つくばのこと、もっとわかれば もっとたのしい! 茨城県つくば市のケーブルテレビ局ACCSによる地域情報サイト
ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第35回 6月の星空

6月は梅雨の季節で、星空を見られない日も多いのですが、上旬は比較的好天の日も多く、湿度は高いものの星空を仰ぎ見ることができます。また、梅雨の中休みなどで晴れる日もありますので梅雨だからといってあきらめず、星空をながめるチャンスをみつけましょう。

6月の夕空では春の星座、そして夜半過ぎには夏の星座が見られます。
この時期、春の星座の中で一番目立つ一等星はうしかい座のアルクトゥールスです。麦星などと昔の日本では呼ばれていましたが、麦の穂が伸びて麦秋のころに目立つ星ということから名付けられたのでしょう。
アルクトゥールスは頭上高くオレンジ色の輝きで、白っぽくしか見えない恒星が多い中にあって明るく、色も明快なので目立ちます。
先月のコラムでご案内した春の大曲線を北斗七星からたどっていき、みつけたアルクトゥールスとおとめ座のスピカにしし座のしっぽの先の2等星デネボラを加えてできる三角形は春の大三角と呼ばれています。三角形は、冬、春、夏にあり、秋だけが四辺形。読者の方々は、今年中にぜひ、本物の空で季節ごとの大三角とひとつの四辺形を覚えていただきたいと思います。もちろん、私の方では各季節ごとに解説していきますので、よろしくお願いします。

うしかい座
うしかい座

6月の星座案内図

6月の星図(白地)
白地星図
6月の星図(黒地)
黒地星図
春の大三角
春の大三角入りの星図
それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。印刷される場合は、A4用紙を横にしてください。

この星図は、株式会社アストロアーツの天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータVer.7」から出力し、加工したものを使用しています。

梅雨時期の楽しみ

梅雨時期には星見のチャンスは減りますが、プラネタリウムに行くことや読書といった室内での楽しみは、天候に左右されることなく自分の予定どおりにおこなうことができます。
プラネタリウムは、4月のコラムでもとりあげたつくばエキスポセンターのプラネタリウムが、最先端の技術を駆使して投影する、もっとも進んだプラネタリウムとなっています。ぜひ、この機会に鑑賞しましょう。
星に関する読書ですが、つくば市内でも大きな書店では天文雑誌や天文書も数多く販売されていますので、ぜひ、気に入った本をみつけて購入をお薦めします。また、図書館にも多くの天文書の蔵書があります。
ここで、ひとつ、私の推薦書。「テレビでかんたんにプラネタリウムが楽しめる星座入門」(アスキームック、アストロアーツ発行、定価1,980円)。この本には、DVDが付属しており、DVDが見られるテレビやパソコンで全天の星座を画像で見ることができます。本には星座物語や星座の起源などが解説された入門書となっています。ヴィジュアルに星座を覚えられるこの入門書で、あなたも星座の通になれることでしょう。

夏にそなえて手作りの星座早見盤を作る

梅雨の時期は星と接する機会が少ないだけに、夏の星見シーズンに向けて星座早見盤をつくっておきましょう。
毎月の星空は、星図でみなさんにお知らせしていますが、いつでもどこでもシミュレーションができる便利な星座早見を手作りしましょう。
作り方は簡単。下に示す星座早見盤の原板画像(2枚)をご自分のパソコンに保存していただき、それをA4用紙にプリントアウトして、切り抜き組み立てるだけで簡単に作ることができます。

星座早見盤

星座早見盤

↑星座早見盤はPDFファイルです。クリックしてA4用紙に印刷してください。
閲覧には Adobe Readerが必要です。ダウンロードサイト→ AdobeReader

今まで既に牛久自然観察の森で、こども星見隊(小学4〜6年生対象)を開催し、何度も子供たちにじっさいに作ってもらった実績のある星座早見ですから、大人はもちろんのこと親御さんがアドバイスすれば小学校低学年のお子さんでもつくることができます。
使い方は、夜空を見る日の日にちと時刻の目盛りを合わせるだけ、あとは本物の星空にかざして方位(東西南北)を合わせ、夜空を見上げれば星座をみつけることができます。
なお、昼間でも、雨の日でも、星見をするときの日にちと時刻に合わせるだけでシミュレーションができ、見られる星座がどのあたりにあるのかがわかります。今の内に作っておき、夏休みの郊外などへのお出かけの日程には、何時頃どの方角に何座が見られるか、確認しておくことができます。
ぜひ、つくってみてください。

2006年6月5日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。