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ちあきの星空コラム

第267回 秋に宇宙を見る (2025/10/02)

9月8日の皆既月食が見えました

9月8日(月曜日)の未明に見られた皆既月食はお天気が晴れた地域が多く、夜中過ぎの現象ではありましたが、見られた方も多くいたことと思います。私も茨城県龍ケ崎市の自宅で見ました。

部分月食の開始の午前1時27分から2時30分か頃までは雲の多い天気でしたので、欠けていく月の姿は雲間からの観望となりましたが、2時31分から3時53分まで見られた皆既月食は、お天気も回復し、観望を楽しむとともに写真撮影も楽しみました。

今回の月食の特徴としては、いつもの皆既月食のときよりも暗く感じられました。といっても、暗い空の中でその位置を見失うほどの暗さではなく、ほんのりと赤みのある暗い月の姿として見ることができました。

次に皆既月食が見られるのは、来年3月3日です。今度は夕方から見られる良い条件です。ぜひ、月食の不思議な赤黒い姿をご覧ください。

皆既月食中の月の姿(午前3時24分撮影)

部分月食の月(午前1時52分撮影

秋にはお隣の宇宙「アンドロメダ銀河」が見える

秋の空は空気が澄んでいるので星空を見上げると星が瞬いている様子がわかります。
美しい秋の星空をじっくり眺めてみましょう。秋の星座の中には、1等星はみなみのうお座のフォーマルハウトのひとつだけで、あとは2等星以下のやや暗い星ばかりです。派手さはない秋の星々ですが、空気の澄んだ夜に光害の少ない地域でスターウオッチングを楽しみますと今まで気づかなかった暗い星までよく見えていることに気づきます。

夜空の中で、星の配置、配列は均等ではなく、かなりムラがあることがわかりますが、そうした中に星どうしを線で結び星座を確認していきます。秋の星空では、アンドロメダ座の中に通常見慣れている星の鋭い輝きではなく、天の川銀河の中の星ではなく、もっと遠くにある銀河が肉眼で見えていることに気がつきます。これが、M(メシエ)31アンドロメダ銀河なのです。
この星雲上に見られるM31を倍率7倍程度、口径50ミリくらいの双眼鏡で眺めると、宇宙空間に存在する銀河の姿だと気がつくことでしょう。

アンドロメダ座をみつけ、アンドロメダβ星の近くにはM31とM33があります。
特に明るいM31は光害の少ない地域では肉眼でみつけることができます。

M31アンドロメダ銀河の姿(天体望遠鏡を使って撮影)

M33さんかく座の渦巻き銀河は、アンドロメダ座β星を挟んでM31の反対側にあります。肉眼では見えないのですが、双眼鏡を使うとその存在をみつけ確認できます。(天体望遠鏡を使って撮影)

宇宙には、数多くの銀河が存在し、銀河同氏は銀河団を形成しています。そうした宇宙の中の銀河のうち、M31は私たちの天の川銀河に近く、約250万光年離れた位置にあるとされています。こんなに遠くに感じる距離でも銀河の中では私たち天の川銀河のお隣の銀河なのです。
唯一、肉眼でみつけることができるこのお隣の銀河をみなさまもみつけてみませんか。

秋の惑星

天体観望会で、夕方の空に見られるのは土星だけです。
木星と金星は明け方の空の中に見られます。
各惑星の10月の位置や明るさなどは、次のとおりです。

10月の惑星
水星

10月30日に東方最大離角となりますが、行動の位置が低く、観測にはあまり適しません。
(-0.5等~-0.2等)

金星

明けの明星として、日の出の直前に見ることができます。
東天の夜が明けてくる頃に明るく輝いて地平線から姿をあらわします。
(明るさ-3.9~-3.9等級)

火星

日没直後に西の低空に見られますが、条件は良くありません。
てんびん座の中にあります。
(明るさ1.6~1.5等級)

木星

夜半の頃、東の空に見られ、夜明けの頃まで観測が可能です。
(-2.0~-2.2等級)

土星

夕空では、東の空に見えます。一晩中、観測が可能です。
今年の土星は環を横から見る地球との位置関係になっていますので、天体望遠鏡で見ると環は細い線のように感じられます。みずがめ座に位置しています。
(0.7~0.9等級)

10月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
9.3
10.3
11.3
12.3
13.3
14.3中秋の名月 月が天の赤道を通過北半球へ 月と土星が並ぶ
15.3満月(ハンターズムーン、ハーベストムーン)
16.3寒露(二十四節気)
17.310月りゅう座流星群が極大
1018.3月とプレアデス星団が並ぶ
1119.3
1220.3月の赤緯が最北
1321.3スポーツの日 月と木星が接近
1422.3下弦の月
1523.3月とプレセペ星団が接近
1624.3
1725.3
1826.3
1927.3月が天の赤道を通過南半球へ
2028.3明け方細い月と金星が接近
2129.3新月 オリオン座流星群が極大
220.6
231.6霜降(二十四節気)
242.6月の距離が最遠
253.6
264.6月の赤緯が最南
275.6
286.6
297.6
308.6上弦の月
319.6

 

10月の星空案内図
南の星空
背景黒

背景黒

背景白

北の星空

背景黒

背景白

10月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の方向によって使い分けましょう。この星図では月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。
本コラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ12」を使用しています。
星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では天文台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。