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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第67回 金星、ルーリン彗星と空はにぎやか

見えるかルーリン彗星

百武彗星
ルーリン彗星は、1996年の百武(ひゃくたけ)彗星や一昨年のホームズ彗星のように肉眼で簡単に見つけるのはちょっとむずかしいのですが、双眼鏡などを使って探してみましょう。

ルーリン彗星が見えます。台湾で2007年に鹿林天文台によって発見されたこの彗星は、2月には最大光度4等星まで明るくなることが予想されています。
4等星というと、つくば市内では、ようやく見える明るさですが、双眼鏡を使えばはっきりと確認できることでしょう。
観測地を自宅から筑波山などの光害の少ないところに移動して観測すればよりみつけやすくなることでしょう。
4等星クラスの明るさで見えた過去の彗星では、1986年のハレー彗星が有名です。
一昨年に見えたホームズ彗星は肉眼で簡単に見えるほど大きく明るくなりましたが、そこまでは明るく見えません。しかし、2月25日には土星のそばを通り、3月1日ころにはしし座のレグルスに接近しますので、そうした星を目安にして、ご自分の目で確かめてみましょう。

金星の見え方

冬空に一番星がとても明るく見えていますね。
この宵の明星は3月中旬までしか見られませんので、2月のうちに観察してみましょう。まず、位置の観察ですが、ほかの星座の星との位置関係をノートに記録するか、デジタルカメラで数秒露光して晴れた夜は毎日撮影してみましょう。星座の中を日々、位置を変えて(移動して)いく様子がわかることでしょう。
次に、天体望遠鏡で金星を見てみましょう。倍率はあまり高くせずに50倍くらいで十分です。三日月状に見える金星の姿にきっと驚かれることと思います。小型の天体望遠鏡でも十分に見ることができますので、ぜひ、覗いてみてください。
天体望遠鏡がない方も、つくば植物園の観望会とか各地の観望会の告知などを利用して、本物の金星の姿を確かめましょう。

夕空の惑星など
先月は昨年12月1日に見られた月と金星と木星の写真をご覧いただきましたが、今月の写真は12月31日の夕空に見られた上空に金星と三日月、低空に木星と水星のある星景写真です。低空の木星と水星をアップして撮影した写真も併せてご覧ください。いずれも龍ケ崎市竜の子山頂上から撮影

2月の天文情報

曜日 月齢 天文現象など
1 5.8 ルーリン彗星5等星の明るさになる(予想)
2 6.8  
3 7.8 上弦の月
4 8.8 立春(二十四節気)月とプレアデス星団が接近
5 9.8 月が最北
6 10.8  
7 11.8  
8 12.8 月の距離が最近
9 13.8 満月(半影月食)
10 14.8  
11 15.8 建国記念の日 ルーリン彗星が近日点を通過
12 16.8 月が天の赤道を通過(南半球へ)
13 17.8  
14 18.8 水星が西方最大離角
15 19.8  
16 20.8  
17 21.8 下弦の月
18 22.8 雨水(二十四節気)、木星と火星が接近
19 23.8 月が最南
20 24.8 金星が最大光度(−4.6等)、月の距離が最遠
21 25.8  
22 26.8  
23 27.8 水星食、木星食
24 28.8  
25 0.1 新月
26 1.1 月が天の赤道を通過(北半球へ)
27 2.1  
28 3.1 月が金星の近くを通る

2月の星座

2月は関東では晴天率が高く、特に西高東低の気圧配置となり、高気圧が張り出してくるときはとても星空がきれいに見られます。
冬の星座の代表格オリオン座を中心に冬の星座を見つけていきましょう。
先月号でお話しした冬の1等星を結んでできる「冬のダイヤモンド」(バックナンバー参照)をみつけて、それぞれの星がある星座の形を空でなぞってみると案外簡単に星座がわかるようになることでしょう。
下の星図をクリックして拡大し、プリントアウトすれば野外用星図として利用することもできます。

2月の星座案内図

星図(黒地) 星図(白地)

※それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。印刷される場合は、A4用紙を横にしてください。

※このコラムで使用している星図は、(株)アストロアーツの天文シミュレーションソフトステラナビゲータ.8から出力し、加工したものを使用しています。

2009年2月4日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。