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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第31回 星空の中に惑星をみつける

関東地方では冬空がもっとも快晴率が高く、また、空気の透明度も高いので、星空を見ることができる確率が高くなります。さらに冬の星座には1等星も多く、偏西風によってチカチカとまたたく星の輝きは、本当にきれいだなあと感じます。
その星空の中に、今月はふたつの惑星が輝き、さらににぎやかさが増しています。
しかも、下の星図を見ていただきますとわかりますが、東南の空に火星が、おうし座のすばる(プレヤデス星団)の近くで輝いています。また、南東の空には土星が、かに座のプレセペ星団のすぐそばで輝いているのです。
真南の上空にはおおいぬ座のシリウスやオリオン座のベテルギウス及びリゲルが明るく輝いて、その左右といいましょうか、両側にだいぶ離れて火星と土星が輝いて見えるのです。
しかも、火星、土星とも星座の星々にくらべて、星のまたたきが少なく、一種独特の輝き方を見せているのです。これは本物の星空で、恒星の輝きと惑星の輝きをじっくり観察することによってわかってくる不思議な現象なのです。
ぜひ、寒空ではありますが、屋外で確かめていただきたいと思います。

オリオン星雲を見てみたい!

冬の星雲の代表格であるオリオン大星雲は、天体写真でその姿を見かけたことがあることと思います。右に示す写真がその星雲の姿ですが、この星雲は、大きな天体望遠鏡を使わなくても見ることができます。
肉眼ではさすがに三つ星の下にある小三つ星としてしか見ることができませんが、双眼鏡で見ればこの写真のような鳥あるいは蝶のような姿として小さいながらも見ることができます。写真では、ピンク色に輝く星雲の姿が写っていますが、さすがにその色までは確認できません。
また、光害(ひかりがい)の多いところでは見にくいかもしれませんが、郊外などに出かけた折りには、ぜひ確かめることをお薦めします。
双眼鏡は、倍率が7〜10倍程度で口径(対物レンズの直径)は40〜50ミリくらいあるものが望ましく、口径が20ミリ程度の小さいものは適しません。
オリオン大星雲の写真
オリオン大星雲

星図の使い方

先月のコラムから下に掲げる星図の画像解像力を上げましたので、星図上にカーソルをおき、クリックすると星図が拡大されるようになりました。こうすれば星座の位置やその形が確認しやすく、さらに、A4横で印刷すれば紙の星図ができます。
紙の星図ですと簡単に野外に持ち出すことができますので、実際の夜空の下で星図をかざして本物の星空と照らし合わせて星座を確認できます。
こうすることによって、次々と本物の星座をみつけることができることでしょう。
ぜひ、お試しください。

2月の星座案内図

2月の星図(白地) 2月の星図(黒地)
それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。

この星図は、株式会社アストロアーツの天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータVer.7」から出力し、加工したものを使用しています。

2006年2月6日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。