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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第64回 11月から夕空の金星が見頃

月と星の美しい光景


11月4日の夕空

細い月と一緒に木星、金星が見えています。この後、木星は日々、西の地平線に近づいて低空に輝くようになります。金星は逆に日々、高度角を増して見やすくなってきます。なお、12月に入ってからも月と木星あるいは金星の集合する姿は見ることができ、12月1日、2日及び12月31日の夕空の光景もぜひご覧ください。


11月14日午前6時の西の空

木星、金星が見えています。満月過ぎの明るい月に隠されるすばる(プレアデス星団)は、ちょっとまぶしすぎて見にくいのですが、双眼鏡を使えばすばるの星を確実にみつけることができるでしょう。

11月に入ると、夜はとても寒くなってきますが、この季節には全天が快晴の夜も多く、夜空いっぱいの星空を眺めることができます。晴れた夜はぜひスターウオッチングにチャレンジしてみましょう。
今月は、月初めに細い月と惑星の共演が見られます。
11月1日(土)の夕焼け空には三日月と金星が並んで輝きます。南西の方向、高度角が10度くらいの低い空での美しい光景が見られますので、見晴らしの良いところで観察しましょう。
次に11月4日には月が木星と並びます。南南西の空に、やはり夕方のみ見ることができますので、お見逃しなく!
さらに11月14日(金)の明け方には西北西の空で月がすばる(プレアデス星団)を隠す星食が見られます。満月直後の丸い明るい月との対比となりますから肉眼ではなかなかすばるの星が見つけにくく、双眼鏡を使って確実に現象を観測しましょう。夜が明ける直前の現象ですが、早起きをしてぜひ観察を楽しみましょう。
なお、11月から来年の3月中旬ころまでは夕空の金星が見ごろとなります。一般に宵の明星と呼ばれていますが、この金星の明るさは他の星を圧倒するマイナス4等級の明るさで輝きます。

今年の秋は夕空に木星が明るく見えているので、これを宵の明星と勘違いされた方もいらっしゃるかもしれませんが、いよいよ本物の金星が登場してきたわけです。
11月中は、金星も木星も夕空を飾りますので、その明るさや色の違いなどを確認するといいでしょう。

しし座流星群

毎年11月17日前後はしし座流星群を見ることができ、楽しみにしている読者も多いことと思います。
2001年のような流星雨といえるほどの流星が降り注ぐことはありませんが、極大日には1時間に20個前後の流星が見られます。
ただし、今年は満月過ぎの月齢19の明るい月が煌々と輝く中での観測となり、光度が暗い流星は残念ながら月明かりに打ち消されてしまい、見にくくなりますので、実質的には見られる流星数が減るのではないかと予想されます。


しし座流星群

流星は、音もなく一瞬の輝きですが見たときの感動は大きいものです。11月17日のしし座流星群極大日に限らず、普通の日でも数こそ少ないものの見ることができますので夜空を見上げるチャンスがあったら、ぜひ流星ウオッチングを試みてみましょう。

11月の天文情報

曜日 月齢 天文現象など
1 3.2 月と金星が接近
2 4.2 月の距離が最遠、月が最南
3 5.2 おうし座流星群南群が極大
4 6.2 月と木星が接近
5 7.2  
6 8.2 上弦の月
7 9.2 立冬(二十四節季)
8 10.2  
9 11.2 月が天の赤道を通過(北半球へ)
10 12.2  
11 13.2  
12 14.2 おうし座流星群北群が極大
13 15.2 満月
14 16.2 月の距離が最近、プレアデス星団の食(月に隠される)
15 17.2 月が最北
16 18.2  
17 19.2 しし座流星群が極大
18 20.2  
19 21.2  
20 22.2 下弦の月
21 23.2  
22 24.2 小雪(二十四節季)月が天の赤道を通過(南半球へ)
23 25.2  
24 26.2  
25 27.2  
26 28.2  
27 29.2  
28 0.4 新月
29 1.4 月が最南、火星と水星が最接近
30 2.4 月の距離が最遠

11月の星座

11月は秋の星座をたっぷりと堪能できる時期ですが、ここのところ毎月、月の半ばが満月となり、星座鑑賞にはちょっと適さないときがあります。
月の初め1日から5日ごろと20日から月末くらいまでが星見の最適な時期で月6日頃から19日ころまでは月明かりの影響があります。しかし、月明かりがあってもある程度の星は見られますので、月半ばだからと全く見ない日と決める必要はありません。
秋の星座は、空気が澄んでいる関係もあって、星座をかたちづくる星々は比較的暗い星が多いものの、はっきり確認できる星座が多く、わかりやすいペガススの四辺形(秋の四辺形)やカシオペヤ座など、発見できた星座から相互位置関係を星座早見盤などで調べて、さがしましょう。

11月の星座案内図

星図(黒地) 星図(白地)

※それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。印刷される場合は、A4用紙を横にしてください。

※このコラムで使用している星図は、(株)アストロアーツの天文シミュレーションソフトステラナビゲータVer.8から出力し、加工したものを使用しています。

2008年11月7日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。