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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第34回 日食観測

天体観測の楽しみの中には日常的なもの以外に天文現象といって流星群や彗星の接近、日食や月食などの様子を観測する楽しみがあり、天文に興味を持つ人以外でもこうしたときは、にわか天文ファンに早変わりして楽しむことができます。
そうした天文現象のひとつ、皆既日食が3月29日にアフリカ北部からロシア方面にかけて見られました。
私は日食ファンでもあり、今回は7回目の遠征観測でしたが、トルコ共和国まで出かけて観測してきました。
結果は写真にあるとおり、快晴の中、見事なダイヤモンドリングとコロナの姿を見ることができました。本物を見るというのは写真とは大違いで、地球上から見られる自然現象の風景として、それ以外のどのような景観や景色よりも美しく奇跡的でもあります。事実、私に大きな感動を与えてくれました。

ダイヤモンドリング
ダイヤモンドリング

皆既食
皆既食:長く伸びたコロナが見られました

こうした日食は、世界のどこかで毎年のように起こっているのですが、観測条件の良い、すなわち大洋でなく、大陸などでの観測を考えますと、だいたい2〜3年に1回程度チャンスがやってきます。次回の皆既日食のチャンスは、中国大陸から日本の奄美地方にかけて、2009年7月22日に見られる予定です。ちょうど夏休みにも入りますし、多くの日食見物者が観測旅行に出かけるのではないかと期待されます。

シュワスマン・ワハマン彗星の接近

5月に見頃となる彗星があります。シュワスマン・ワハマン第3彗星という彗星で、5.4年の公転周期をもつ彗星です。この彗星が11年前に太陽に接近した最、分裂してバーストを起こし5個の彗星に分かれてしまいました。このとき、彗星は通常の200倍以上という明るさとなって天文学者を注目させ、分裂した各彗星をA核、B核、C核、D核及びE核と呼びました。今回は、それらの彗星核のうち、本体にあたるC核を中心にB核なども望遠鏡などを使って観測できます。
最接近は5月13日ですが、その前のゴールデンウイーク頃には明るく見え、C核は最接近時の頃には3.5等級、B核も5.5等級くらいになると期待されています。

シュワスマン・ワハマン彗星
シュワスマン・ワハマン第3彗星C核(本体)の写真
撮影:上林義雄氏、2006年4月8日撮影

実際に見られる空の方向と時刻ですが、5月6日では、深夜の午前1時ころ真東の高度角60度くらいのところ。最接近の5月13日では午前2時ころに真東の高度角40度くらい。5月21日では午前2時ころ真東の高度角15度くらいの位置に見られます。
なるべく光害(ひかりがい)の少ないところに出かけて見るのがいいのですが、肉眼でみつけにくい時は口径50ミリ、倍率7倍(7×50)程度の双眼鏡を使用するといいでしょう。
彗星は、輝く星とちがって、ボーと淡く光るものですから、そうしたものだということを念頭に置いてさがすようにします。また、5月13日は月が満月となり空が明るいので、この前後数日間は、ちょっと見づらいかもしれません。
ぜひ、ご自分の目で確かめてみてください。なお、詳しい予報は5月6日頃発売される月間天文雑誌6月号(天文雑誌名=星ナビ、天文ガイド、月間天文)をご参照ください。

5月の星空

5月の星空は、春の星座のオンパレードですが、どんよりした水蒸気の多い日は、低空の星空は良く見えません。高気圧が張り出してくるときが見頃ですので、ぜひ、星図をたよりに本物の星空で星座さがしにチャレンジしてみてください。
北斗七星から春の大曲線をたよりに1等星のうしかい座アルクトウールス、おとめ座スピカと星をたどっていきましょう。下に掲げる「春の大曲線」の星図を参照していただき、本物の星空での中でじっさいに確かめましょう。
星座は、最初のひとつあるいはふたつめをみつけるのが大変ですが、2個くらいわかるようになるとその次には、段々とみつかるようになってきますので、根気よくさがしてみましょう。明るい星が目印となりますので、星図との対比も重要です。
惑星は先月述べたとおり、木星が観測シーズンを迎えています。天体望遠鏡をお持ちの方は、6月の梅雨に入る前にぜひ眺めておきましょう。 。

5月の星座案内図

5月の星図(白地)
白地星図
5月の星図(黒地)
黒地星図
5月の星図(春の大曲線入り)
春の大曲線入りの星図
それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。印刷される場合は、A4用紙を横にしてください。

この星図は、株式会社アストロアーツの天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータVer.7」から出力し、加工したものを使用しています。

天文入門者向け「はじめてのスター★ウオッチング天体観察入門」発売

4月6日に発売になりましたムック誌「はじめてのスター★ウオッチング天体観察入門」(定価本体1,780円+税、浅田英夫&アストロアーツ著、アスキー出版局)は、月間天文雑誌「星ナビ」を編集している?アストロアーツが編集した入門書で、今までになかったわかりやすい大人の入門書といえましょう。私も56ページに関東天文協会メンバーとして、登場しています。ぜひ、お買いあげになってご覧いただきたいと思います。

2006年5月1日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。

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