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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第37回 天の川は星の雲?それとも・・・

8月は夏休みなどで、読者の方々もアウトドアーのチャンスが多くなり、星を見る機会にも恵まれるのではないかと思います。特に、海や山へキャンプなどに出かけると、満天に輝く星空にめぐり会い、大きな感動が得られるかもしれません。
夏の星空の特徴は、天の川(あまのがわ)が濃く見えること。星空の中に雲のような白く輝く帯状の天の川の姿が見られ、星空の美しさをより一層引き立ててくれます。
西洋ではミルキーウェーと呼ばれていますが、中国や日本では、「天の川」の名前が示すとおり、天(てん)にある川の流れと見立てたのでしょう。

では、天の川は何でできているのでしょうか?
星空に浮かぶ雲のように見えるから宇宙にただよう雲、つまり星雲なの?といった疑問もわいてきます。しかし、あの雲のように見える輝きは、実は無数にある星々で成り立っています。もちろん、その中には星雲もありますが、そのほとんどが輝く星、すなわち太陽と同様の恒星なのです。天の川の星の大集団を銀河系と呼んでいて、私たちの太陽系もこれに含まれています。この銀河系には、およそ2000億個の星が存在し、渦巻く円盤状の形態をしていて、その円盤の直径は10万光年もあるといわれています。

夏の天の川
天の川(↑クリックすると拡大します。)

天の川が雲でなく、確かに星の集団だという証拠は、天体望遠鏡で天の川を観測するとわかります。じっさいに天体望遠鏡で天の川を見ると無数の星がきらきら輝く様子を観測することができるのです。しかも、星の密度の濃いところや薄いところがあったりしますし、散光星雲や散開星団があったりして、じつに変化に富んでいるのです。
夏の夜に双眼鏡や天体望遠鏡でじっくり星空を観察するのも楽しいひとときになることでしょう。

夏の星座案内

8月の空では午後9時頃になると天の川を頭上高く仰ぎ見ることができます。先月のコラムで写真をお見せしました「夏の大三角」をかたちづくる、こと座のベガ、わし座のアルタイルそしてはくちょう座のデネブが、はっきりと確認できることでしょう。
夏の大三角はみつけられるようになったけれど、そのほかの夏の星座がちょっとわからないという方も多いのではないでしょうか。そうした方には南天のさそり座といて座をまずみつけるのがいいでしょう。

南の空に赤く輝くさそり座の1等星からみつけていくのが、もっとも近道です。宮沢賢治の「ほしめぐりの歌」では赤い目玉のさそりとしてこのアンタレスが表現されていますが、星座絵ではさそりの胸に相当する部分にあります。アンタレスから大きなS字カーブを描くようにさそり座の姿は見えますが、そのさそりの姿がわかったら、その東側(向かって左側)にいて座をみつけることができます。
いて座の姿は半身半馬のケンタウロスが描かれていますが、私たちがその星をみつけるときは、その一部の南斗六星をまずみつけ、その星からほかの星をたどっていき、ケンタウロスの姿をはあくするといいでしょう。
次にへびつかい座とへび座をみつけましょう。星図をたよりにさそり座の上部にありますので、やはり明るい星をたどってみつけることとしますが、たいへん大きな星座で、まばらに星がある領域と思っていたところに星座の線を星から星へたどっていくと、規則的に配置されたへびつかい及びへびの姿が存在していることを発見できます。うまくみつけられたときは小躍りするほど感動すること請け合いです。

へびつかい座がみつけられれば、あなたはもう一人前、夏の大三角からステップアップして、星座探しの達人に近づいたことになります。それ以外の星座も次々とみつけられるようになることでしょう。晴れた夜に達人をめざしてチャレンジしてみましょう。

8月の星座案内図

星図(白地)
白地星図
星図(黒地)
黒地星図
それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。印刷される場合は、A4用紙を横にしてください。

この星図は、株式会社アストロアーツの天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータVer.7」から出力し、加工したものを使用しています。

星まつりに出かけよう

星まつりの様子(クリックすると拡大します。 )

先月のコラムでは、茨城県常陸大宮市の花立山星まつりのご案内をしましたが、8月に催される星まつりをここではご案内します。

まず、8月最初にむかえる週末には、八ヶ岳山麓の長野県原村で「サマーホリデーin原村星まつり」が開催されます。期間は、8月5日(金)の午後から8月7日(日)の朝まで行なわれ、会場は原村の標高が約1300メートルに位置する八ヶ岳自然文化園です。ここでは私も「田中千秋の天文コーナー」を開設するほか、日食写真撮影テクニックの講演も行なう予定で、天文ファンはじめ、避暑客などお祭り期間内には延べ10000人近い方々が訪れる大きな星まつりです。

次に8月19日(土)及び20(日)の2夜には、御殿場市主催で富士山観望会が行なわれます。富士山御殿場口駐車場(通称:太郎坊駐車場)で夏に見られる天体を天体望遠鏡で観望することができます。協賛メーカーや望遠鏡ショップ、あるいは地元の天文同好会の方々が天体望遠鏡持参で見せてくれます。また、私の星座案内や歌手(アクアマリン)のコンサートも予定されています。ドライブがてら、お立ち寄りいただくといいかと思います。


さらに、8月の最終週末、8月25日(金)から27日(日)までは新潟県の胎内市(旧黒川村)で胎内星まつりが行なわれます。会場となる胎内平には胎内自然天文館もあり、天体望遠鏡が備え付けられていますし、多くの模擬店やイベントが予定されていてオークションなども開催され、楽しいお祭りとなることが予想されます。
どのイベントも入場無料となっています。まだ、夏のお出かけの計画が決まっていない方は、付近のペンションやホテルを予約され、参加されますようお勧めします。

夏期に行なわれる星まつり一覧

日 程 名称/会場 主 催 問い合わせ先
8月4日(金)〜
6日(日)朝まで
'06第13回サマーホリデーin原村星まつり/八ヶ岳自然文化園(長野県原村) 原村星まつり実行委員会 原村星まつり実行委員会
電話 0266−74−2681
8月19日(土)〜
20日(日)24時
富士山スターウオッチング/富士山御殿場口第2駐車場 主催:御殿場市
主管:富士山スターウオッチング実行委員会
御殿場市商工観光課
電話 0550−82−4622
8月25日(金)〜
27日(日)昼
胎内星まつり/新潟県胎内市胎内平 胎内市・胎内川観光協会 胎内市商工観光課
電話 0254−47−3401

2006年8月2日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。