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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第21回 星空と惑星

夜空に星は、いくつくらい見られるでしょうか?
肉眼で見られる星の数は、全天で6000個くらい(6等星まで見えたとき)あります。夜空は一度に全周を見ることはできず、半球分しか見えませんので、概ね3000個くらいは一度に見られることになります。
しかし、つくばの空では残念ながら光害(ひかりがい)の影響があり、6等星まで見ることはできませんので、おおよそ1000個弱くらいが実際に見ることができる数でしょうか?検証したわけではありませんので、少々の誤差はお許しください。
夜空に見られる星々のほとんどが恒星と呼ばれる太陽と同様に自ら光を放っている星ですが、そのほかに惑星や人工衛星、流れ星、彗星なども見ることができます。
今月は惑星について、いつ頃、どの位置に見られるのか。また、天体望遠鏡ではどのように見られるのかなどを解説します。

惑星集合

惑星集合
水星、金星、火星、木星、土星が夕方の西空に集合した様子です。
(2002年5月2日龍ケ崎市竜の子山から撮影)

惑星は、私たちの住む地球も含めて太陽の周りを公転しています。惑星同士の位置関係によって、地球からはいつでも見られるわけではなく、それぞれの惑星によって見頃となる時期があるのです。
下表に掲げていますように今月から木星が見頃となってきます。肉眼でまず見つける必要がありますが、そのためには星座早見や星図をたよりにして、目的の惑星のある星座を先にみつけることとしましょう。木星の場合ですと、今、おとめ座にありますので、春の星座の中からおとめ座をみつけ、その星の配列から木星をみつけましょう。
惑星と恒星を見分けるには、星のまたたき具合による判別方法があります。恒星は地球大気の流れによってチカチカ(きらきら)とまたたいて見えることが多いのですが、惑星はさほどまたたきません。春の安定した大気の夜空ではまったくまたたかないことの方が多いといえます。
木星の場合は、明るさも−2等級と明るく、おとめ座の星々よりも歴然とした差を持った明るさで光っていますので、必ずみつけることができます。

次に天体望遠鏡では木星はどのように見られるのかといいますと、つくば植物園やつくばエキスポセンターなどの観望会に用いられる本格的な天体望遠鏡を使った観測では、木星本体に縞模様が何本も見られます。また、木星の周囲には衛星(木星の月)が見られます。ガリレオ・ガリレイの発見といわれる4個の衛星(イオ、エウロパ、ガニメデそれにカリストと命名されています)は確実に見えますので、木星本体だけでなく、周辺にも眼を向けてください。天体観望会の機会をのがさずに事前申し込みの上、出かけられるといいでしょう。(観望会の照会連絡先は、バックナンバー?4=2003年11月を参照してください)
木星の姿は、小型の天体望遠鏡でもよほど粗悪な品物でない限り、縞模様2本と衛星4個を見ることができますので、天体望遠鏡をお持ちの方はぜひご自宅でも覗いてみてください。

木星の写真
木星

木星の縞模様はこの写真のように小型天体望遠鏡でも2本見られます。大気のゆらぎが少ない夜ではさらに詳細な模様を見ることができます。

では、他の惑星はいつ、どこに見られるのでしょうか。土星は、先月お知らせしましたようにふたご座にあります。夕方の西空の中に見ることができ、3〜4月が観測の絶好機ですが、5月いっぱいまで、夕方の西空に見ることができます。
火星は、今年の10月に2年2か月ぶりに地球に接近しますので、10月から11月にかけて見頃となります。
金星は、6月から宵の明星として、夕方の西空に一番星として輝きます。その後、今年はずっと宵の明星として輝いて見られますが、天の高い位置にはなく西空の低空でしか見られませんので、西空が見晴らしの良いところで探してみてください。
水星は、太陽に最も近いところを公転している惑星で、地球からはいつも太陽の付近にしか見られず、朝または夕方のわずかな時間だけしか観測できません。今年は、見られるチャンスが最も高いのは8月24日前後の明け方の東天です。天文年鑑などの予報に基づいてみつけましょう。
下表に惑星の見られる位置(方角)や時期などをまとめてみましたが、解説の順序と異なり、太陽に近い惑星から順番に説明していますので、ご了解ください。

それぞれの惑星はいつ頃見られるか?

惑星名 観測に適する時期 位 置 見え方など
水 星 8月24日前後
他に11月初めの西空、12月上旬の東空
8月24日は、明け方の東の空 太陽に近い位置にあり、明け方又は夕方にしか見ることができない。
金 星 6月〜12月 6〜9月は西空
10月〜12月は南西の空
今年は宵の明星として夕空の中に見られる。他の星よりも明るく輝いて見えるので見つけやすい。
火 星 10月、11月 おひつじ座 2年2か月ごとに地球に接近し、今年は10月30日に最接近する。望遠鏡で表面模様も見える。
木 星 4月〜7月 おとめ座 太陽系で最も大きな惑星なので、火星よりも遠くにあるのに天体望遠鏡では大きく見える。
土 星 2月〜5月 ふたご座 木星よりも遠くにあるが、環のある姿は独特で、天体望遠鏡で見る星の中で最も印象的。

天文現象や天文データがわかる便利な手帳

昨年4月のコラムで天文に関する年鑑などの紹介をしましたが、そのほかに手帳タイプの年鑑で、メモ書きも可能な手帳として、「天文手帳2005」(株式会社地人書館発行、定価840円)があります。必要な方はもよりの書店でお求めください。

4月の星空

4月の星空

クリックすると、星図が変わります。

この星図は、(株)アスキー、(株)アストロアーツの許諾を受け、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータVer.5」から出力し、加工したものを使用しています

2005年4月4日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。