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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第16回 しし座流星群を見る

しし座流星群とは?

しし座流星群の大出現は、2001年11月19に日本各地で見られました。そのときはピーク時に1時間あたり数千個に及ぶ流星が流れ、流星雨とか流星嵐といった名称で表現されました。
このときの大出現は記憶に残っている方も多いことと思いますが、しし座流星群というのは、実は毎年見ることができるのです。いつ見られるかというと、毎年11月17日前後。今年も11月17日の夕方頃をピークに18日の明け方ころまで見られます。おおむね1時間に30個前後の数が流れるのではないかと予想されています。幸いにも月齢が約5で、深夜に月は西の空から沈んで光害とはならず、星空を見るのに適した夜になります。
そうした良い条件ですから、ぜひ、ご自宅のベランダや近くの公園などで流星観察会などを開かれたらいかがでしょうか?
しし座流星群は、テンペル・タットル彗星がその母体で、流星は、彗星軌道上のゴミというかチリなどに地球がぶつかるために発生するといわれています。地球は1年で太陽の周りを一周する公転を行なっていますので、毎年11月17日前後にこの彗星の通り道(軌道上)を通過するのです。
宇宙空間のチリなどの物質は、空間に均等にあるのではなく、彗星がばらまいていった彗星軌道上がもっとも多く、そうでない空間はさほど存在していません。
彗星軌道上にまき散らかされたチリ状の物質が密度濃く存在していれば、地球と遭遇したときにたくさんの流れ星へと変身し、美しく輝いて流れてくれるわけです。
地球の重力により引き込まれたこれらチリ状の物質は、地上から約100キロメートルの地点で空気との摩擦により高温となり、プラズマ現象により発光するといわれています。

流星を見る

流星は、音もなく夜空をスーと流れます。ほんの一瞬であり、1秒以下の短い時間しか発光しませんが、明るい流星は、時として1〜数秒間、ゆっくり見られることもあります。 また、明るいものでは、地上に影を落とすほど明るくなるものもあって、見る人々を楽しませてくれます。
流星は他の天体とちがい、自分の目でそのまま夜空を見ます。つまり、天体望遠鏡などの道具はいっさい不要で、安上がりの天体観望ともいえます。
流れている間に願い事を3度唱えると願いが叶うなどと昔から言い伝えられていて、迷信とわかっていても、つい唱えてみたりして楽しむことができます。
流れ星の数を数えるのも楽しいものです。1時間で何個見たのか、多かったら翌日の自慢の話題として友人とおしゃべりできるかもしれません。
明るい流星は、色もわかります。オレンジ色だったり、緑色に見えたりといったこともあり、色が見られたらさらに感動ものになるかもしれません。
空のどの方角に見えるのかということも事前に理解しておく必要があります。夕方は、まだしし座を見ることができませんが、なるべく東の空を見ることとしましょう。
夜半を過ぎてからは、東の空からしし座が昇ってきますので、続けて東の方角を見ているのがいいでしょう。
見るときは防寒対策も必要です。寒くない服装をして、イスなどに腰かけて観察しましょう。晴れていれば、流星は必ず見ることができますので、あきらめずに空に眼を向けていましょう。
ペガスス座
魚眼レンズでとらえたしし座流星群

11月の星空

11月の星空

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この星図は、(株)アスキー、(株)アストロアーツの許諾を受け、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータVer.5」から出力し、加工したものを使用しています

2004年11月1日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。