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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第56回 春分を境に日は長くなる?

春分を境に日は長くなる?

今年の春分は3月20日です。一般には「昼と夜の長さが同じ」などといわれますが、たしかに春分の日あたりを境に「ずいぶん日が伸びたね」といった会話が聞かれます。じっさいの春分の意味はバックナンバー44「春分の日がやってくる」を参照してください。少し賢くなれますよ。
春分の日は国民の祝日に定められていますが、その日が今年は3月20日です。来年の予定も3月20日と決まっています。これは、国立天文台が歴要綱(れきようこう)を作成し、それに基づき内閣府が閣議決定して定められているのです。歴要綱は毎年2月初めに翌年の分が発表されます。したがって、今日の時点では来年までは決まっていますが、再来年の国民の祝日は日程がまだ決まっていないことがわかります。参考までに!

今月(3月)の天文情報

月、木星、水星、金星の共演は3月3日月曜日の明け方5時ごろの現象ですから一念発起で早起きしてみましょう。 2003年2月1日の明け方の空の写真.今年の3月上旬も同様な印象の明けの星空が望めることと思います。

今月の天文現象では、上旬には明け方の空で月が惑星と接近する様子が見られます。3日の木星、5日の水星そして6日の金星と楽しみな明け方が続きます。明けの明星(金星)を見たことがない方も多くいらっしゃることと思いますが、早起きして細い月と一緒に明け染める空の中で美しい星景色をご覧になってください。

3月の天文情報

曜日 月齢 天文現象など
1 23.0 月が最も南に位置する(南に低く見られる=最南)
2 24.0  
3 25.0 明け方の空で月と木星が接近
4 26.0  
5 27.0 啓蟄(二十四節季).明け方の空で月と水星が接近
6 28.0 明け方の空で月と金星が接近(北米では金星食が見られる)
7 29.0 金星と海王星が最接近(08時42分,角度で約0度34分)
8 0.4 新月
9 1.4  
10 2.4  
11 3.4 月と地球との距離が最近となる(大きく見える)
12 4.4  
13 5.4 夕空に月とすばるが接近して見られる
14 6.4 上弦の月
15 7.4 月と火星が接近(11時58分,角度で約1度39分)
16 8.4 夕方の西空に金星、火星、土星、月が接近
17 9.4 彼岸の入り.かに座のM44が月に隠される
18 10.4  
19 11.4 月としし座のレグルスが接近
20 12.4 春分
21 13.4 14時20分月が天の赤道を通過
22 14.4 満月
23 15.4  
24 16.4 金星と水星が最接近(22時34分日本からは見られません)
25 17.4  
26 18.4  
27 19.4 さそり座1番星(4.8等)が月に隠される(00時24分)
28 20.4  
29 21.4  
30 22.4 下弦の月
31 23.4 明け方の空、月と木星が接近(02時19分,角度で約03度12分)

3月の星座案内

3月の星空では、夕方にはまだ冬の星座で埋めつくされています。オリオンの三つ星の輝きやおおいぬ座のシリウスの煌々と輝く姿は、とても美しく聡明に感じるものです。
ところが、深夜になりますと仰ぎ見る星空は様相を一変させて春の星座でいっぱいです。天頂の北には北斗七星が大きく堂々と見られ、そのひしゃくの柄をたどって南東に目を向けると、うしかい座の1等星アルクトウールスが見つかり、さらに南に目をやるとおとめ座のスピカにたどりつくわけです。この星をたどる通り道は、春の大曲線とよばれ、バックナンバー34「春の大曲線入りの星図」で星図をつかって説明していますので、ごらんいただきたいと思います。
さらに、同じ夜でも深夜を過ぎて明け方まで星空を仰いで見ていると、また星座の変化が見られます。
見知らぬ明るい星が南東の空に現れ、空気の澄んだ日には天の川が東の空から昇ってきます。よく見ると、天頂から西空にかけては、春の星座があります。アルクトウールスの輝きもみつかります。しかし東の空の星座をさがすと、こと座のベガやはくちょう座などがみつかり、南東にはさそり座が昇ってきているではありませんか。
これは、地球が約24時間で自転しているということを考えれば日周運動によって見られる星が変化するのも当然のことなのですが、寒い明け方の空に夏の星座を見る醍醐味は、なにか得した気分を覚えます。

3月の星座案内図

星図(黒地) 星図(白地)

※それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。印刷される場合は、A4用紙を横にしてください。

※このコラムで使用している星図は、(株)アストロアーツの天文シミュレーションソフトステラナビゲータVer.8から出力し、加工したものを使用しています。

天体望遠鏡がほしい(シリーズ第11回)

安い天体望遠鏡でも土星の環は見える?

今年の春は土星が見頃です。この際、天体望遠鏡を買って土星の環を見てみたいものだと思っている方もいらっしゃることと思います。
また、読者からは「高価な天体望遠鏡を使えば土星の環も見られるでしょうが、安い望遠鏡でも見ることができるのでしょうか?」とのご質問をいただきました。
その答えには、とても悩みました。というのは、安くても良く見える天体望遠鏡とちょっとあやしい天体望遠鏡とが世の中には出回っているからです。
ディスカウントショップで販売している天体望遠鏡でも「月のクレータや土星の環が見られる!」といったキャッチフレーズで販売しているものがあり、たしかに見えることは実証済みですが、「見える」といちがいにいってもその見え方には、鮮明に見えるのか、まあまあ見えるのか、あるいはかろうじて見えるのかといったちがいが表現されていません。まさか、「あまりよく見えません」とはメーカー、ショップとも表記してくれません。

しかし、せっかく買い求めるならば天体がよりはっきり見えて、操作も簡単な「お買い得」なものを選ぶようにしたいものです。
私がお薦めの方法は、天体望遠鏡の専門ショップで、店員に相談して適切なアドバイスを受け、納得して買い求めるといったやりかたです。
また、今まで連載しているこの「天体望遠鏡がほしい」シリーズのバックナンバーを良く読まれて、やたらと高倍率をうたった宣伝の通販などに手を出さないようにしていただきたいものです。

天体望遠鏡ショップ
天体望遠鏡ショップでは、いろんなメーカーの天体望遠鏡がそろっています。ぜひ本物の大きさと操作感を実感して購入するようにしましょう。
天体望遠鏡ショップやメーカーは、月刊天文雑誌の「天文ガイド」や「星ナビ」をご覧になって調べましょう。都内のショップは、お店の地図入りで広告を出していることが多く、場所を事前に調べてからお出かけください。

2008年2月29日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。

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