第63回
澄んだ夜空の10月の星
地平線まで星
晴れ渡った秋の夜空には星がとても神秘的に輝きます。
夏に見た星空の印象とは異なり、空が高く天の川も星座の星々も夏ほどの力強さはないものの、きらきらと繊細に輝いています。
郊外まで出かける機会がありましたら、ぜひ星空を見上げ、澄んだおいしい空気をすって、きらめく星をゆっくりとながめましょう。
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カシオペヤ座付近の星空は秋の天の川の中に位置しているので、多くの星が存在し、双眼鏡での星空散歩にもってこいです。ペルセウス座にある二重星団を発見しましょう |
10月の天文情報
名月の鑑賞
今月は9月の中秋の名月に続いて、10月11日(土)が十三夜の月をながめる日です。9月14日に見られた中秋の名月は古来、中国から伝わった風習ですが、十三夜の月見は日本独特の風習で、中秋の名月のひと月遅れのため、後の月見と呼ばれて、また、中秋の名月が芋名月と呼ばれるのに対して、十三夜の月は豆名月などと呼ばれています。地方によっては栗名月と称したりしていますが、その地域で収穫できる作物に合わせた名称となっているようです。
9月の中秋の名月を見損なった方は、ぜひ、今度こそ見ましょう。心安らぐ時間をぜひ、お過ごしください。

今年の9月14日に見られた中秋の名月 |

名月を望遠鏡で見る(牛久自然観察の森にて)
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写真のように昇りくる月は赤みをおびています。
双眼鏡や望遠鏡で覗いてみると月の表面の模様やクレータなどがはっきりわかります。 |
流星群
10月8日の夜にはジャコビニ流星群の極大日がやってきます。1972年に大きな期待とともに多くの観測者が待機しましたが、不発に終わり、以後、流星は流れるものの暗い流星が多く、一般向けではありませんでした。今年も10月8日の夜にはいくらか観測はできるでしょうが、あまり明るく、派手に流れる流星は現われないことと思います。
10月21日を極大とするオリオン座流星群は、1時間あたりの流星数が10個くらいあります。8月のペルセウス座流星群や12月のふたご座流星群に比べると多い流星数とはいえませんが、この流星群の母体となっている彗星は、有名なハレー彗星だといわれています。ハレー彗星から撒き散らされたダストが地球に降り注ぐと考えたら、なんだかすてきな気持ちになってくるのは私だけでしょうか?
10月の天文情報
日 |
曜日 |
月齢 |
天文現象など |
1 |
水 |
1.8 |
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2 |
木 |
2.8 |
夕方の西空で細い月と金星が接近 |
3 |
金 |
3.8 |
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4 |
土 |
4.8 |
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5 |
日 |
5.8 |
月の距離が最遠、月が最南 |
6 |
月 |
6.8 |
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7 |
火 |
7.8 |
上弦の月、月が木星の南を通過 |
8 |
水 |
8.8 |
寒露(二十四節季)、ジャコビニ流星群の極大 |
9 |
木 |
9.8 |
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10 |
金 |
10.8 |
海王星食(月に海王星が隠される) |
11 |
土 |
11.8 |
十三夜 |
12 |
日 |
12.8 |
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13 |
月 |
13.8 |
月が天の赤道を通過(北半球へ) |
14 |
火 |
14.8 |
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15 |
水 |
15.8 |
満月 |
16 |
木 |
16.8 |
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17 |
金 |
17.8 |
プレアデス星団の食(月に隠される)、月の距離が最近 |
18 |
土 |
18.8 |
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19 |
日 |
19.8 |
月が最北 |
20 |
月 |
20.8 |
秋の土用 |
21 |
火 |
21.8 |
下弦の月、オリオン座流星群が極大 |
22 |
水 |
22.8 |
水星が西方最大離隔 |
23 |
木 |
23.8 |
霜降(二十四節季) |
24 |
金 |
24.8 |
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25 |
土 |
25.8 |
月が天の赤道を通過(南半球へ) |
26 |
日 |
26.8 |
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27 |
月 |
27.8 |
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28 |
火 |
28.8 |
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29 |
水 |
0.2 |
新月 |
30 |
木 |
1.2 |
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31 |
金 |
2.2 |
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10月の星座案内
10月に入ると日没が早くなり、夕闇の迫る時間が早くなりますので、学校や仕事帰りの道すがら、星を眺めることができるようになるかもしれませんね。
南西の空には木星が明るく輝いていますが、日にちがたつにつれて西に傾き、地平線に沈む時刻が早くなってきます。
秋の空ではみなみのうお座のフォーマルハウトが木星よりも左側(南の空)にあり、木星に比べたら小さな輝きですが、秋の星座の中で唯一の一等星なので注目してみましょう。そのほかの秋の星座すなわち、みずがめ座、くじら座、アンドロメダ座、カシオペヤ座そしてペガスス座などは明るい星でも2等星です。そういった意味では変化が少ない秋の星座群ですが、天頂近くにあるペガスス座の四辺形(秋の四辺形またはペガススの四辺形といいます)から、それぞれの星座の位置関係を確認し、星空を眺めて星座をみつけていきましょう。
10月の星座案内図
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※それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。印刷される場合は、A4用紙を横にしてください。
※このコラムで使用している星図は、(株)アストロアーツの天文シミュレーションソフトステラナビゲータVer.8から出力し、加工したものを使用しています。
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2008年10月7日 |