ちあきの星空コラム
第278回 月を見る (2026/09/01)
中秋(ちゅうしゅう)の名月(めいげつ)は9月25日
毎年9月ごろに中秋の名月が見られます。中秋の名月は年によって日にちがちがい、8月のこともあり、9月だったり、時には10月のこともあります。
中秋の名月とは、旧暦(太陰太陽暦=明治5年まで採用)における秋の季節(7月、8月、9月)の中の8月15日に見られる月のことをいい、現在でも伝統的に採用されています。
現在のこよみは新暦つまり太陽暦(グレゴリオ暦)を採用しており、1年は約365日となっていますが、旧暦を採用していた時代には、1年間12か月では、365日にならず、11日足りなかったため、3年に一度、うるう月が設けられ、1年が13か月の年がありました。
したがって、中秋の名月の日が今の暦に当てはめると、年によって異なる日にちになってくるのです。整理すると、旧暦を採用していた昔の時代には、秋の真ん中の8月の15日に見られる月を中秋の名月と呼び、月を眺める風習があったということです。
この時期は、おおよそ五穀豊穣の時期とも重なるので、お供え物として、収穫された野菜や穀物を縁側や庭で月にお供えし、ススキや萩などの季節の花も飾って月を愛でました。
中秋の名月は、夕方、宵闇がせまるころに東の空から昇ってくるので、角度的にも見やすい位置にあり、満月かその前後の月齢ですので、形状的には丸く見え、時間がたつと高度が上がり、煌々と輝き、地上を照らすその様子には気高さを感じていたことでしょう。電灯もテレビもない時代の月明かりの貴重な光は、夜道を照らしてくれるといった実用面を含めて、人々に喜ばれていました。
そのような昔の生活にも思いをはせながら、中秋の名月を楽しんでみませんか。
ちなみに今年の中秋の名月は、9月25日(金曜日)。満月の2日前の月で、東側が少し欠けた名月になります。
名月の日にはじっさいに月を観察してウサギさんのパターンが見えるかどうかなど、観察してみましょう。
月を天体望遠鏡などで見る
中秋の名月を見るとき、肉眼で見たときと望遠鏡などを使って見たときの見え方の違いはどういったところにあるでしょうか?
肉眼で見る月は、中秋の名月ですとほぼ丸く見えます。
月の表面には黒っぽい模様が見られますが、視力が良くないとうさぎのパターンまでははっきりとはわかりません。
では、コンサートなどを見るときに使うオペラグラスを使うとどうでしょうか。
オペラグラスはサイズが小型で、倍率も2.5倍から5倍程度のあまり高くない倍率の双眼鏡です。
視度調節ができますので、近視の人でも月をはっきりと見ることができ、うさぎのパターンもはっきり見ることができます。折りたたみ式の比較的安価な物でも十分、役に立ちますので、1台持っておくと重宝します。
次に、バードウォッチングなどに用いる本格的な双眼鏡は、倍率が8~10倍くらいで、対物レンズの口径が30~40ミリ程度です。このタイプは機種も豊富で、たくさんの双眼鏡の中から自分好みの1台を選ぶことができます。これだと月の模様ははっきりと見えます。
双眼鏡を天体観測にも使用したい場合は、対物レンズの口径を少し大きくした口径42~50ミリ程度のもが向いています。口径が大きくなりますと、暗い星までとらえることができますので、月だけでなく、星雲、星団、二重星及び変光星の観測などにも用いることができますが、重たいので、三脚などもあった方がじっくり観察する場合には有効です。
次にこの際、天体望遠鏡を買い求めたいという方がいらっしゃいましたら、安価なものは求めずに信頼のおけるメーカー品を求めましょう。
天体望遠鏡では、月を大きく明るく見ることができ、クレータや山脈、谷なども見ることができ、倍率を高くして、クレータの詳細なども観察できます。
購入は出費を伴うものですからよく検討して、一生の財産になるような(宝物として)ものをお求めください。

天体望遠鏡を用いると満月前後の月では表面の模様があまり見られませんが、欠けている月ではクレータや海と呼ばれる部分の詳細まで明快に確認できます。黒い部分が海と呼ばれる箇所。大きなクレータからは光状が見られます。また、山脈や谷、入江状の地形があることなどもわかります。
月と惑星の接近が見られる
9月9日(水曜日)の夜明け前の東の空に細い月(月齢27.1)と木星が接近している様子が見られます。月と木星の接近度合いは、角度の1.5度ほどです。
また、9月14日(月曜日)の夕空には西の空に細い月と金星が接近した様子を見ることができます。接近度合いは角度の1.5度ほどです。
9月9日と14日の両方とも見られるといいですね。
9月の惑星
水星
9月の水星は、地球から見て太陽に近い位置。すなわち太陽との離角が小さいため、観測には適しません。
(-1.5等~-0.1等)
金星
9月19日に最大光度となり、夕方の西の空で宵の明星として、とても明るく輝いています。
9月末ごろには低空となり、見ることができなくなります。
(明るさ-4.6~-4.7等級)
火星
夕空には見えませんが、夜半過ぎにはふたご座の中に赤く輝く火星を見ることができます。
(明るさ1.3~1.1等級)
木星
夜明けの頃に東の空に見ることができます。
観測シーズンは、寒い季節になったころです。
(-1.6~-1.7等級)
土星
観測の好機をむかえました。
昨年とちがい、環の存在もはっきり確認でき、天体観望会では主役となることでしょう。
(0.6~0.5等級)
9月の天文情報
(月齢は正午の値)
| 日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
|---|---|---|---|
| 1 | 火 | 19.4 | 二百十日 |
| 2 | 水 | 20.4 | 金星とスピカが最接近(9時) |
| 3 | 木 | 21.4 | 月とプレアデス星団が大接近(深夜~明け方) |
| 4 | 金 | 22.4 | 下弦の月 |
| 5 | 土 | 23.4 | 月の赤緯が最北 |
| 6 | 日 | 24.4 | |
| 7 | 月 | 25.4 | 白露(二十四節気) 月の距離が最近 |
| 8 | 火 | 26.4 | 月とプレセペ星団が並ぶ |
| 9 | 水 | 27.4 | 細い月と木星が大接近(未明~明け方) |
| 10 | 木 | 28.4 | |
| 11 | 金 | 29.4 | 新月 月が天の赤道を通過 南半球へ |
| 12 | 土 | 1.0 | |
| 13 | 日 | 2.0 | |
| 14 | 月 | 3.0 | 細い月と金星が大接近(夕方) |
| 15 | 火 | 4.0 | |
| 16 | 水 | 5.0 | |
| 17 | 木 | 6.0 | |
| 18 | 金 | 7.0 | 火星とふたご座の1等星ポルックスが最接近(2時) |
| 19 | 土 | 8.0 | 上弦の月 金星が最大光度 の赤緯が最南 月の距離が最遠 |
| 20 | 日 | 9.0 | 秋の彼岸 |
| 21 | 月 | 10.0 | 敬老の日 |
| 22 | 火 | 11.0 | 休日 |
| 23 | 水 | 12.0 | 秋分の日 秋分(二十四節気) |
| 24 | 木 | 13.0 | |
| 25 | 金 | 14.0 | 中秋の名月(十五夜) |
| 26 | 土 | 15.0 | 月が赤道を通過、北半球へ |
| 27 | 日 | 16.0 | 満月(コーンムーン、ハーベストムーン) 月と土星が並ぶ |
| 28 | 月 | 17.0 | |
| 29 | 火 | 18.0 | |
| 30 | 水 | 19.0 | 月とプレアデス星団が大接近 |
9月の星空案内図
南の星空
北の星空
本コラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ12」を使用しています。
星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では天文台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。






