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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第65回 宵の明星の輝き

西空に輝く宵の明星

今年も残すところ12月だけとなりました。11月から西の夕空に見えている宵の明星(金星)が輝きと高度を増して見やすくなってまいりました。いっぽうで木星は西空にぐんぐんと高度を下げていきますので、今月中はなんとか見ることはできますが、来月には夕空に見ることができなくなってしまいます。
さて、この金星と木星にからんで細い月も加わる見頃の時期は、最初は12月の1〜3日。そして、月末(年末)の12月29日〜31日です。
日没直後から観察をはじめ、夕焼けの中に輝く月や星のある景色を楽しみましょう。

写真は11月2日の午後6時過ぎに撮影した西の空です。細い月のそばの金星それに南西の比較的高度のある位置に輝く木星の姿が印象的でした。



12月2日の夕空


12月31日の夕空

12月1日から3日までは、細い月と金星、木星が夕空に輝き美しい光景が見られます。連続して観察するとそれぞれの星や月の位置関係に変化があることがわかります。 12月31日の夕空には低空に木星と水星が見られ、さらに少し上空に月と金星が輝いて見られます。午後5時半頃から観察をはじめましょう。

ふたご座流星群


ふたご座と月

12月14日午前3時のふたご座付近にはこの図のように月が輝いていますので、月を遮る家の屋根とかを利用してまぶしくないように観測しましょう。

今月は12月14日前後にふたご座流星群を見ることができます。
しかし、ちょうど満月近くの月が輝いていて、しかもその位置が12月13日にはおうし座、14日はふたご座そのものにあるのです(図参照)。月の明かりは流星群を見るのにはかなりの障害となります。
それでも、流星には明るいものも多く、ふたご座流星群だからといって、ふたご座の中を流れるというものではなく、全天のどこでも流れる可能性を持っています。

流星数は、多ければ1時間に60個前後見られますので、月明かりを避けて軒下とか樹木のそばとかで、直接視界に月が入らないようにして観測するのが、多くの流星を観測する秘訣といえましょう。
今年の流星の極大は、14日の早朝8時ころですから、観測するのは13日の深夜から14日の明け方におこないましょう。
寒さ対策を十分におこなってたくさんの流星をみつけてください。

12月の天文情報

曜日 月齢 天文現象など
1 3.4 夕空に三日月と金星と木星が接近して見られる
2 4.4 月が金星の北を通過
3 5.4  
4 6.4  
5 7.4  
6 8.4 上弦の月、月が天の赤道を通過(北半球へ)
7 9.4  
8 10.4 大雪(二十四節気)
9 11.4  
10 12.4  
11 13.4 プレアデス星団の食(月に隠される16時05分)
12 14.4  
13 15.4 満月、月の距離が最近、月が最北
14 16.4 ふたご座流星群が極大
15 17.4  
16 18.4  
17 19.4  
18 20.4  
19 21.4 下弦の月、月が天の赤道を通過(南半球へ)
20 22.4  
21 23.4 冬至(二十四節気)
22 24.4 こぐま座流星群が極大
23 25.4 天皇誕生日
24 26.4  
25 27.4 クリスマス
26 28.4 月が最南
27 29.4 新月、月の距離が最遠
28 0.6  
29 1.6 月と木星が接近
30 2.6  
31 3.6 おおみそか、月と金星が接近、水星と木星が接近

12月の星座

12月に入りますと1年でもっとも夜が長い月ですから、星を見ることができる時間も長くなります。夕空にはまだ、夏の大三角が見られ、当然のことながら秋の星座も満喫できます。さらに、深夜にはオリオン座をはじめ冬の星座がきらめき、明け方は春の大曲線など、春の星座も堪能できます。
12月というとせわしない時期という感がありますが、月末はお子さん方も冬休みに入りますし、ぜひ、ゆっくり星空をながめる星座さがしを楽しみましょう。

12月の星座案内図

星図(黒地) 星図(白地)

※それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。印刷される場合は、A4用紙を横にしてください。

※このコラムで使用している星図は、(株)アストロアーツの天文シミュレーションソフトステラナビゲータ.8から出力し、加工したものを使用しています。

2008年12月8日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。