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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第5回 クリスマスシーズンに星を見る

クリスマスの頃の星は・・・

12月に入りますと、商店街ではクリスマス関連の音楽が流れ、また、最近では住宅街で窓辺をイルミネーションでデコレートする家庭が多く見られます。
寒い冬の到来ではありますが、街明かりやイルミネーションは見る人たちの心を暖かく包んでくれます。
木枯らしの吹くこの頃は、イルミネーションに負けないような冬の星空が見られます。秋の星座が割と地味で、1等星もみなみのうお座のフォーマルハウトただ一つだったのに比べて、冬には七つもの1等星が見られるのです。
ぎょしゃ座のカペラ、おうし座のアルデバラン、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、ふたご座のポルックスそれにオリオン座のベテルギウスとリゲルです。

星座をさがす

星座を実際の星空でさがしてみましょう。
まず、夕方、6時頃に、西空を見てみましょう。まだ夏の名残のはくちょう座が十字架を立てたような姿に見ることができます。キリスト教信者の多いヨーロッパなどでは、クリスマスの頃に十字架を星空の中で見ることができますので、このはくちょう座は大変、親しまれています。余談ですが、南半球のオーストラリアなどは十字架の形は南十字座がありますが、残念ながらこの季節には南の空の低空にあって、見つけるのはたいそうむずかしい時期といえます。

次に、午後9時頃、東の空から南の空を仰いでみましょう。そうしますと、有名なすばる(星団)のあるおうし座が天高く昇りつめようとしているところです。後を追うオリオン座、さらにおおいぬ座と東の空から昇ってきているのが見られます。星の動きはゆっくりしていて、地球の自転により日周運動をしているわけですから、1日に1回転する速度で動いているわけです。星空を見上げていて動いているようには見えませんが、1時間位してもう一度同じ星座の位置をたしかめてみますと、動いていることに気づきます。

三角形と六角形

冬の星座を見つけることができましたら、次のことにチャレンジしてみてください。
【チャレンジ内容】冬の星空の中に三角形と六角形があります。それを見つけましょう。
【ヒント】星座の形ではありません。星座の中の1等星を結ぶとできます。

今月はこのヒントのみとし、答えは次号(来年1月)の星図の中に示す予定です。
ぜひ、じっさいの星空で見つけてみてください。

この星空コラムがみなさま方にとって、読みものとして楽しいものに、また、本物の星空を見るガイド的な役目としても役にたつものにもなるようにしたいと思っています。今年はご愛読ありがとうございました。来年もまたよろしくお願いします。
ご意見やリクエストがあればぜひ、このホームページあてメールでお寄せいただきたいと思います。

12月の星空

この星図は、(株)アスキー、(株)アストロアーツの許諾を受け、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータVer.5」から出力し、加工したものを使用しています。

星の情報検索

星に関する情報は、このコラムのほか、次のホームページにアクセスしてみるといいでしょう。国立天文台では、広報普及室をもうけ、広く情報を公開しています。
また、田中千秋のホームページでは、WEB天体写真展の内容を更新しました。ぜひアクセスしてみてください。

国立天文台広報普及室(URL http://www.nao.ac.jp/pio/
田中千秋のホームページ(URL http://www.lcv.ne.jp/~kasugahi/tanaka/

2003年12月1日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。