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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第1回 火星超大接近!(この夏ぜひ見たい星 火星)

ついに火星がやってくる!
今年の夏は、星の世界は火星大接近の話題で持ちきりです。約6万年ぶりの超大接近といわれ、新聞や雑誌などでも特集記事を見つけられるようになりました。
最接近日は8月27日ですが、7月から10月までは比較的大きく見えますので、チャンスを逃がさずに、ぜひ天体望遠鏡で見てみましょう。
火星は、私たちの住む地球のすぐ外側を公転している惑星で、昔は火星人が住んでいるといわれた謎の惑星でした。現在では、観測結果から火星人の存在は否定されていますが、地球に接近した火星は、天体望遠鏡を使うと表面に模様が見られ、南極には氷が張り、赤道付近には雲がかかったり、砂嵐が吹き荒れたりする火星面の様子を興味深く見られます。 太陽系の惑星の中では地球に比較的似た惑星ともいえます。

なぜ接近するの?
火星と地球は、お互いの公転周期から2年2か月おきに接近し合うのですが、軌道が両方とも楕円軌道であるために2つの天体同士が比較的大きく接近し合うのは、15年あるいは17年おきとなります。今回の接近は、お互いの楕円軌道のもっとも近づくあたりで接近し合うため、超大接近と呼ばれているのです。
夏休みシーズン中は各地で火星観望会などが開かれますので、ご自分で天体望遠鏡を持っていなくても観望会の情報に注目して、火星を天体望遠鏡で見てみましょう。

どこに見えるのか?
今年の火星は、みずがめ座の中に見つけることができます。
最接近時の8月27日には、午後10時ころ、東南の空に見つけることができます。火星が星座のどの星よりも赤く、明るく輝いて見えますので、すぐに見つけることができます。天体望遠鏡がなくても「ああ、あれが火星なんだ」と見つけるだけでも星空に一歩近づいた気持になれますよ!


何が見られる?
火星を天体望遠鏡でのぞくと、その姿は赤茶色で表面に模様が見られます。
また、南極部分に凍った部分が存在して白く輝いて認められます。これは極冠(きょくかん)と呼ばれていて、ドライアイスや水の凍った様子だといわれています。
また、時として火星表面で砂嵐が発生して黄色いほこりに覆われる(黄雲といいます)ことがありますし、白い雲や閃光と呼ばれる輝きを観測するチャンスもあるかもしれません。火星の実際の大きさは、大接近時で、視直径で25.1″(秒)角ほどの大きさになります。これを天体望遠鏡の倍率を200倍にして見たとしますと、満月を肉眼で見る3倍程度の大きさに拡大されて見るのと同じくらいのサイズとなります。

2003年7月17日の火星
撮影者 浦辺守


今年の7月17日に撮影した写真を掲げます。極付近が白く凍った様子や黒い模様が見られます。大接近のときは、もっと鮮明に見ることができるでしょう。
くわしくは、次のホームページにアクセスしてみるといいでしょう。

アストロアーツのホームページ (URL http://www.astroarts.co.jp/
国立天文台広報普及室 (URL http://www.nao.ac.jp/pio/

2003年8月4日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。