第32回 菜の花畑におぼろ月夜
四季をとおして星空を眺めていると、多くの星座や惑星の移動、流れ星など見ることができますが、同時に気象条件のちがいもわかってきます。
先月も述べましたように関東地方では、冬の空がもっとも快晴率が高く空気の透明度も高いので、冬型の気圧配置のときは、すっきりした澄んだ星空を見ることができます。
これが春の星空になってくるとお天気もゆるんでくると申しましょうか、はっきりしない天候の日が多くなります。星も少しうるんだように見え、月はおぼろ月夜といってベールをかぶったような霞んだ月の姿を見ることが多くなります。
これは、空気中に水蒸気が多くなるためなのです。しかし、春でも大きな高気圧が張り出してくるときは全天快晴の星空となることもありますので、晴れた夜はチャンスをのがさずに月や星を眺めてみましょう。
早起きして明けの明星を見てみよう!
3月に見頃をむかえる天体としては、明けの明星(あけのみょうじょう)があります。金星のことですが、夕空に見られるときは宵の明星(よいのみょうじょう)、そして明け方に見られるときは明けの明星と呼ばれます。
昨年は宵の明星、一昨年は右の写真のように明けの明星として見られました。
早起きしたときに、ぜひ東の方角を眺めてみてください。金星の輝きは、星座をかたちづくる恒星に比べて格段に明るく、月の輝きには負けますが、他の星と比べますと格段に明るくて空がしらみはじめても、金星だけはまだ明るく輝いて、しばらく見ることができます。
下に見出し用の星図を用意しました。この星図をたよりに、方角と星座の位置関係から金星をみつけましょう。金星付近の星座を見ると夏の星座のさそり座なども併せてみつかるかもしれませんよ。
|

明け方の月、木星、金星(上から順に)
※クリックすると拡大します |
明け方の星空(金星をみつけよう)

クリックすると、大きい星図に変わります。
3月の星空
3月になりますと冬の星座たちが西空に傾き、東の空から春の星座が昇ってきます。
先月もお知らせしましたように、かに座には土星が輝いています。惑星の通り道の星座を黄道(こうどう)といいますが、冬の星座のふたご座の次に東から登場するのがかに座、その次がしし座、さらにおとめ座と続いていきます。おとめ座には木星が輝いています。
星座を見つけるとき、下の星図を参考にして、惑星と恒星(星座をかたちづくる星)を見分け、星座の線を本物の星空の中で想定してみてください。
毎月掲げるこの星図では、星座の中を移動する惑星の位置を記入しています。市販の星図や星座早見では恒星しか描かれていませんので惑星があると星座さがしのときにちょっと不便です。ぜひ、毎月、このコラムをご覧いただき、下の星図をプリントアウトしてご利用ください。
3月の星座案内図
|
 |
それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。 |
|
この星図は、株式会社アストロアーツの天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータVer.7」から出力し、加工したものを使用しています。
|
星空のシミュレーション
数人の方からお問い合わせで、このコラムで使用している星図のシミュレーションは市販されているのかとの質問がありました。
このソフトは書店、パソコンショップや天体望遠鏡ショップで販売されている「ステラナビゲータVer.7」という天文シミュレーションソフトウエアで、開発は(株)アストロアーツ、販売代理店は(株)アスキーソリューションズです。価格は公式ガイドブック付きで19,950円となっています。
このソフトのシミュレーションは多彩で、現在だけでなく、過去や未来の星空をはじめ、南半球まで旅したような南天の星空もシミュレーションをすることもできます。
プリントアウトもできますので野外での活用もしやすく、星見にはなくてはならないソフトといえます。
2006年3月6日
|