補助具を利用し、家族や友人たちも含めて楽しく、わいわいとスターウォッチングを楽しみましょう。

この夏の星を見る

この夏の映画のうち、「この夏の星を見る」は、同名の辻村深月著の小説を映画化したもので、全国各地で上映中です。
土浦市内にある茨城県立砂浦第三高等学校の高校生を主人公に、所属する天文部を中心に各地の天文部や理科部との交流を茨城、東京それに長崎県五島列島が舞台となって、ドラマが展開されます。
じっさいに映画を鑑賞したところ、天文好きの私としてはまるでかつての自分(高校天文部だったころ)を思い出されるシーンも多く、青春の悩める心の描写にも感心してしまいます。鑑賞中の2時間は、高校生に戻ったような熱い気持ちと星好きの自分が映画の中に溶け込んで充実した楽しい時間を過ごすことができました。
この映画では、私の住む茨城県内で多くのロケが行われ、場面の中で知っている景色や場所が登場する嬉しい気持ちも鑑賞の充実感を増す原因になりました。
茨城県内のロケ地を紹介しますと、茨城県立土浦第三高等学校、朝日峠展望公園、阿見町内の大判焼き店、霞ヶ浦平和記念公園、関東鉄道常総線内、下妻駅前の線路沿いの道、大形橋(下妻市内)それにプラトーさとみ(常陸太田市)などです。
美しい星空風景も映画のウリのひとつですが、これはCG画像でなく実写によるものであり、天体写真家を名乗る私としては、映像撮影スタッフや撮影機材の技術、能力に脱帽してしまいました。
ぜひ、読者のみなさまにもご覧いただきたく、ご案内いたします。よろしくお願いいたします。

夏の大三角をさがす

8月の夜空には夏の星座が輝いていますが、その中でも代表的な星として有名なものは天の川付近で輝く夏の大三角です。
夏の大三角を構成する星は、夏の代表的な星座(こと座、わし座、はくちょう座)のそれぞれ主星であり、夏の大三角をみつけることが夏の星座をさがす第一歩となります。
夏の夜空に見られる天の川の付近で明るく輝く夏の大三角は、一度みつけたらもう忘れることができないほど印象的です。
こと座のベガ、わし座のアルタイル、そしてはくちょう座のデネブで構成される夏の大三角は、下の写真や星座早見盤を活用しながらじっさいの星空の中からみつけてみましょう。

夏の大三角(説明線、名称入り)

夏の星座

夏の大三角がみつかれば次はその周辺の星座をさがしていきましょう。
星座早見盤を活用して夏の大三角の近くの星座をさがしましょう。いるか座、や座、ヘルクレス座などが付近にみつかることでしょう。
南の空に目をやると、さそり座、いて座それにへびつかい座などをみつけることができます。
星座さがしは発見の連続であり、大きな楽しみともいえます。
ぜひ、この夏に星座がみつけられるようになるといいですね。

ペルセウス座流星群を見る

今年のペルセウス座流星群は、8月13日の夜明け前を中心に前後数日間、流れ星を楽しむことができます。ぜひ、流星ウォッチングにチャレンジしてみましょう。
下弦前の明るい月もあって、この時期、星空を眺めるのにやや不利な条件もありますが、晴れていれば公園や自宅のベランダなどを利用してぜひ流れ星の姿をご自身の目でたしかめましょう。

月おくれの七夕と伝統的七夕を楽しむ

7月7日の七夕は過ぎてしまいましたが、ひと月おくれの8月7日を七夕の日としておまつりする地域も多くありますし、伝統的七夕は旧暦(太陽太陰暦=明治5年まで採用されていた)の七夕をお祝いするものですが、古来より七夕伝説から七夕まつりとして楽しんでいた時期は、暦は旧暦でした。今年の現在の暦に重ねてみると、七夕は8月29日に相当します。
この旧暦の七夕を「伝統的七夕」と呼び、むしろこちらが本来の七夕で、本流と考えて大切に守っている人たちもいます。
この伝統的七夕を含めて月おくれの七夕とともに8月に2回、七夕を楽しむことができます。
私事で恐縮ですが、仙台に住んでいたころは、8月7日前後の仙台七夕まつりを楽しんでいましたが、開催の3日間で約200万人の人出があるそうで、吹き流しの飾りがとても美しい印象が残っています。

8月の惑星

水星

8月19日に西方最大離角となり、明け方の東の空にその輝きをみつけることができます。
(明るさ5.4~1.2等級)

金星

明けの明星として、夜明け前の空に輝いています。
8月12日には木星と接近した様子を見ることができます。
(明るさ-4.0~-3.9等級)

火星

夕空の西の低空に赤く輝いています。星座でいうとしし座からおとめ座に移動していきます。
日々の移動の様子を双眼鏡や天体望遠鏡を使って観測してみるのもいいでしょう。
(明るさ1.6~1.6等級)

木星

見える方向は太陽に近く、明け方の東の空に日の出前に見ることができます。
(-1.8~-1.8等級)

土星

日没から少しして、東の空に見えるようになります。その後、一晩中、観測が可能です。
天体望遠鏡で見ると、環はほぼ真横から見ている状態なので、環が広がりを見せてくれるようには見えませんが、細い環の状態を楽しみましょう。
(0.8~0.7等級)

8月の天文情報

(月齢は正午の値)

 

曜日月齢天文現象など
5.7スターウィーク(1~7日) 月面Xが見える
6.7月の距離が最遠
7.7原村星まつり(長野県原村)
8.7
9.7月の赤緯が最南
10.7
11.7立秋(二十四節気) 月おくれの七夕
12.7
13.7満月(スタージョンムーン)
1014.7
1115.7山の日
1216.7金星と木星が最接近
1317.7ペルセウス座流星群が極大
1418.7
1519.7月の距離が最近
1620.7下弦の月 プレアデス星団の食
1721.7
1822.7
1923.7月の赤緯が最北 水星が西方最大離角
2024.7明け方細い月と金星、木星が集合
2125.7
2226.7
2327.7処暑(二十四節気) 新月
2428.7
250.3月が天の赤道を通過、南半球へ
261.3夕方細い月と火星が接近
272.3
283.3
294.3伝統的七夕
305.3月の距離が最遠
316.3上弦の月

8月の星空案内図

南の星空

背景白

背景黒

北の星空

背景白

背景黒

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では天文台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。