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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第57回 春の大曲線で星座をみつけよう

春の大曲線で星座をみつける

先月のコラムでも少しお話ししました春の大曲線は、星空の中に大きな曲線を描いて星を見つける方法ですが、読者の方からは「もう少し詳しく教えて!」とのご意見をいただきましたので、今月は春の大曲線を詳しくご説明します。
春の大曲線とは、北斗七星からその柄の曲がり具合をそのまま延ばして、うしかい座のアルクトゥールス、おとめ座のスピカとみつけていく天上の大曲線なのです。
星図の上では図に示す通りで簡単なことといえますが、本物の星空ではちょっとむずかしいところもあります。それは星座の大きさというか、丸く見える全天の星空の一部分を平面の紙やパソコンのディスプレーで表現していることの違和感から一致させにくいといえるのです。
そこで、春の大曲線の発見方法を正確に説明しますと、まず、真上(天頂)を見上げ、その北側にある北斗七星をみつけることが一番目のアクションです。北斗七星がみつかったら、それから柄をたどっていくことによって、その付近でもっとも明るいオレンジ色に輝く星をみつけるという方法でアルクトゥールスをみつけます。さらに大曲線を延ばしていって、白く輝く明るい星がみつかればそれがスピカなのです。位置関係に加え、色と明るさの情報を含めて、みつけましょう。
みつけられたら、ぜひ家族や友人にも本物の星空で教えてあげましょう。あるいは一緒に苦労してみんなでみつけるという方法もあります。
春の星座の見つけ方の基本に「春の大曲線」があるように、夏は「夏の大三角」、秋には「秋の四辺形」そして冬は「冬の大三角」という星の配列があります。四季をつうじて、そうした配列を利用して星座を覚えていくといいでしょう。

今月(4月)の天文情報

北斗七星から春の大曲線をみつけられたら、次に春の大三角をみつけましょう。この図に示すアルクトゥールス、スピカにデネボラを加えた正三角形はとても印象的です。 本物の星空ではこの写真のようなイメージです

4月の天文情報

今月は、4月12日の夕空に火星と月が接近して見られます。
ほかにも月の星への接近はたびたび見られ、4月15日にはレグルスとの接近。翌16日には土星と接近します。また、4月24日にはさそり座の1等星アンタレスと接近し、さらに27日には木星との接近が見られます。
月との接近具合でいいますと、火星接近がもっとも近づいた様子が見られ、見ごたえのある現象といえるでしょう。
そのほか、今月は特に変わった天文現象はありませんが、菜の花畑におぼろ月夜といった風景を見るのも4月の風流といえます。
星や月を見ることを楽しみに取り入れて、人生を豊かなものにしてください。

天体望遠鏡ショップ
4月12日の夕空には火星と月の接近が見られます。お勤め帰りなどにふと星空を眺めることによって、こうした天文現象にも巡り合えることがあります。

曜日 月齢 天文現象など
1
24.4  
2
25.4  
3
26.4  
4
27.4 清明(二十四節季)火星が東矩
5
28.4  
6
29.4 新月
7
1.0  
8
2.0  
9
3.0  
10
4.0  
11
5.0  
12
6.0 夕空に月と火星が接近して見られる
13
7.0 上弦の月
14
8.0 木星が西矩
15
9.0 月としし座のレグルスが接近
16
10.0 月と土星が接近
17
11.0 春の土用
18
12.0  
19
13.0  
20
14.0 穀雨(二十四節季)、満月
21
15.0  
22
16.0 こと座流星群が極大(出現4月16日〜4月25日)
23
17.0  
24
18.0 月とさそり座アンタレスが接近
25
19.0  
26
20.0 おとめ座流星群が極大(3月10日〜5月15日)
27
21.0 月と木星が接近
28
22.0 下弦の月
29
23.0  
30
24.0 月と海王星が接近

4月の星座案内

4月ともなると空はすっかり春の星座でおおわれます。
冒頭に述べました春の大曲線を中心に春の星座で埋めつくされた星空は、冬の凍てつくような寒さの中の星と違い、ちょっとおだやかなやさしい輝きをもって感じられます。
春の大曲線以外では、南の空のうみへび座のおおきな姿が印象的に見られます。うみへびの頭に相当する6個の星のかたまりからくねくねと曲がりつつ大海を泳ぐ(大空を泳ぐ?)うみへびの姿が想像され、その周辺のろくぶんぎ座、コップ座それにからす座などが一緒に見られます。

4月の星座案内図

星図(黒地) 星図(白地)

※それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。印刷される場合は、A4用紙を横にしてください。

※このコラムで使用している星図は、(株)アストロアーツの天文シミュレーションソフトステラナビゲータVer.8から出力し、加工したものを使用しています。

天体望遠鏡がほしい(シリーズ最終回)

天体望遠鏡を一家に一台

天体望遠鏡がほしいシリーズも今月で最終回となりました。
こよなく星空を好み、天体望遠鏡を愛している私としては、皆さんにもぜひ、天体望遠鏡を購入していただきたいものだと考えています。「一家に一台天体望遠鏡を!」などと叫びたいのですが、世の中の最近の流れはガソリン価格をはじめ、諸物価が高騰を始めている昨今、とても説得力はありませんね。
でも、あえて言わせていただきます。こうした世の中だからこそ、心の豊かな人生を送る道具のひとつとして、星や天文学の知識とともに実際の星空を探検するために天体望遠鏡の存在は意義があると思います。
家庭のリビングにテレビジョンやパソコンがあるように、天体望遠鏡もぜひ1台!
そして、晴れた夜にはベランダや庭に持ち出して星空を楽しむ。また、行楽やキャンプなどへお出かけのときは、天体望遠鏡を車に乗せて光害(ひかりがい)の少ない美しい星空で楽しむことができるのです。
天体望遠鏡は、夢が満載された道具といえるでしょう。すてきな自転車や楽器などを求めるように、天体望遠鏡が多くの方々の手に渡り、星空の楽しみに使用されることを夢見ています。

天体望遠鏡ショップ
私はマンション住まいなので、天体望遠鏡は日ごろ、リビングのインテリアとして飾っておき、観測のときはベランダに持ち出して使用しています。

2008年4月3日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。