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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第47回 雨の日はパソコンでプラネタリウム

パソコンで星を楽しむ

6月ともなると梅雨の時期で星はめったに見られなくなります。特に中旬以降はほとんど雨か曇りで星空はめったに望めないのが通年の状況です。
こうした晴れが望めない時期は、星空の疑似空間を楽しみませんか?
雨のときにはプラネタリウムに出かけるといった楽しみ方がありますが、プラネタリウムの話題は、第11回及び第33回で取り上げましたので、バックナンバーでご参照いただき、今回は、パソコンの中で星空を楽しむ方法をお伝えします。
YAHOOなどの検索エンジンで検索しますと、フリーソフトなども入手できますので、簡単に星空のイメージを楽しむことができますが、私は、市販ソフトのステラナビゲータを愛用しています。

おとめ座

この画像は、天文シミュレーションソフト『ステラナビゲータ8』から画像を保存し、春の大三角の線と文字を加工して加えたものです。ソフトの操作では、星空の中に星座を線で結んだり、星座絵を重ねたり、さらに個々の星の名前も表現できたりと簡単な操作でいろんな表現が可能です。

このステラナビゲータは、(株)アストロアーツから発売されていて、現在の最新版はVer.8となっています。パソコンショップのソフト売り場ではあまり見かけませんが、天体望遠鏡ショップや月刊天文情報誌「星ナビ」の誌上ショップ(通信販売)などで買うことができます。価格は公式ガイドブック付き特価15,960円、ソフト本体特価12,600円となっています。

このソフトでは、その日の星空だけでなく、過去の星空やこれから先の星空も見られますので、夏休みに予定するキャンプでの星空のシミュレーションもできますし、星座ウオッチングをする場所も世界中から選べますので、たとえば南極での星空のシミュレーションなどもできるのです。
また、日食や月食といった天文現象の過去、未来のシミュレーションといったこともできますし、プリントアウトをしたり画像の保存も可能なのです。
私は観測に出かける前にこのソフトで星空のシミュレーションを必ずおこなってから出かけることにしています。また、このコラムを書く上でも重宝しています。もちろん著作権がありますから、コラムやその他の執筆に使用するときは了解をとり、出典元も明記して使用しています。
このソフトのもう一つの特徴が、星座解説をおこなってくれるところです。目的の星座を選んで解説を楽しむことができます。
入門者からベテランまで星空のシミュレーションなどを楽しむことができるこのソフトは、バージョンを重ねて、今では天体望遠鏡とパソコンを接続して天体の自動導入までもこなすことができる高度なソフトに発展をとげています。しかし、操作方法はむしろやさしくなって、だれもが簡単に使えるソフトとして、私も推奨しています。ぜひご利用いただきたいと思います。

月と金星、土星が接近

6月18日の夕空

西の空が開けて見られるところで、ぜひ三日月と一緒に輝く星の競演をご覧ください。

6月18日(月)の夕方、晴れていたら西空を見てみましょう。
この時期は日没が遅く、夜空が暗くなるのは午後8時ころとなりますが、その時刻のころの、ほぼ真西の方向で、高度角20度付近に三日月(月齢3.3)が見られます。そのすぐ左上には煌(きら)めく金星が見られ、さらにその左上の方に土星がやや暗めの輝きで見られます。
翌日19日には土星は昼間に月の後ろに隠される土星食が見られ、夕方に見ると月のすぐそば(右下)に土星の存在をみつけることができます。金星はさらに右下の方に輝いていることでしょう。
先月の5月20日にも月と金星の接近が見られ、写真を撮りましたので、ご覧ください。

5月20日に見られた月と金星の接近風景

5月20日に見られた月と金星の接近(拡大)

5月20日に見られた月と金星の接近は、関東地方は好天に恵まれましたので、実際に見られ、記憶に残っていらっしゃる方も多くいるのではないかと思います。私は龍ケ崎市内で三脚を使用し、デジタル一眼レフカメラを使用して撮影しました。

6月の星座案内

6月になると、夕方の空には春の星座が見られますが、夜半を回った頃には夏の星座が東の空から昇ってきて、夏の天の川を含むにぎやかな星空が登場します。
春の星座では、先月にも登場しました北斗七星が天高く見られ、天上には、うしかい座のアルクトゥールスもオレンジ色の輝きで大変めだちます。
6月は梅雨のせいで特に中旬から下旬にかけては、ほとんど星空を望めないのが実情ですが、そうした中でも雲の隙間から月や明るい星が見られるときがあります。
星座や固有の星を覚えると、雲間からちらっと顔を見せる星空でも、明るい星の存在があれば、それが何座の何という星かわかるようになります。頭上高くオレンジ色に明るく輝くアルクトゥールスは、そうした時にみつけやすい対象といえます。
夜半過ぎの空に見られる夏の星座は、北東の空から比較的早く昇ってくること座のベガがまず目立ちます。また、南の空にはさそり座が姿を見せます。さそり座には1等星アンタレスがあり、その付近で木星が煌々(こうこう)と輝いています。
天の川の存在も含めて、星空を望める可能性は、梅雨が明けるまではむずかしいともいえますが、晴れ間のチャンスをみつけたらチャレンジしてみましょう。

6月の星座案内図

星図(白地)
白地星図
星図(黒地)
黒地星図

※それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。印刷される場合は、A4用紙を横にしてください。

※この星図は、株式会社アストロアーツの天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータVer.7」から出力し、加工したものを使用しています。

天体望遠鏡がほしい(シリーズ第2回)

天体望遠鏡がほしいシリーズは、みなさんがじっさいに天体望遠鏡を買うときに役立つ知識を解説していきます。今月は倍率と口径について述べます。

倍率

天体観望会のときによく尋ねられるのが、「この天体望遠鏡は何倍ですか?」という質問です。この返答には少々、困惑してしまいます。
というのは、天体望遠鏡は接眼レンズ(アイピース)が交換できるようになっていて、アイピースの焦点距離によって決まってくる倍率は、高倍率にするためのアイピースさえ買い求めれば、常識を逸脱したほどの高い倍率にすることができるようになっているのです。しかし、観測する天体の種類によって、むしろ高倍率では良く見えないものがあって、それぞれの天体によって倍率を選択する(アイピースを差し換える)ことが大事なのです。
倍率は対物レンズの焦点距離をアイピースの焦点距離で割った数字で表されます。

たとえば、焦点距離900ミリの対物レンズを持った天体望遠鏡では、18ミリの焦点距離をもったアイピースを利用すると
900÷18 = 50 となり、倍率は50倍となります。
同様に、6ミリのアイピースでは、900÷6=150となり、倍率は150倍です。

ガリレオ・ガリレイの望遠鏡(レプリカ)

イタリアのガリレオ・ガリレイは17世紀に初めて望遠鏡を夜空に向け、天体観測をおこないました。現在、市販されている天体望遠鏡は、このガリレオの望遠鏡よりも光学的にすぐれたものですから、みなさんはガリレオ以上の天体観測をおこなうことができるともいえます。

私が口径10センチクラスの天体望遠鏡で観測するときに用いる倍率はおおよそ下表のとおりです。
対 象 用いる倍率(×=倍率) 備 考
50〜100× 全体を見るのには60×以下
金星、木星、土星 80〜150× 高倍率では像が暗くなる
火星 200× 小さいので高倍率が必要
彗星 30〜60× 淡いので低倍率が見やすい
オリオン星雲など 30〜60× 低倍率の方が明るく見える
球状星団 60〜100× ある程度の倍率は必要
惑星状星雲 80〜120× 小さい対象は高倍率で観測

この表でわかることは、ほぼ100×(倍)以下の倍率でいろんな対象が観測でき、むしろ100×以上の倍率はあまり必要がないことがわかります。やたらと高倍率をうたった広告を出している天体望遠鏡は購買欲をそそることだけが目的で、実際はあまり意味のないことがおわかりいただけると思います。

口径

天体望遠鏡を使う

天体望遠鏡は、夜空の果てにある暗い天体を観ることが多いため、人間の眼では見えない暗い天体まで観ることができますが、これは倍率というよりは、天体望遠鏡の対物レンズの口径の大きさがモノをいいます。
すなわち、大口径ほど暗い星や星雲、星団まで見ることができるのです。
したがって、口径の大きな天体望遠鏡がお薦めなのですが、価格は口径が大きいほど高くなります。
天体望遠鏡は倍率よりも口径を優先するという基本原則をもって望遠鏡を選択されるのが良いかと思います。

集光力は、人間の瞳の面積に対して、天体望遠鏡の対物レンズの面積が何倍あるのか、その倍数が集光力の数値となります。
下表のとおり口径が大きいほど集光力は増し、そのことによって星雲などの見え方に違いがあることを理解しましょう。

口径による集光力の違い

口 径(mm) 集光力(×=倍) オリオン大星雲の見え方
80 131× 存在ははっきりわかる
100 204× ボーとした輝きが見られる
150 459× 羽を広げたような形状がわかる
200 816× 明るく輝き、星雲の濃淡もはっきりわかる
250 1276× 星雲だけでなく、暗い星まではっきりと見える

新しい天体望遠鏡ショップが秋葉原近くに登場!

天体望遠鏡ショップは都会に集中していて、特に都内の秋葉原付近には数件あります。そして、今年の5月18日にはさらに1店舗、新規に望遠鏡ショップが開店されました。
場所は、秋葉原と御徒町のちょうど中間で、つくばエクスプレスやJR秋葉原駅から徒歩約10分のところにあります。
この店の名前は「趣味人=シュミット(東京都台東区上野3-6-10 電話03−5879−6398)」といい、市販の天体望遠鏡を数多く取扱っているほか、写真のデジタル画像撮影機材や処理ソフト、さらに天体望遠鏡のデジタル制御など、デジタルをメインに押し出したショップとなっています。すなわち、昨今の天体観測の最先端を行く店を意識した展開といえます。
秋葉原はこのほか、スターベース(電話03−3255−5535)や共栄産業(電話03−3526−3366)さらに、付近の水道橋駅近くには誠報社(電話03−3234−1033)、東京駅付近にはニュートン(電話03−3275−1255)などがあり、何軒もハシゴして天文談義に花を咲かせたり、カタログ集めをしたりしやすい環境となっています。

天体望遠鏡ショップ(例)

天体望遠鏡ショップは、いずれの店も数多くの天体望遠鏡を取りそろえていますが、双眼鏡や撮影機材なども品揃え豊富で、かつ、天文知識の豊富な店員から最適な望遠鏡を選べるようにアドバイスをしてもらえます。つくばエクスプレスで都内にお出かけの際は、購入予定がなくても知識を仕入れるためにもぜひ、お立ち寄りされるといいと思います。

ぜひ、ショップを訪れて、知識を豊富にされることを期待します。

2007年6月6日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。

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