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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第66回 今年は世界天文年

世界天文年2009

先月の掲載写真は11月2日の夕空でしたが、今回の写真は約1か月後の12月1日撮影のものです。このときの光景はスマイルマークに似ている(下の拡大像参照)と評判になって、新聞やテレビでも取り上げられましたので、記憶にある方も多いと思います。
龍ケ崎市にある竜の子山から撮影しました。

みなさま明けましておめでとうございます。今年も星空に関するいろんな話題をみなさまに楽しく読んでいただけるようにいろいろな天文情報を集めてお知らせしますので、よろしくお願いします。
ところで、今年は世界天文年です。国際的に毎年テーマが掲げられ、実施されてきていますが、ようやく天文年の番がやってきたというところです。
日本も世界天文年2009日本委員会事務局が国立天文台内に設置され、これから一年、いろんな行事に世界天文年公認イベントと冠する行事がとり行なわれます。
なぜ、今年が世界天文年になったかというと、1609年にガリレオ・ガリレイが天体望遠鏡を使って宇宙を初めて観測した年から400年が経過したことに起因しています。
日本でも各地で天体観望会などのイベントを各地で実施し、1000万人に星を見せることを目標にしています。そのほか、7月22日には日本での久々の皆既日食が見られます。皆既日食とならない区域でもかなり太陽が欠ける部分日食が見られ、関東地方でも7割以上欠けた太陽の様子を見ることができます。ぜひ良いお天気でみんなが見られるといいですね。
私も例年以上に今年は各地で天文イベントの講師やスタッフをつとめる予定で、忙しくなりそうです。

冬のダイヤモンドって?

知人の読者から「空にダイヤモンドがあるっていうけどどこ?」とたずねられましたので、このコラムでみなさんにもお教えします。ダイヤモンドは炭素の結晶だということはご存じですよね?宇宙空間にも炭素は存在しますし、最近の観測では恒星に惑星系の存在も次々と確認されていることから、ダイヤモンドもいろんな星に存在するかも知れませんね。しかし、今回の問いは、空に輝くダイヤモンドのような星の配列ということです。
それは、以前のコラムでも紹介したことのある冬の大六角形の星の配列のことなのです。別名を冬のダイヤモンドと呼んでいます。
図でおわかりのように、冬の一等星を結んでいきますが、天頂付近のぎょしゃ座のカペラからスタートすると、時計回りおうし座のアルデバラン、オリオン座のリゲル、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンそしてふたご座のポルックスと6個の星を結ぶ大きな六角形です。図上でもこの壮大な雰囲気が読みとれますが、快晴の夜には本物の夜空で確認してみましょう。

六角形の形をした冬のダイヤモンドをみつけられるようになると、冬の星座の大半を覚えることができます。

1月の天文情報

曜日 月齢 天文現象など
1 3.4 元旦、夕空に月と金星が接近して見られる
2 4.4  
3 5.4 月が天の赤道を通過(北半球へ)
4 6.4 上弦の月、3日夜〜4日未明しぶんぎ座流星群が見られる
5 7.4 小寒(二十四節気)
6 8.4  
7 9.4 月とプレアデス星団が接近
8 10.4  
9 11.4 月が最北
10 12.4 月の距離が最遠
11 13.4 満月、鹿林(ルーリン)彗星が近日点を通過
12 14.4 成人の日
13 15.4  
14 16.4  
15 17.4 月が天の赤道を通過(南半球へ)、金星が東方最大離角
16 18.4  
17 19.4  
18 20.4 下弦の月、木星と水星が接近
19 21.4  
20 22.4 大寒(二十四節気)
21 23.4  
22 24.4 月が最南
23 25.4 金星と天王星が接近
24 26.4  
25 27.4  
26 28.4 新月
27 29.4  
28 0.6  
29 1.6  
30 2.6 夕空に月と金星が接近
31 3.6  

1月の星座

1月は寒いので、とても夜空などを見上げる気にはなれないかもしれませんが、仕事帰りや通学帰りに家路につく道ばたや公園などで、数分でもいいですからスターウオッチングをしましょう。雄大なオリオンの姿や、シリウスの澄んだ輝きなど、寒空に引き立つ輝きが私たちの心をいやしてくれます。小さなうさぎ座なども発見してみてください。

冬の星座をみつけるときは、下の星図を拡大してプリンとアウトして野外用星図としてご利用いただきたいと思います。

1月の星座案内図

星図(黒地) 星図(白地)

※それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。印刷される場合は、A4用紙を横にしてください。

※このコラムで使用している星図は、(株)アストロアーツの天文シミュレーションソフトステラナビゲータ.8から出力し、加工したものを使用しています。

2009年1月14日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。