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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第22回 二重星を見る

星座の名前には、動物名や道具の名称などがつけられていて全天では88個あります。
天体観測などでは、空を区画で分けてそれぞれの星座の範囲を領域として区分して用いていますが、私たちが親しむ星座というのは、星と星を線で結んで動物のかたちや道具などのかたちを想像するいわゆる星座線のことですね。この方が星座を夜空でみつけやすく、また一般的ともいえますね。
ところで、夜空の星を見つめていると、大気のゆらぎによってチカチカと輝きますし、よくよく見ると星によってその色の違いがあることもわかってきます。さらに、その星を天体望遠鏡などで拡大してみるとふたつに見えるものがあって、こうした星を二重星と呼んでいます。星々の中には案外二重星は多く、天体望遠鏡を使えば数多くみつけることができます。

北斗七星
↑ひしゃくの柄の二つ目のミザールのそばにもう一つ星(アルコル)があることがこの写真からもわかります。

このミザールとアルコルのような二重星を肉眼二重星といいますが、天体望遠鏡でこのミザールに倍率を100倍程度かけて見てみますとさらにミザールのすぐそばにもう一つ、星をみつけることができます。望遠鏡で見ることができる二重星で、一般的にはこうした望遠鏡で見える二重星のことを二重星と呼んでいます。ミザールとアルコルのような肉眼二重星は例外といえます。

天体望遠鏡で二重星を見る

天体望遠鏡を使って見られる二重星は数多くありますが、その中でもっとも見やすい代表的な二重星を表にまとめましたので、天体望遠鏡をお持ちの方はチャレンジしてみてください。また、天体観望会に参加された場合に講師の方に何々座の何星は二重星なので、それを見せてほしいとリクエストしてみてはいかがでしょうか。
二重星の星には、二つの接近した星どうしの色の対比が美しいものや、明るさの違いが大きいもの、接近し合っていて二つに分解して見えにくいものなどいろいろと個性がありますので、そういった星々の比較を覚えると良いでしょう。

星座名 星の記号 星どうしの
分離角度
特徴など
りょうけん α 19.4″
(秒)
明るさは2.9等星と5.5等星。分離角度が大きくみつけやすいが星座をみつけるのが大変?
うしかい ε 2.8″ 2.5等星と4.9等星で、お互いの分離角度が狭いため接近しあって見える。
こと ε1 2.7″ ε1とε2のふたつに分離した星どうしがまたそれぞれ二重星になっていてダブルダブルスターと呼ばれている。
ε2 2.4″
はくちょう β 34.4″ 白鳥のくちばしにあたる部分にあり、アルビレオと呼ばれている。色の対比が美しい。
アンドロメダ γ 9.8″ 2.3等星と4.8等星で見やすい二重星の代表格。これが二つに分解できない望遠鏡は落第。
おひつじ γ 7.8″ 両星とも4.8等星なので、二つの星が並んで見える。秋にはこの星にチャレンジ!
オリオン β 9.5″ オリオンの左足の位置に当たる0.1等星のリゲルに寄り添うように6.8等星が見られる。

5月の星空

5月の星空

クリックすると、星図が変わります。

この星図は、(株)アスキー、(株)アストロアーツの許諾を受け、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータVer.5」から出力し、加工したものを使用しています

5月の夜空は、星図で示してありますように、春の星座で埋め尽くされています。
ついこの間まで、冬の王者オリオン座が見えていたように記憶していますが、いつの間にか春の星座に様変わりといった感じです。
春の星座の代表格はしし座です。天頂高く見上げるようにしてライオンの姿をみつけてください。そのライオンのしっぽの星デネボラ(2等星)と、うしかい座の1等星アルクトウルス、それにおとめ座の1等星スピカを結ぶと正三角形ができますが、これが春の大三角です。
次に南の空を見ますと、空を海に見たてて大きなうみへびがゆったり泳いでいるような姿が感じられるうみへび座があります。とても長い星座ですから頭の方からみつけてくねくねと曲がったその胴体を発見してください。その尾に乗っかるようにコップ座とカラス座があります。コップ座はちょっとむずかしいかもしれませんが、カラス座の四角形は一度みつけると忘れられない独特の星の配列といえます。
北の空ではおおぐま座とこぐま座(北斗七星と北極星)の位置関係を星座早見を利用して確かめるといいでしょう。
春の夜空は水蒸気が多いため、あまり低空の方は星が見られないことが多いのですが、寒さもそうたいしたことはありませんからチェアーベッドなどに寝ころんで天頂まで見上げて星座をさがすといいでしょう。
天体望遠鏡では木星がもっとも見頃をむかえていますので、天体望遠鏡をお持ちの方はぜひ、木星に向けてみてください。バードウオッチング用のスポッティングスコープでも4大衛星ははっきり確認できますよ。

天体写真展のご案内

私の所属する関東天文協会では、4月30日から5月28日までの約1か月間、群馬県下仁田町にある神津牧場内レストランで天体写真展をおこなっています。
星座や星雲・星団など24作品を展示していますので、群馬方面にドライブ等でお出かけの際は、ぜひお立ち寄りいただきたいと思います。よろしくお願いします。

2005年5月2日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。

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